玩具の子供

鍵谷端哉

エピソード3 由衣香の隠し事(脚本)

玩具の子供

鍵谷端哉

今すぐ読む

玩具の子供
この作品をTapNovel形式で読もう!
この作品をTapNovel形式で読もう!

今すぐ読む

〇綺麗なリビング
桐ケ谷 沙都希「・・・・・・」
  沙都希がスマホを見る。
  時間は21時。
桐ケ谷 沙都希「け、警察に電話しよう!」
  そのとき、電話が鳴る。
桐ケ谷 沙都希「由衣香!」
柏木 恭平「あ、いや、柏木だけど・・・」
桐ケ谷 沙都希「あ、マネージャー・・・」
柏木 恭平「桐ケ谷さん、明日出れない? あの新人が急に辞めちゃってさ・・・」
桐ケ谷 沙都希「すみません、マネージャー。今、取り込んでて!」
柏木 恭平「そ、そうなんだ。わかったよ」
桐ケ谷 沙都希「失礼します!」
  ブツっと電話を切る沙都希。そして、すぐに電話をかける。
桐ケ谷 沙都希「もしもし、警察ですか!? 娘が誘拐されたかもしれないんです!」

〇綺麗なリビング
安曇 巌「・・・つまり、娘さんが何の連絡もなく、帰りが遅いと?」
桐ケ谷 沙都希「そうです」
安曇 巌「で、特に犯人から連絡等もないってことでいいですか?」
桐ケ谷 沙都希「・・・はい」
安曇 巌「残念ですが、現時点で誘拐と断定することはできませんね」
安曇 巌「高校生ですよね? きっと夜遊びでもしてるんでしょう」
安曇 巌「なにかあったら、また連絡ください」
桐ケ谷 沙都希「何かあってからじゃ遅いんです!」
八神 暁「・・・・・・」
安曇 巌「そう言われましてもねぇ」
八神 暁「・・・いわさん、俺が担当するっす」
安曇 巌「誘拐で、デカい事件かもしれないからか?」
八神 暁「・・・違うって言ったら嘘になるっすけど、なにかあってからじゃ遅いっていうのは確かっすよね?」
安曇 巌「・・・これも経験になるか」
安曇 巌「なにかあったら必ず連絡入れろ。あと、呼び出しには厳守だ」
八神 暁「あざっす!」
安曇 巌「ま、しっかりと無駄骨、折ってこい」
八神 暁「うっす!」

〇綺麗なリビング
桐ケ谷 沙都希「・・・あの、ありがとうございます」
八神 暁「・・・あれだけ大見得切っておいて、なんすけど、実はご期待には応えられないっす」
桐ケ谷 沙都希「え?」
八神 暁「もう22時っす。今からだと聞き込みにも行けないっすから」
八神 暁「できるのは、せいぜい、運転手くらいっすけど、心当たりがあるところはもう行ってるっすよね?」
桐ケ谷 沙都希「・・・・・・」
八神 暁「どうかしたんすか?」
桐ケ谷 沙都希「私、知らないんです。あの子の友達や行きそうなところ」
桐ケ谷 沙都希「・・・何も、知らない」
八神 暁「・・・これは子供の視点っすけど、高校生にもなれば、あんまり親に友達のことは話さないもんすよ」
桐ケ谷 沙都希「でも、あの子は、今まで隠し事なんか・・・」
八神 暁「いやいや。隠し事じゃないっす。わざわざ言わないだけっす」
桐ケ谷 沙都希「・・・」
八神 暁「とにかく、明日の朝まで待って、帰って来なかったら、聞き込みを始めましょう」
桐ケ谷 沙都希「・・・はい」
八神 暁「不安なのはわかるっすけど、今は出来ることがないっす」
八神 暁「闇雲に探すわけにもいかないっすから」
桐ケ谷 沙都希「・・・そうですよね」
八神 暁「あ、由衣香さんのこと、聞かせてくれないっすか?」
八神 暁「あと、写真もあれば」
桐ケ谷 沙都希「スマホで撮った写真があるんですが・・・」
八神 暁「携帯に送ってくださいっす」
桐ケ谷 沙都希「送りました」
八神 暁「あざっす」
  暁が送られて来た写真を見る。
八神 暁(あれ? ・・・どこかで見たような?)
桐ケ谷 沙都希「どうかしました?」
八神 暁「いえ。それより、由衣香さんがここまで帰りが遅くなるってことは、今までで一度ものなかったんすよね?」
桐ケ谷 沙都希「はい。・・・週に3回、手芸部の活動で遅くなることがありますが、絶対に21時には帰ってきてました」
桐ケ谷 沙都希「それに、19時過ぎるときは、メールを入れてくれます」
八神 暁「・・・今も由衣香さんの携帯は電源が切られてるんっすよね?」
桐ケ谷 沙都希「さっきも電話をかけてみたんですけど・・・」
八神 暁「もしかしたら、友達の家に泊まることになって、連絡を入れようとしたときに携帯が壊れたかもしれないっすよ?」
桐ケ谷 沙都希「それなら、友達の携帯からかけませんか?」
八神 暁「あー、意外と自分以外の電話番号って覚えてないものっすよ」
桐ケ谷 沙都希「・・・・・・」
八神 暁「とにかく、俺は近くのホテルに泊まるので、何かあったらすぐに連絡してくださいっす」
桐ケ谷 沙都希「・・・わかりました」
八神 暁「じゃあ、明日、6時に来ますんで」
桐ケ谷 沙都希「・・・ありがとうございます」
  暁が家から出ていく。
桐ケ谷 沙都希「・・・・・・」
桐ケ谷 沙都希「由衣香・・・・・・無事よね? ちゃんと戻ってくるよね?」

