エピソード13(脚本)
〇綺麗なリビング
眠っている美鈴の隣で、光がオーディオコンポのネジを外している。
灰島櫻「コンポ、大丈夫そう?」
久保田光「あ、ええ、はい」
櫻が手話で話しかけてくる。
光も咄嗟(とっさ)に手話で返す。
久保田光「・・・・・・」
〇綺麗なリビング
長瀬美鈴「学校で手話教えるようになってからアイツ、またちょっとずつ前みたいに笑うようになったんだよ」
長瀬美鈴「ごめんな、なんか、お前の気持ち利用したみたいで」
〇綺麗なリビング
久保田光(先生、違うんです。 利用したのは、僕なんです)
オーディオコンポの蓋を開ける光。
コンポの中には、明らかに色の違う基盤が取り付けられている。
久保田光(櫻さんに再会するために、先生の気持ちを利用したんです)
〇黒
でも、初めてだったんです
〇電気屋
こんなに
久保田光「・・・・・・」
誰かのことを知りたいと思ったのは
〇綺麗なリビング
久保田光「あの日、櫻さんが注文したコンポに盗聴器を仕掛けて・・・そのあと偶然、先生がこの家に来ている時に盗聴して」
久保田光「先生が、櫻さんを元気づけようと外に連れ出したがってるのを知りました」
久保田光「だから、学校で手話をやりたいって言えば、きっと櫻さんを連れてきてくれると思ったんです」
久保田光「僕は、先生の優しさを利用したんです」
久保田光「だから、お礼なんて、そんな」
〇綺麗なリビング
久保田光「どわっ!」
灰島櫻「大丈夫?」
久保田光「大丈夫です、あ、えっと・・・」
灰島櫻「コンポの調子、どうかな?」
久保田光「オッケーです」
灰島櫻「すごいね、あたし、機械とか全然わからなくて」
久保田光「そんなことは・・・」
灰島櫻「変でしょ、耳が聞こえないのにこんなの持ってて」
灰島櫻「全然聞こえないんだけどね、家の中にいま音楽が流れてるんだって思うだけで、少し安心するんだ」
灰島櫻「何でかな、音は聞こえなくても、体が振動を感じてるのかな」
久保田光「・・・・・・」
嬉しそうに手話で話し続ける櫻に、光は困ったように笑いを返す。
久保田光(手話、全然わかんね)
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「ああ、この人の心の中に、 盗聴器を仕掛け られたらいいのに」がひたすら良すぎる
赤池が、ひたすら怖い...