托卵む〜たくらむ〜

ゆきんこ

第五話 雛の巣立ち(脚本)

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〇一戸建て
百寿(もず)「未来、家に着いたぞ〜」
百寿「あれ? 四十雀さん!?」
四十雀(しじゅうから)「室長、先日は・・・」
四十雀(しじゅうから)「大っ変!申し訳ございませんでした!!」
四十雀(しじゅうから)「山よりも高く、 海よりも深く反省しております!」
四十雀(しじゅうから)「この名店グラン・マのロールケーキを、 雛ちゃんとお納めくださいッ!!」
四十雀(しじゅうから)「では自分は、失礼します!」
百寿(もず)「イヤイヤ。 昨日のことなら、気にしなくていいから」
四十雀(しじゅうから)「だ、だ、だって!」
四十雀(しじゅうから)「ママになりたいとか言っちゃったですし! まるで逆プロポーズじゃないですかっ!」
百寿(もず)「逆プロ・・・」
百寿(もず)「え?? アレって、そういうことなの?」
四十雀(しじゅうから)(分かってなかったんか〜い!)
四十雀(しじゅうから)「こうなったら、ハッキリ言いますよ」
四十雀(しじゅうから)「私は室長が大好きです! 私と結婚して下さい!!!」
百寿(もず)「俺は・・・」
百寿(もず)「一周り離れているオジサンだけど、良いのかな・・・?」
百寿(もず)「ありがとう。 前向きに検討させてください」
百寿(もず)「立ち話も何だから、家に入ってよ。 雛も、四十雀さんが来たら喜ぶからさ」
四十雀(しじゅうから)「今日は、(メンタルがムリなんで)帰ります!」
四十雀(しじゅうから)(今すぐに、自分をフルスイングしたい! バッティングセンター寄って帰ろう!)

〇飾りの多い玄関
百寿(もず)(結婚・・・逆プロポーズ? 雛に何て報告しよう?)
百寿(もず)「雛〜! ただいまッ!!」
百寿(もず)「2階かな?」

〇部屋のベッド
百寿(もず)「え!? 雛の荷物が無い! どういうことだ!?」
百寿(もず)「手紙・・・」
百寿(もず)「ママと暮らすことにしました!? な、何で急にッ・・・ハアッ?」
百寿(もず)「四十雀さんとお幸せにって・・・! 何だよコレ!?」
百寿(もず)「チクショー! 何でだよ、雛!! 何で郭子なんかのトコロに・・・」
百寿(もず)「パパのことが大好きなんじゃ、なかったのかよ!!」
百寿(もず)「・・・」
百寿(もず)「俺のせい、だよな」
百寿(もず)「若い女の子にのぼせ上がる親父・・・ ましてや赤の他人なんか、 気持ち悪くて見ていられないよな・・・」
百寿(もず)「ゴメン、雛。 俺じゃお前を、幸せにすることが出来なかったよ」

〇シックなリビング
雛(ひな)「ママ、今日からヨロシクお願いします」
郭子(かっこ)「アハハ。 一応〜血は繋がっている母娘なんだから〜普通にしてよ〜」
郭子(かっこ)「雛の好きな料理は〜? せっかくだから、お祝いしましょ〜」
雛(ひな)「宅配? ママは料理しないの?」
郭子(かっこ)「1人分を作るくらいなら、 材料費の方が高いわよ〜」
郭子(かっこ)「それにアタシ〜 料理の腕はイマイチなのよね〜」
雛(ひな)「じゃあ今日は、私がすき焼き作るねッ!」
郭子(かっこ)「エ〜ッ!? 高校生のくせに、料理出来るの?」
雛(ひな)「まーね! 今から買い物行ってくるわ。 ママはゆっくり休んでいてね」
郭子(かっこ)「あっそう・・・」

