この世の女は俺のママ!

危機綺羅

12.このママではいられない。その2(脚本)

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危機綺羅

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〇ウェディングドレスショップ
シタラ「ママとして振る舞うのをやめろって・・・」
シタラ(そんな、そんなのって──)
シタラ(・・・それはそれでいいかな)
バイスプッチ「いいか、シタラちゃん・・・ ママを続けるってのは大変なんだ」
バイスプッチ「面倒だ、嫌になったからと投げ出せば、 傷つくのはアルだ」
バイスプッチ「例えばアルが甘えてきたら、 きみは応えらえれるのかい?」
バイスプッチ「寝起きを世話したり、 口を拭いてやったりできるのかい!?」
シタラ「え? それくらいならやりましたよ?」
バイスプッチ「なにっ!?」
バイスプッチ「・・・アル、こっちへ来なさい」
アルバス「なあパパ、シタラママは・・・」
バイスプッチ「アル・・・」
バイスプッチ「良い、ママじゃないか・・・!」
アルバス「パパ・・・!」
シタラ「今ので? ハードル低過ぎません!?」
シタラ「審査が甘くないですか!? もっと慎重になりましょうよ!」
バイスプッチ「シタラちゃん──いや、シタラさん! ハードルが低いとは言うが・・・」
バイスプッチ「成人男性を相手に世話をやけるのは、 正直ちょっとびっくりしてる」
シタラ「聞いておいて引かないでくださいよ!」
バイスプッチ「引いてないさ! むしろ感心してるんだよ」
バイスプッチ「それだけの度量があれば、 簡単にはママを投げ出さないはずだ」
バイスプッチ「シタラさんになら、 俺の大事な息子を預けれられるよ!」
アルバス「──やったな、ママ! 俺たち、パパ公認の親子だぜ!」
シタラ「し、釈然としない・・・」

〇ウェディングドレスショップ
バイスプッチ「そうだ、アル 悪いが降物を裏に運んでくれるか?」
アルバス「ああ、いつもの所でいいよな? 運んどくよ!」
バイスプッチ「──さっきはすまないね、シタラさん 試すようなことを言ってしまった」
シタラ「いえいえ、全然いいです バスプッチさんも、心配なんですよね?」
シタラ「アルはその・・・ 女性に騙されたりもしてましたから」
バイスプッチ「それもあるが、アルの悪癖が心配でね」
シタラ「悪癖、ですか?」
バイスプッチ「シタラさん、あいつと一緒にいて、 変に感じる部分はなかったか?」
シタラ「えっと・・・あり過ぎるというか・・・」
バイスプッチ「・・・かもしれないな そのせいで、気づきにくいんだが」
バイスプッチ「聞き方を変えようか」
バイスプッチ「人の役に立ちたがるというか、 妙に助けようとしなかったかい?」
シタラ「助けたがる──」

〇児童養護施設

〇森の中の小屋

〇ウェディングドレスショップ
シタラ「そうですね 実際、私も助けてもらってます」
シタラ「・・・それが、悪癖なんですか?」
バイスプッチ「たぶんあいつは、 ママに嫌われたくないんだ」
バイスプッチ「自分が役に立つってアピールしないと、 ママが離れていくと思うんだろう」
シタラ(そっか・・・ アルは確か、捨てられて・・・)
バイスプッチ「あいつは頑丈だし、力もある けど、いつか無茶をしそうでな・・・」
シタラ「バスプッチさん・・・」
バイスプッチ「だが、きみがいてくれるなら安心だ」
シタラ「え? わ、私ですか!?」
バイスプッチ「アルが甘えれるママだからね」
バイスプッチ「一緒にいる間だけでもいい アルが無茶しないよう、見てやってくれ」
シタラ「け、けど私・・・実は・・・」

〇ウェディングドレスショップ
アルバス「──ママ、こっちへ来てくれ!」
シタラ「な、なに? どうかしたの?」
アルバス「少し、外を見てくれるか?」

〇ヨーロッパの街並み

〇ウェディングドレスショップ
シタラ「し、シェルターの人たち!?」
アルバス「どうも、うちを張られてたみたいだな」
アルバス「くそっ・・・ なんでここがわかったんだ・・・!」
シタラ「外観だろうね」
アルバス「・・・かもしれない」
バイスプッチ「──どうかしたのか、二人とも?」
アルバス「あー・・・パパ・・・ 実は悪のロリコンに追われてて・・・」
シタラ「いや、それじゃ伝わらないでしょ」
バイスプッチ「シェルターの連中に!?」
シタラ「伝わってる!?」
バイスプッチ「あのスポットヤクザ共め! うちのアルに因縁つけてるのか!」
シタラ「あの、バスプッチさん! 実はこれ、私のせいで・・・」
バイスプッチ「アルじゃなくて、シタラさんが?」
シタラ「私、なんだか特殊みたいで、 シェルターの人に追われてるんです」
シタラ「だから、私と一緒だと、 きっとアルも危険な目に・・・」
バイスプッチ「そうか・・・そうだったのか・・・」
シタラ「すみませんでした 私のせいで、アルに無茶を──」
バイスプッチ「そんなことは気にしなくていい!」
シタラ「ええ!?」
バイスプッチ「アル、一つ確認するぞ」
バイスプッチ「シタラさんを助けるのは、 お前にとって無茶なことか?」
アルバス「パパ・・・」
アルバス「そんなわけねえだろ! 楽勝も楽勝だぜ!」
バイスプッチ「──と、いうことだ」
バイスプッチ「アルが無茶じゃないって言うなら、 俺が止める理由はない!」
バイスプッチ「シタラさん、 アルのことをよろしく頼むよ」
シタラ「・・・はい、任せてください!」
シタラ「それに、約束します」
シタラ「記憶が戻っても、 きっとアルを突き放したりしません!」
バイスプッチ「そうしてやってくれ」

〇ウェディングドレスショップ
シタラ「あ、でも、もう囲まれてるんだよね?」
シタラ「どうしよう・・・ なんとか、見つからないように・・・」
アルバス「──ママ、俺に良い案がある」
シタラ「そっか! アルの方が、この町に詳しいよね?」
アルバス「とりあえず、俺に掴まってくれ」
シタラ「う、うん・・・それで、どうするの?」
アルバス「パパ、ごめん!」
バイスプッチ「気にするな 派手にかましてこい!」
シタラ「え? なに? なにするつもり──」

〇黒背景

〇ヨーロッパの街並み
隊員「──な、なんだぁ!?」
シタラ「な、な、な・・・」
シタラ「なんで窓から出るの!?」
アルバス「こういうのは、 相手の予想を超えるのが大事なんだぜ」
隊員「ま、マザコン・マントコートだ! 窓から出て来たぞ!」
アルバス「さあママ、俺から離れるなよ!」
アルバス「──親孝行の時間だぜ!」

次のエピソード:13.このママではいられない。その3

コメント

  • 親孝行の時間だぜ!
    決め台詞が、ぴったしハマってカッコいい!

    前回からシタラのママとしてのステージがぐんぐん上昇してますね。変だけど決して悪人ではないお父さんとのやりとりも面白かったです!

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