っていうか、早く帰りたい。(脚本)
〇古いアパートの一室
働きたくない
働きたくない!働きたくない!働きたくない!働きたくない!働きたくない!働きたくない!
矢田陽「あー!世界が滅べばいいのに!」
矢田陽「くそが!くそがぁ!」
矢田陽「まずい!もう10時!」
うちの会社の始業時刻は10:15からだったかな?
電車での移動を考えると、出社時刻に間に合わせるのは、もう絶望的だ。
・・・これで一体何回目の遅刻というのだろう。
でもねっ!
うちの会社は、PCで出勤確認をするから・・・
矢田陽「同期の愛ちゃんに、代返をしてもらおう!」
同期の愛ちゃんは、僕のよき理解者である。と同時に
矢田陽「また100円持ってかないと・・・」
愛ちゃんは、1回あたり100円でタイムスタンプを押してくれる。
参考だが、あいつはBL大好きな腐女子だ!文字通り腐ってやがる!
魔界の使者「おめでとうございます。矢田様!」
矢田陽「な、なにもの?!てか、どっからきた?」
いつの間にこいつはいたんだ?
魔界の使者「今回の遅刻で、魔界遅刻ランキング1位になりました!」
魔界の使者「これによって、あなたは遅刻魔の王。「遅刻魔王」の称号が付与されます!」
矢田陽「え?はっ?」
魔界の使者「早速ですが、隣町にモチベ・5(ファイヴ)が現れました!」
魔界の使者「ぶっ潰しに行きましょう!」
矢田陽「よくわかってないけど、なにそれ?あんた誰?」
矢田陽「なんであんたに従わなきゃいけないの?魔王ってなんだ?アニオタかなんか?」
矢田陽「金でるの?ネトゲのイベントに参加しなきゃいけないんだけど」
矢田陽「あ、あとドクペとポテチも食わないとだから」
言いすぎたか・・・。
目の前のよくわからない生物らしきものは、じっとり湿った視線でこちらを見つめている。
男?可愛い女子ならまだしも、見つめてくるなよ。
魔界の使者「・・・」
魔界の使者「何もかも、一つ一つの言葉から腐臭がする!素晴らしい!」
魔界の使者「お考えものぞかせてもらったが、これも腐敗度が高い」
矢田陽「え?なにそれ、褒めてるの?貶してるの?」
どさっ!
矢田陽「え?」
魔界の使者「一回の仕事で30万払います!」
魔界の使者「今抱いている不満を言うだけで、結構です」
魔界の使者「前任のお仕事は大体30分程度でした」
矢田陽「は?え?どう言うこと?」
魔界の使者「ですから、魔王様の お言葉 をいただくだけのお仕事です」
矢田陽「よくわかんないけど、30万もらえるならいいかなぁ」
魔界の使者「さすが、魔王様!よくわからないけど金で受けるとか腐敗度が高い!」
魔界の使者「安心してください!合法なお仕事です」
矢田陽「だから、お前バカにしてんのか?」
〇ゆるやかな坂道
矢田陽「あ、会社どうしよう」
魔界の使者「お仕事は月10回ほどあります。生計は十分立てれますから!」
矢田陽「よかった、あんなブラック企業なんぞ二度と行くか」
魔界の使者「さすが」
矢田陽「腐敗度が高い だろ?」
魔界の使者「・・・」
魔界の使者「魔王様、取り合えずスーツ着替えましょう」
魔界の使者「そんな体で戦闘なんてみっともない」
矢田陽「お前、またバカにしたな?それより戦闘って」
魔界の使者「魔王スーツ!カマン!」
セリフ取られたからって無視すんなよ
遅刻魔王「な、な、なんじゃこりゃ!」
魔界の使者「リアクションも素晴らしい!さすが」
遅刻魔王「腐敗度が高い だろ?」
魔界の使者「・・・」
