そして決戦へ!(脚本)
〇田舎の役場
よいこ「ねータイツマンはー?」
遠藤「オニキングは今、修行中なんだよー」
よいこ「ねータイツマンいつもどってくるのー?」
遠藤「オニキングはもうすぐ戻ってくるよー」
めっちゃよいこ「ねータイツマンパワーアップするのー?」
遠藤「タイツマンパワーアップするよー!」
〇校長室
不敗郎「コラボですか?」
陣原「ちょうど来月、隣町のステージで番組あげてのイベントを大々的にやるんです」
陣原「それにゲストとして出て頂きたいんです」
若竹町長「凄いだろ。我が町を大々的にPRする千載一遇のチャンスじゃないか」
不敗郎「ですけど。その、オニキング・・・」
不敗郎「いや、私は色々と問題行動を」
陣原「卜部さん、それについては申し訳ありませんでした」
不敗郎「え?」
陣原「新人ディレクターが妙な編集の仕方をしたせいで、オニキングにとんだ恥をかかせてしまった」
陣原「芸人共も少し目先の笑いに走っていたし、私の言葉もかなり断片的に切り取られてしまった」
陣原「あのキャラクターを一生懸命考えた女の子や頑張って町おこしをしている君の活動を馬鹿にするつもりなんてなかったんだ」
陣原「とはいえ、スタッフキャストは私の身内も同じ。代表してお詫びを申し上げます」
若竹町長「いえいえ、とんでもない!どうか頭をお上げ下さい!」
若竹町長「あの子も卜部君も全く気になどしていませんよ!そうだろう!」
不敗郎「は、はい」
若竹町長「それに土建屋には話はつけている。町議もアイツの言いなりだから黙認するはずだ」
若竹町長「是非、陣原ヘソに協力しなさい」
陣原「陣原フェスです」
不敗郎「協力だなんて、そんな大層なものじゃないです」
〇トレーニングルーム
『私はもう、自分のために・・・』
〇稽古場
『自分がただ、満足したいために・・・』
〇校長室
不敗郎「オニキングは俺自身の趣味・・・」
不敗郎「いや、勝手な意地みたいなもんなんです」
陣原「・・・分かってらっしゃる!」
不敗郎「え?」
陣原「ムーブメントというのは、常に個人発信の自由なものから生まれるんです」
陣原「コンテンツに対し敬意も興味もないのに、単に流行ってるからという理由で企画をごり押しする自治体が世の中にはあまりにも多い!」
陣原「市民にとっては迷惑先万、我々にとっては笑止千万!」
陣原「卜部さんは実にエンターテイメントの本質を理解してらっしゃる」
陣原「町興しは組織よりも小さな団体、団体よりも個人の意志から始まるべきです」
不敗郎「そ、そういうものなんですかね?」
陣原「私の番組も私の勝手な都合と趣味からできたようなものです」
陣原「よそ様の都合なぞクソ喰らえだ」
不敗郎「陣原さん」
陣原「このモモタロウの番組に出ていただけますかな?オニキングさん」
不敗郎「は、はい!宜しくお願いします!」
陣原「よおし!これにて一件落着~!」
〇空
さらに秋は、熱く深まってゆく
〇田舎の公園
不敗郎「ハッ!」
不敗郎「ハッ!」
折口「ねえ。まっけん、最近ちょっとイケメンになってない?」
榊「でもさ、もともと素体はよかったよね」
榊「作業用から戦闘用になった感じ?」
榊「っていうか、榊専用パーフェクトまっけんにしたいんですけど」
折口「だったら折口専用フルアーマーまっけんにしたいし」
榊「じゃあ榊専用まっけんトランザムで!」
折口「折口専用まっけん初号機最終決戦仕様で!」
直「黙れ色ボケども!」
直「集中できん!」
折口「すまぬすまぬ」
榊「で?シン・オニキングのデザインはどう?」
折口「はかどっとるかな~?」
直「あ!やめろ!見るな!」
〇カラフル
〇田舎の公園
「おいおいおいおいおいおいおーーーーい!」