〇綺麗なリビング
桐ケ谷 沙都希「・・・・・・」
  インターフォンが鳴る。
  沙都希がドアを開けると暁が立っている。
八神 暁「・・・昨日は何か連絡あったっすか?」
桐ケ谷 沙都希「・・・いえ」
八神 暁「じゃあ、聞き込みに行きましょう」
八神 暁「桐ケ谷さんは学校に行って、担任や友達周りに話を聞いてみてくださいっす」
八神 暁「俺は由衣香さんの通学ルート周りの聞き込みをしてみるので」
桐ケ谷 沙都希「はい。お願いします」

〇学校の部室
元宮 春樹「今どきの高校生にはよくあることなんですよ」
元宮 春樹「親に黙って外泊することなんて」
桐ケ谷 沙都希「でも、今まで連絡くれなかったことなんてないんです」
元宮 春樹「何の前触れもなく急に始まるものですよ。反抗期は」
桐ケ谷 沙都希「ですが!」
元宮 春樹「もう少し様子を見ましょう」
桐ケ谷 沙都希「先生!」
元宮 春樹「桐ケ谷さん。・・・これは教師としてだけではなく、親としての助言です」
元宮 春樹「・・・由衣香さんが帰ってきたとき、あまり怒らないでやってください」
元宮 春樹「理由も問い詰めない方がいいですよ」
桐ケ谷 沙都希「・・・無事に帰ってきてくれれば、私はそれでいいんです」
元宮 春樹「・・・クラスの連中にも、何か知らないかそれとなく聞いてみますよ」
桐ケ谷 沙都希「あ、先生!」
桐ケ谷 沙都希「手芸部の顧問と部員の人にも話を聞きたいんですけど」
元宮 春樹「・・・手芸部?」
元宮 春樹「そんな部、うちにはないですよ」
桐ケ谷 沙都希「・・・え?」

〇新橋駅前
  暁が、由衣香の写真の画像を見せて、聞き込みをしている。
八神 暁「・・・知らないっすか。ご協力、ありがとうございました」
八神 暁(さすがに一人じゃ効率が悪いな。監視カメラでもあれば、いいんだけど・・・)
八神 暁「あ、すいません」
八神 暁「ちょっといいかな? 警察なんだけど」
女子生徒A「はい?」
八神 暁「昨日の夕方以降、この子、見なかった?」
女子生徒A「・・・いえ、知らないです」
女子生徒B「あれ? この子、あれじゃない? 噂の」
八神 暁「噂?」
女子生徒B「パパ活してたって」
八神 暁「え? パパ活?」
八神 暁「嘘!? この子だよ? ホントに?」
女子生徒B「うん。間違いないと思うよ」
女子生徒B「学校で、結構、問題になったもんね」
女子生徒A「ちょっと! それ、言わないようにって言われてるでしょ!」
女子生徒B「あ、そうだった」
八神 暁「ちょちょちょ! 詳しく聞かせて!」
女子生徒A「すみません。学校、遅刻するんで」
女子生徒B「行こ行こ!」
  女子生徒たちがそそくさと行ってしまう。
八神 暁「マジか・・・。人は見かけによらないな」
八神 暁(にしても、パパ活か・・・。これは恋愛トラブルでの監禁の可能性も出て来たぞ・・・。最悪、もう──)
  そのとき、電話が掛かってくる。
八神 暁「あ、いわさんっすか? 今、聞き込みしてるんすけど・・・」
安曇 巌「八神。すぐに戻って来い・・・」
八神 暁「何かあったんすか?」
安曇 巌「・・・死体が見つかった」
八神 暁「・・・・・・え?」
  第三話 終わり。

次のエピソード:エピソード4 忍び寄る追跡者の影

コメント

  • ラストの急展開には驚きですね!それにしても、由衣香さんに関する謎や疑問が浮かび上がってきましたね。高校生と親とのリアルな距離感を感じられて、どんどん興味がそそられます!

成分キーワード

ページTOPへ