遅刻魔王「これピチピチなんだけど、どうやって脱ぐの?」
魔界の使者「隣町までワープしますよ?」
また無視しやがった。
〇裁きの門
遅刻魔王「おい!どうみても隣町って雰囲気じゃないぞ!」
魔界の使者「ま、どこでもいいじゃないですか」
魔界の使者「きっちり帰れますので!」
面白そうだから最後まで付き合ってやるか
魔界の使者「魔王様、あそこで戦っている5人の人間、見えますか?」
かなり遠目からだが、確かに人が数名。黒い連中と戦っているのが見える。
遅刻魔王「なんだ?あの黒い塊みたいなやつ」
魔界の使者「あれは、ハラスメント・レンジャーですね」
魔界の使者「名前は多すぎて覚えてません」
魔界の使者「左から、モラル・パワー・セクシャル・アルコール・・・約100人ほどいます」
ハラスメント・レンジャー「ウキィ!」
魔界の使者「ハラスメントが多い時代ですからねぇ」
なんのこっちゃ
遅刻魔王「とりあえず、あの黒いヤツらをなんとかすればいいわけ?」
魔界の使者「いいえ、違います」
魔界の使者「戦っている人間の方をなんとかしてください」
遅刻魔王「え・・・」
コミュ障である僕は、喧嘩なんてした時がない
勝てるはずがない
隙を見て逃げよう
魔界の使者「では!敵キャラのメンバー紹介行きまーす!」
遅刻魔王「・・・」
魔界の使者「紅一点、愛!」
遅刻魔王「え?愛ちゃん?!」
今日は会社じゃないのか?!俺のタイムスタンプはどうなった?
魔界の使者「最弱戦士!勇気!」
遅刻魔王「おい、なんか小学生がまじってるぞ」
魔界の使者「まずまず強い!希望」
遅刻魔王「キャラと名前があってない気が」
魔界の使者「つぎは、モチベ最強戦士!」
魔界の使者「マネー・ジャガー!」
遅刻魔王「ん?」
遅刻魔王「このかぶりもの。虎じゃない?」
魔界の使者「ジャガーです」
遅刻魔王「マネーのト・・・」
魔界の使者「ジャガーです!」
あっ(察し
そのうち運営に怒られるぞ
魔界の使者「魔王様。両手を彼らの方に出してください」
遅刻魔王「ん?こうか?」
魔界の使者「そうそう、そのポーズです」
遅刻魔王「なんだこれ?」
魔界の使者「その状態で、会社への不満をぶちまけてください!」
魔界の使者「おそらく、今日は3回で帰れるでしょうね」
遅刻魔王「???」
遅刻魔王「まぁ、これを三回で帰してくれるんだろな?」
魔界の使者「はい!お約束します」
遅刻魔王「えー、じゃぁ」
遅刻魔王「安月給で!社内恋愛もあるわけじゃないし!ブラックすぎんだよ!バァカ!将来性も期待できねぇ!社食もクソマジいんだよ!」
魔界の使者「・・・」
言いすぎたか。
魔界の使者「す、すごい」
遅刻魔王「えっ?」
両手から放たれた閃光は
一瞬にして、戦闘が行われているエリア一帯を火の海にした
〇炎
希望「ああ・・!愛!勇気!」
日の海に包まれたモチベ5の戦闘員は3人しか見つけることができなかった
希望「愛と勇気だけが、友達だったのにぃいい!」
そのコメント、色々と怒られるぞ
魔界の使者「ジャガーと勇気は、さっきので仕留められそうですけど、同じフレーズにします?」
希望「戦闘中によそ見とは!しねぇえ」
どう見ても、名前とキャラがあってない
彼の拳は、何度かスーツを殴ったようだが
遅刻魔王「全然痛くない?なにこのスーツ」
魔界の使者「それはそうでしょう、何せ魔界の王の鎧ですから」
マネー・ジャガー「家賃・光熱費・N●Kアターック!」
あっ。ちょっと痛い
遅刻魔王「確かに!家賃・光熱費は大事だ!」
N●Kは知らん
