39醒:キーワード『エニシ』(脚本)
〇綺麗なリビング
レドイ「はー。」
ネフテ「ふー。」
レドイ「なんだかすごい話で楽しいね!」
ネフテ「...」
ネフテ「そうね。」
デミル「一息つけたかな。」
ネフテ「えぇ、大丈夫よ。 早く続きを話して。」
レドイ「私もだいじょーぶ!」
デミル「脳のロボット化についてだな...」
デミル「結論から言うと...」
(ゴクリ...。)
デミル「人間の脳は、全宇宙と繋がっているんだ。」
ネフテ「はぁ!? そんなこと信じられるわけないでしょ!?」
デミル「まぁまぁ、そう焦らずに。」
デミル「世界を渡るには「夢」が、キーポイントになる所までは、我々も辿り着いていた。」
デミル「そこで夢を解析し、別宇宙の存在が濃厚になった。」
デミル「そこで、ロボットでも夢を見られるように、解析とインストールを続けた。」
デミル「しかし、ロボットは、1+1=2はできても、0+0=1はできないんだ。」
デミル「人間の脳は、無から有を生み出すブラックボックスだったんだよ。」
デミル「人間の脳は、経験や積み重ねから発想をすることに加え、0から生み出す天啓というものが存在する。」
デミル「それがまさに、夢ということだ。」
ネフテ「科学の力を持ってしても、神には敵わなかったということね。」
デミル「そう言われると悔しいが。」
デミル「一応、理論上はロボットでも夢を見られるんだが、それには現実が伴わず...」
デミル「つまりは、別世界の全ての人間の夢を解析し、インストールすれば、夢を見られる、と言えるのだが...」
デミル「果たしていくつ別宇宙が存在するのか...」
デミル「そこに生きる人間も、どのくらいのタームで増えるのか、解析とインストールが追いつかなければ、もはや無限。」
デミル「さすがの科学も無限には敵わない。」
デミル「それが、ドリーミング計画破綻の理由だ。」
デミル「追手が激しいのも困ったもんだったがね。」
ネフテ「ドリーミング型ロボットに、人間の頭を使わなければならない理由が、はっきりしたわね。」
デミル「頭に対して身体がロボットというのは、世界の折り目の圧力に負けない為だ。」
デミル「ネフテくんのボディは、そこらのロボットとは比較にならないくらい強硬だよ。」
ネフテ「ミニ原子炉はいらないと思うけどね...」
デミル「そんなことはない! 別世界とは、未知の世界だ!」
デミル「向こうの世界で、ネフテくんに何かあれば、ローズに顔向けできないからね。」
ネフテ「そうね。 記憶はないけれど、別世界でその装備に助けられているかもしれないわ、ありがとう。」
デミル「そうだ。ローズで思い出したよ!」
デミル「実は、出会った時から、レドイくんが私の妻に似ている気がしてね...」
「え...」
デミル「調べさせてもらったよ! 髪の毛を一本ばかり失敬した!」
ネフテ「なんてデリカシーのない...」
デミル「そしたら、やはり!」
デミル「レドイくんは、ネフテくんの子孫だったよ!」
ネフテ「はぁ!? 私は子供なんて産んでないわよ!?」
デミル「まぁまぁ、ネフテくん。」
デミル「それは、エミリアか、シルメットだろう。」
ネフテ「あ、そうか...」
ネフテ「でも、信じられない... 私とレドの血が、繋がっているなんて。」
デミル「繋がっている...とは言っても、だいぶ薄いだろう。」
デミル「そこには別の人間の人生が、3000年程存在するんだからね。」
レドイ「すごい...」
ネフテ「そうね。それでも私たちは繋がった。」
デミル「そう。それがエニシ。 ドリーミングから戻ってくる為の大切なキーだ。」
デミル「今回は、それが上手くいかず、長い間戻ってこられなかったか可能性がある。」
デミル「戻ってくる際の事故も、エニシが関係あるかもしれない。」
デミル「些細なエニシで戻れるように調整しておくよ。」
ネフテ「えぇ、お願い。」
レドイ「...」
デミル「今後のこともあるだろう。 あとはお若い二人に任せるよ。」
デミル「それじゃぁ、何かあればいつでも呼んでおくれ。」
〇黒
〇綺麗なリビング
レドイ「ねぇ、ネフ...」
ネフテ「そうよ。」
ネフテ「レドが思ってることは、当たってる。」
レドイ「当たってない!!!!」
レドイ「だって...!!」
レドイ「ネフはずっと一緒にいるって言った!!!!」
ネフテ「ごめん。 本当に自分勝手だって思ってる。」
ネフテ「でも!」
ネフテ「この気持ちは止められない!!」
ネフテ「私は別世界へ行く!!」
レドイ「そんなの...」
レドイ「私には、どうしようも...」
ネフテ「そうよ。 止めることなんてできないの。」
ネフテ「私がレドを止められなかったように。」
ネフテ「出発まで時間はある。」
ネフテ「それまでに考えなさい。」
ネフテ「私が私を見つけられたように。 レドもちゃんと自分を見つけるのよ。」
ネフテ「もちろん! 私ができうる限り手伝うわ!」
ネフテ「だから...」
ネフテ「泣かないで...」