〇おしゃれなリビングダイニング
郭子(かっこ)「やるじゃん! 美味しそ〜」
雛(ひな)「ママ、手を洗ってからいただきますしてね!」
雛(ひな)「あと、卵付けながら食べると美味しいわよ!ほら、溶いてあげる」
郭子(かっこ)(雛って・・・ こんなに明るい子だったの?)
郭子(かっこ)「美味しい!」
郭子(かっこ)「前に、葦雀に連れて行ってもらった、 銀座の料亭を思い出したわ〜!」
雛(ひな)「でしょ? 最近、料理には自信あるんだ!」
雛(ひな)「ところで・・・ ママは葦雀さんとはうまく行ってるの?」
郭子(かっこ)「表面的にはね〜 男なんて、皆最初だけ」
郭子(かっこ)「百寿みたいにお金が無くても〜 葦雀みたいにお金があっても〜」
郭子(かっこ)「愛情だけは、長続きしないわね・・・」
郭子(かっこ)「まあ、お金には困らないから、生活は楽よ!」
郭子(かっこ)「そうだ・・・ねえ、雛。 整形しない?」
郭子(かっこ)「ママも目頭切開と小鼻縮小、 あとヒアルロン酸注入はやってるのよ」
郭子(かっこ)「イケメンの金持ちと結婚するには、見た目が良くなきゃね!!!!」
雛(ひな)「整形かあ・・・興味はあるけど・・・ 彼が何て言うかしら」
郭子(かっこ)「ウソでしょ〜!? アンタに彼氏居るなんて、聞いてないわよッ・・・!?」
雛(ひな)「最近、告られたんだ。 まだパパにも話してないから、ナイショね」
郭子(かっこ)「写真は!? 証拠見せなさいよ!」
雛(ひな)「しょーがないな。 ハイ」

〇教室
郭子「まさかの青い目の彼氏〜!?」
雛「イギリス人よ! パパは大手輸入会社のCEOなんだって!」

〇おしゃれなリビングダイニング
雛(ひな)「転校初日から私に一目惚れしたらしくて、いきなり告られたの」
雛(ひな)「付き合ってみたらすごく優しいし、頼りがいあるし」
雛(ひな)「今の私には、整形なんか必要ないのよね」
郭子(かっこ)(雛も、百寿も幸せなのね〜)
郭子(かっこ)(それに比べて、アタシは・・・)

〇西洋風のバスルーム
郭子(かっこ)「左手の麻痺で上手く洗えないから、背中を流すのを手伝ってちょうだい」
雛(ひな)「ママ・・・何よ、その背中!」
郭子(かっこ)「ああ・・・退院してすぐは麻痺が酷くて動けなかったから、葦雀の愛人たちが交代で世話をしに来たんだけど」
郭子(かっこ)「熱湯を浴びせられたり、金タワシで肌を擦られたりしたから」
郭子(かっこ)「背中がメチャクチャよね」
雛(ひな)「葦雀さんには言ったの!?」
郭子(かっこ)「葦雀に言ったらアタシの負けよ」
郭子(かっこ)「リハビリが終わったら、 順番に復讐してやる」
雛(ひな)「ママ。 復讐なんて、止めて」
郭子(かっこ)「何よ。 説教する気?」
雛(ひな)「憎しみは憎しみしか生まないわ。 ママがイジメの対象になったのは悲しいけど」
雛(ひな)「そのイジメた人たちと同じことをしたら、自分も駄目な人間に貶めることになる」
雛(ひな)「これからは私がママを守る。 2度と手出しはさせないわ!」

〇貴族の部屋
雛(ひな)「これが私の部屋!? まるで貴族の寝室ね!」
郭子(かっこ)「アハハ何ソレ。 あんたって、ホントに面白いコね! 退屈しないわ」
雛(ひな)「私もよ。 ママってもっと冷たくて意地悪で、マレフィセントみたいな人かと思っていたけど」
雛(ひな)「意外と面白い人よね!」
雛(ひな)「私、高校卒業したら、ママのお世話しながら働けるように、介護士になろうかと思っているの」
雛(ひな)「呑気にパパと一緒に暮らしていたら、将来の夢なんて考えたりもしなかったかもね」
雛(ひな)「ママ、ありがとう」
郭子(かっこ)「雛・・・」
郭子(かっこ)「今日だけ・・・一緒に寝ようか」

