『シン』への道!(脚本)
〇塔のある都市外観
タイツマン「まだ分からないのか!豊かな現実があるからこそ健全な理想が生まれるのだ!」
ジーク「その現実がふんぞり返って、理想を踏みにじる事が気に入らぬ!」
タイツマン「際限のない理想を欲望という!お前は所詮どこまでいっても子供の我儘が作り上げた戯事の産物なのだ!」
ジーク「妥協に満ちた現実を腐敗という!大人の戯事によって作られたお前が私を、この町を笑いものにしたのではないか!」
直「ああもう!いい加減にしろーっ!」
直「ジーク!君、2次元すぎ!」
直「もっと着ぐるみとして成立するスタイリングにならないと!」
ジーク「・・・う、うむ」
タイツマン「はっはっは!ようやく私の主張の正しさを受け入れる気になったか!」
直「黙れタイツ男!あんたマジキモイのよ!」
タイツマン「キ、キモイだと?」
直「子供ってさ、キモイもの好きじゃん」
直「あとウ○コとか」
タイツマン「ウ・・・ウ○コ?」
直「あんたウ○コなのよ。ウ○コだから子供が喜ぶのよ」
ジーク「それはちょっと言い過ぎでは?一応、私の分身なのだぞ」
直「でもきっと一番のウ○コは私なんだ」
直「一人よがりで。いい気になって。こんなんじゃ到底イラストレーターなんかになれないよね・・・」
直「だから決めたの」
直「アンタ達を合体させる」
「・・・え?」
直「無気力で、後追いで、センスの欠片もないお役所連中にぐうの音も言わせないキャラクターを作ってやる」
直「ヒーローはパワーアップするもの」
直「パワーアップしてアルティメットになってこそ真のヒーロー」
直「そう・・・」
直「その名もシン・オニキング!」
〇可愛らしい部屋
直「・・・!」
直「夢・・・」
直「いや、夢じゃない」
直「夢にしてたまるか」
〇可愛らしい部屋
直「夢で終わらせてたまるか・・・!」
〇ファミリーレストランの店内
映見「ぱくぱくぱくぱくぱくぱくぱ」
不敗郎「もう無理だと思ったよ」
映見「もぐもぐもぐもぐもぐもぐも」
不敗郎「だってご隠居のピーちゃんってインコだよ」
不敗郎「飛んでった方向、一面山だよ」
映見「ずずずずずずずずずずずずず」
不敗郎「そしたらいたんだよ!どこにいたと思う?」
映見「・・・その地獄のようにつまらん話はいつまで続くのだ?」
不敗郎「ふん。お前っていつもそうだな」
映見「あ?」
不敗郎「すぐ熱くなって、すぐ冷める。何やっても途中でフェードアウト」
不敗郎「ジム通い3ヶ月続いたか?駅前英会話は?登山は?ランニングは?ヨガは?マットピラティスは?」
不敗郎「オニキングプロジェクトは?」
映見「帰る」
不敗郎「待って待ってゴメンゴメン言い過ぎた!」
不敗郎「チカラ貸してくれよ。お互い乗りかかった船じゃないか」
映見「まああれだ・・・」
映見「確かにちょっと凝り性で飽きっぽいところは否めません。申し訳ない」
映見「更年期来るの超怖いです」
映見「で、本題は?」
不敗郎「オニキングだけど、本格的なコスチューム作ろうと思うんだ。誰からもバカにされないような立派なやつを」
不敗郎「そういう業者、調べてくんない?コスプレ専門の」
映見「マック・・・」
不敗郎「金は俺が出すよ。個人的に。出来る限り」
映見「もう終わりにしよう。町議にさんざん怒られたって聞いたよ」
映見「直ちゃんだって・・・」
不敗郎「いや。直ちゃんは関係ないんだ」
映見「そんな意地張らなくても」
不敗郎「町おこしも、もう関係ない」
映見「おいどうした。公僕でしょ」
不敗郎「俺の問題なんだよ」
不敗郎「オニキングは俺なんだよ。俺が悔しいんだ」
不敗郎「馬鹿にしやがって、あのクソテレビ!」
不敗郎「クソ東京!」
映見「ふふ・・・」
映見「あははははは!」
不敗郎「・・・やっぱ、大人げないかな」
映見「大人げないし、カッコ悪いよ」
映見「でも、仕方ないか」
映見「不敗郎(まっけんろう)だもんな」
不敗郎「・・・ああ、負けてたまるかよ」
〇スポーツクラブ
〇稽古場
アクションスクール講師・拳「基本的なところで言えば、技術的にも体力的にも問題ないです。姿勢もいいし。足もちゃんと上がってます」
アクションスクール講師・拳「身体も柔らかいし、柔道の賜物ですね」
不敗郎「恐縮です。運動なんて久しぶりだから」
アクションスクール講師・拳「でも、実は根本的にはアクションは気持ちが一番なんですよ」
アクションスクール講師・拳「段取りじゃなくて『感情の結果としての、アクション』」
アクションスクール講師・拳「つまりは衝動です!」
不敗郎「なるほど」
不敗郎「了解しました!」
アクションスクール講師・拳「頑張りましょう」
アクションスクール講師・拳「では、感情解放から。ついてきて下さい!」
アクションスクール講師・拳「うおおおおおおおおおおおおおおおおッ!」
アクションスクール講師・拳「はい!」
不敗郎「うおーーーーーーーーーーーーーーーーー」
アクションスクール講師・拳「はい、今、どういう気持ちで叫びました?」
不敗郎「大きな声を出さないといけない!と思いました!」
アクションスクール講師・拳「・・・」
アクションスクール講師・拳「お仕事は公務員でしたっけ?」
不敗郎「はい!勤続以来無遅刻無欠勤!真面目だけが取り柄です!」
アクションスクール講師・拳「・・・分かりました」
アクションスクール講師・拳「クソ頑張りましょう!」
不敗郎「はい!」
〇一人部屋
不敗郎「ふう、やれやれ・・・」
不敗郎「今、何時だよ。部活のノリだな」
不敗郎「でも晩飯美味かったからいいか」
不敗郎「・・・って、ジム太りってやつになるかも知れん。いかんいかん」
〇一人部屋
不敗郎「・・・」
不敗郎「・・・」
〇ライブハウスの入口(看板の文字入り)
〇一人部屋
不敗郎「全く。子供ん時が一番夜遊びしてたって、我ながらどういうことだよ」
不敗郎「ははははっ・・・」
不敗郎「・・・」
『馬鹿親父:09×05×385×8』
不敗郎「・・・」
不敗郎「今更、何話すってんだよ」
不敗郎「もしもし?」
『おう、遠藤でっす。今いいか?』
不敗郎「はい。なんすか?」
『さっき町長から連絡が来たんだけどよ』
不敗郎「すいません。お叱りならまた後日・・・」
『いや、そうじゃなくてさ・・・』
不敗郎「・・・」
不敗郎「え?それって、どういう事ですか?」
〇綺麗なコンサートホール
「卜部です」
「おう。入って入って」
〇校長室
不敗郎「失礼します」
若竹町長「悪いね呼びだして。大方の事は遠藤君から聞いてると思うけど」
若竹町長「陣原百太郎さん。私も今日が初対面」
陣原「始めまして。陣原と申します」
不敗郎「岡山市市役所裏山町出張所。卜部です」
陣原「というより、オニキングさんですな」
不敗郎「・・・はあ」
陣原「まあまあ。私もモモタロウですからね」
不敗郎「・・・」
陣原「はははは・・・ははははは」