遅刻魔王「でもなぁ、滞納すればいい話だけどねっ」
希望「まずい、今回の魔王にはうつ手がない」
マネー・ジャガー「何か!手は・・・・」
〇モヤモヤ
遅刻魔王「おい、薄々気がついてるんだが」
遅刻魔王「これ、倒してる相手は 『僕自身』 だろ?」
魔界の使者「・・・」
遅刻魔王「あの敵のハラスメント・レンジャーは、会社で働くのモチベーションを下げる環境たち」
遅刻魔王「人間として戦ってるのは、会社に行くモチベーションたち。愛・勇気・希望・お金・後なんだっけ・・・」
魔界の使者「実は敵役として、今回は字数制限で紹介できませんがリスク・ブラザーズもいたんですよ?」
魔界の使者「でももう遅い!」
魔界の使者「貴方は一生遅刻魔王として、この世を腐敗させる遅刻の伝道師として生るのです!」
遅刻魔王「金は出るのか?」
魔界の使者「ええ、もちろん。一生出ますよ」
遅刻魔王「だったらいいかな・・・」
魔界の使者「ふふふ、さすが遅刻魔王様。明瞭な判断だ」
遅刻魔王「ネトゲーもし放題で金も出るならいいか」
〇炎
遅刻魔王「で、どうするの?降参するの?」
マネー・ジャガー「金がもらえるなら!」
さすが俺
使い魔が、虎(ジャガー)の後ろに何かがいることに気がついたようだ
魔界の使者「しまった!さっきの攻撃で仕留めきれてなかっただと!」
魔界の使者「それにやつの生命力の残量は使い切ったはず!まだ残っているとは思えない!」
悠久の戦士「やだなぁ。まだ僕がいるのに」
遅刻魔王「いや!そんな馬鹿な!」
魔界の使者「伝説級ですよこれは」
悠久の戦士「ハハハ!悠久の戦士とは俺のことだ!」
有休の戦士の、誤字なだけじゃねえか。
魔界の使者「我らの遅刻も解消でき、お金も休みも全てが手に入る究極の聖剣戦士!」
魔界の使者「まさに、善悪を兼ね備え持つ戦士!」
有休全部使ったんじゃなかったっけ。あ!
遅刻魔王「そうか、お前!今年は閏年で、有休も追加で配布されたやつだな!」
悠久の戦士「そのトーリ!」
悠久の戦士「と言うことで、今日は会社に電話して有休ってことにしません?」
遅刻魔王「サンセー」
魔界の使者「サンセー」
マネー・ジャガー「俺は金がもらえればどうでもいい」
さすが俺
悠久の戦士「よーし決定!じゃあ、早速会社に電話しよ」
〇古いアパートの一室
プルル・・・
矢田陽「あっ、す、すみません。矢田です」
矢田陽「今日、お腹痛いので有休使っていいですか?」
矢田陽「はい、ヒャい。すみませんでした」
ガチャっ
矢田陽「ふぅ、平和は守られた・・・」
魔界の使者「まぁ、今日は引き分けとしておきましょうかね」
矢田陽「え、まだお前かえんないの?」
魔界の使者「俺たちの冒険はこれからだっ!」
その終わり方、やめてあげて(汗
矢田陽は「やだよう」なんだもんね。名前からして社会参加拒否してますよね。自分のモチベーションを潰しているのは自分自身という身も蓋もない結論を笑える人は現代社会にはいないかもですね。最後の頼みの綱が悠久ならぬ有給戦士というのもトホホでした。彼は遅刻魔王の座に当分君臨し続けそうですね。
何年か前のように、希望する職業に就くのが難しいところか、転職するにも困難極まりないこの時代、主人公のように鬱憤たまっている人沢山いると思います。そんな人たちへ真の救世主が現れたらいいですね。
確かに世の中に対する不満…皆少なからずあるでしょう…。
私も不満をぶちまけるのならたくさん出てきます笑
それが人間らしさなのかもしれませんが!