さいごのネフテとさよならのレドイ

宇野木真帆

38醒:NEXTキーワード「イモータル」(脚本)

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〇綺麗なリビング
ネフテ「それで、どうしてパパは、ドリーミング型ロボットにならなかったの?」
ネフテ「別世界への興味はあったんでしょ?」
デミル「あぁ。それはだな...」
デミル「悲しいことに、私はロボットを信用できなかったんだ。」
デミル「自分をドリーミング型ロボットにするとなると、それを行うロボットが必要になる。」
デミル「私は自分の体を、ロボットに預けられなかった。」
ネフテ「そうね。 私もパパじゃなかったら...」
ネフテ「ロボットになるなんて、受け入れられなかったかもしれない...」
デミル「ネフテくんが見た世界を、見せてもらうだけで、私は十分だよ。」
ネフテ「でも、別世界の記憶はインストールされなかったわ。」
ネフテ「私の記憶データは、この世界のバックアップでしょ?」
ネフテ「別世界のデータは、私が戻ってくる時に、壊れてしまったのね...。」
デミル「いいや。」
デミル「別世界のデータは、わずかながら、その身体に眠っているよ。」
デミル「体が覚えてるってやつだ。」
デミル「その微小なデータを、可能な限り復元している。」
デミル「もうしばらく、時間をいただきたい。」
ネフテ「良かった。 私のドリーミングは無駄じゃなかったのね。」
デミル「もちろんだとも。」
ネフテ「聞きたいことは、だいぶ聞けたわ。」
ネフテ「で、ここからが本題。」
ネフテ「ドリーミングプロジェクト、とは一体何?」
ネフテ「私のドリーミングと何か関係があるのかしら?」
デミル「...君たちには話そう。」
デミル「いいや。ぜひ聞いてほしい。」

〇黒

〇綺麗なリビング
デミル「ドリーミングプロジェクトとは...」
(ゴクリ...。)
デミル「別世界へロボットを逃がす計画のことだ。」
デミル「君たちは、2300年に起きたロボットと人間の争いを知っているだろう?」
ネフテ「えぇ。パパが残してくれた資料を見たわ。」
デミル「我々は、その争いを阻止する為に、ロボットを別世界へ逃がす方法を探していたんだ。」
デミル「ロボットたちは限界だった。」
デミル「人間は、逃げたり、辞めることができるだろうが、ロボットにその権利はない。 それが許されない。」
デミル「時代は進むにつれて、ロボットの感受性を高めていったよ。 その頃には人間と変わらなくなっていた。」
デミル「それがピークに達した時、各地で暴動が起こった。 それが、2300年の争いだ。」
デミル「ロボットの暴動に見せかけた、自殺だと云われている。」
デミル「ドリーミングプロジェクトは、間に合わなかったわけじゃない。」
デミル「完成させることができなかったんだ。」
デミル「ネフテくんの記憶にもあるだろう。」
デミル「君のパパが、大切なことは終わってしまった、と言っていなかったかな?」
ネフテ「言っていたわ!」
ネフテ「あれはドリーミングプロジェクトのことだったの!?」
デミル「そうだ。 追手が激しいこともあって、ローズにさえも話せなかった。」
ネフテ「その追手...」
ネフテ「イモータルってやつ?」
デミル「そうだ。 だが、我々も詳しいことは分からない。」
デミル「お互い隠すことが上手だったからな! ハッハッハ!」
デミル「とにかく、我々がロボットを擁護することが気に食わなかったらしい。」
デミル「はっきり分かっているのは、そのくらいだ。」
レドイ「ねぇ、私も聞きたいことがあるんだけど...」
デミル「私で答えられることであれば。」
レドイ「今なら、ロボットは夢を見られる?」
ネフテ「そうね。 この世界に飽き飽きしたロボットたちが、たくさんいるわ。」
デミル「...」
デミル「残念ながら、ロボットは夢を見られない。」
デミル「それはつまり、人間の脳をロボット化することはできない、ということを意味する。」
ネフテ「この時代の科学技術が遅れているから?」
デミル「いいや。それは関係ない。」
デミル「それはイモータルのやつらの仕業だ。」
デミル「あいつらは人類を捨てた。」
ネフテ「それはどういうこと!?」
デミル「人類を保護する機能が停止しているんだ。」
デミル「争い後のロボット製造は、全てイモータルの連中が仕切っている。」
デミル「それはつまり、人類を保護する、様々な機関で働くロボットたちの管理も、イモータルが行っていることになる。」
デミル「人類を保護する機能は、3013年に停止した。」
デミル「再び隕石直撃のような危機が訪れたとしても、今度は避けられない。」
デミル「この世界は私からすれば、まどろみの中にいるのと変わらない。」
レドイ「なんで、イモータルの人たちは、保護してくれなくなっちゃったんだろう...?」
レドイ「人間を...嫌いになっちゃった?」
デミル「そうかもしれないし、そうじゃないかもしれない。」
デミル「すまない。 詳しいことは分からないんだ...。」
ネフテ「ドリーミングプロジェクト、イモータル、大体のことは分かったわ。」
ネフテ「それで、どうして脳のロボット化はできないの?」
ネフテ「人間の脳って...」
ネフテ「そんなにすごいの?」
デミル「おっと、二人のお茶が少なくなっている。」
デミル「続きは、お茶を淹れて一息ついてからにしよう。」

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