〇学校の校舎

〇教室
同級生「今日は放課後遊びに行けるんだね! 赤ちゃんはダイジョブなの?」
雛(ひな)「うん!」
雛(ひな)(未来は・・・大丈夫だよね。 四十雀さんはオムツとか、ミルク作るの完璧だったし)
雛(ひな)(ママと暮らすようになって、家事も育児もしなくて良くなったから、友だちと遊べるようになった)
雛(ひな)(これが普通。 一般的なJKの日常なんだよね)
雛(ひな)(でも、なんだろう)
雛(ひな)(ココロにぽっかり穴が開いたみたいに、 悲しいよ・・・)
同級生「雛、泣いてる? 突然どうしたの!?」
雛(ひな)「分からない・・・」
雛(ひな)「私もどうしたらいいのか、分からないの・・・!」

〇一戸建て

〇ダイニング
四十雀(しじゅうから)「・・・!」
四十雀(しじゅうから)「室長ってば!」
百寿(もず)「悪い、聞いて無かった。 何て言ったの?」
四十雀(しじゅうから)「もう、室長! いつになったら雛ちゃんを迎えに行くんですか!?」
四十雀(しじゅうから)「雛ちゃんが出て行ってから、 3ヶ月経ちましたよ!」
百寿(もず)「迎えに行くも何も、雛が自分で決めて出て行ったから、どうすることも出来ないよ」
四十雀(しじゅうから)「室長は、それで良いんですか?」
四十雀(しじゅうから)「雛ちゃんのことばっかり考えて、家でも会社でも、」
四十雀(しじゅうから)「1日中ボケーッとしているじゃないですか!」
百寿(もず)「ウッ!それは・・・」
四十雀(しじゅうから)「雛ちゃん、もしかしたら私に遠慮して出て行ったのかもしれません・・・」
四十雀(しじゅうから)「もし、2人の間で誤解とかあるなら、ちゃんと話しはしたほうがいいと思います」
百寿(もず)「君が思っている以上に、俺たちは複雑な関係なんだ」
百寿(もず)「悪いけど、口出ししないでくれないか?」
四十雀(しじゅうから)「そんなこと言われて、私が凹むとでも?」
四十雀(しじゅうから)「百寿親子には、口も首も、 手も足もツッコませて貰いますッ!」
四十雀(しじゅうから)「だって、私は2人が大好きなんです!」
四十雀(しじゅうから)「アッ、未来もだよ!」
百寿(もず)(こんな気持ちは久しぶりだ)
百寿(もず)(誰かに心配されていることが、 こんなにも嬉しいなんて)
百寿(もず)「君の言うとおりかもしれない」
百寿(もず)「郭子に連絡してみるよ」
未来(みらい)「キャッキャッ」

〇総合病院

〇病院の診察室
四十雀(しじゅうから)「エエッ!」

〇街中の階段
四十雀(しじゅうから)(妊娠3ヶ月だなんて♪ 室長にはいつ、何て報告しようかな〜!)
???「あの〜スミマセン 手を貸してくれませんか?」
四十雀(しじゅうから)「大丈夫ですか?」
???「長い階段を登っていたら、 具合が悪くなってしまったみたい」
四十雀(しじゅうから)「さあ、私に掴まって下さい!」
???「ありがとうございます。 あら、アナタ、もしかしたら妊婦さん?」
四十雀(しじゅうから)「分かります? 私も太っただけかと思っていたら、 オメデタだったんで驚いちゃいました」
???「それは・・・」
郭子(かっこ)「許せないわね」

〇血しぶき

次のエピソード:第六話 郭子のターン

コメント

  • 効果音とともにギャー!です!😱
    かっこ、やめてー!💦

  • 百寿さんと四十雀さんが良い関係になり、雛ちゃんには彼氏ができ、郭子さんも雛ちゃんの影響であの気性に変化の兆しが、、、素敵なホームドラマの雰囲気が出てきたところでの衝撃のラスト、衝撃でした。妊婦さんへの加害って一番心にキますね!

  • すれ違いはあれど、それぞれうまくいきかけているかと思ったのですが…難しい。それまでの経緯が複雑だと、簡単に大団円とはいきませんね。

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