「色ボケはどっちだゴルァーーーーーーー!」
直「ち、違う!これは素体!あくまでも中の人のイメージ!」
直「誰があんなハーフおじさんなんか・・・」
不敗郎「どう?思いつきそう?オニキングのパワーアップバージョン」
不敗郎「俺のトレーニングなんて参考になるかな?」
直「まあ一応、いくつか候補は」
不敗郎「あ、これいいね」
直「・・・!」
直「え、え、え、え、ええとそれはですね」
直「もっともシンプルにしてヒロイックなデザインですが少々個性に欠けるといいますか尖った所がないといいますか」
不敗郎「・・・?」
折口「まっけん、そいつにセンチ単位で近づいちゃダメ」
榊「男の免疫ゼロなんだから」
直「お前らもじゃああああ!」
不敗郎(まずは衝動・・・結果のアクション)
不敗郎「ハッ!」
折口「まっけんは~スポーツとかやってたんですか~?」
不敗郎「柔道をちょっとね」
不敗郎「でも体の動かし方全然違うから」
不敗郎「基礎体力と柔軟くらいかな。アクションに役立ってるのは」
榊「まっけんは~柔道今もやってるんですか~?」
不敗郎「その『まっけんは~』ってのやめてくれないかな?」
不敗郎「マックでいいよ、もう」
直「素人をぶん投げちゃったんだって」
直「それ以来やってないって」
榊「なんでマックの秘密知ってんのよ!」
折口「さては抜け駆けの計か!恐るべし絵師!」
直(あーもう面倒臭いなコイツら)
不敗郎「ハッ!」
不敗郎「ハッ!」
不敗郎「はあ・・・はあ・・・」
不敗郎「衝動・・・衝動・・・」
不敗郎「ぶっ飛ばしたい・・・衝動!」
〇花模様
〇葬儀場
不敗郎「・・・」
フリオ「OK!ヨーコ!」
フリオ「天国なんて静かすぎるだろ?」
フリオ「よく聴いてくれよ!」
不敗郎「やめろよ・・・親父」
不敗郎「やめろ!」
フリオ「いつまで泣いてる?」
フリオ「目が真っ赤」
フリオ「ヨーコも・・・ママもきっと悲しんでる」
不敗郎「・・・」
フリオ「つらい時こそハッピーに・・・それがママの願い。オレ達家族のやり方」
不敗郎「いつもいつも・・・少しは人の目考えろよ」
不敗郎「ここは親父の国じゃないんだ!」
フリオ「私の国でも、こんなことする人いないよ」
フリオ「でもそれが私とヨーコのやり方」
フリオ「人なんて関係ない」
フリオ「さあ!マックも歌おう!マックも踊ろう!」
フリオ「天国のママ、楽しませよう!」
不敗郎「・・・マックじゃない」
不敗郎「俺は卜部」
不敗郎「この国の、この町の、卜部不敗郎だ!」
〇田舎の公園
折口「そんなことが・・・」
榊「お葬式で、お父さんぶん投げちゃったんだ」
直「それが赤い目の鬼の正体・・・」
榊「え?」
直「なんでもない・・・」
不敗郎「ハッ!」
不敗郎「うおおおおおおッ!」
〇ホストクラブ
町議「やはりカエルの子はカエルでしたな。所詮あのおかしな夫婦の倅だ」
町議「いいんですか大倉さん。また町が赤っ恥をかきますよ」
大倉「仕方ない。俺にできることはもう二度と浮かれられんよう、お灸を据えるだけだ」
町議「何か考えがあるんですか?」
大倉「お、いらしたようだ」
男「お久しぶりです」
大倉「選挙以来かな?いつもいつも都合のいい時だけ呼び出してすまんな」
男「なに。いつもいつも便宜を図って頂いてますんで」
男「それで?我々の町を辱める不届き者というのは?」
大倉「まあ、飲みながらゆっくり話そうか」
〇東京全景
『えー?何ソレ?超おもしれー』
『飲み過ぎだぞユウト』
〇クルーザーのデッキ
ユウト「うるせーバーカ!」
ユウト「ぎゃははは!」
ナオキ「すみません、相変わらず酒癖悪くて」
陣原「飲んでなくてもそんな口調だろ」
陣原「全国区でやってんだからもっと教育しろ。酒関係女関係は即命取りになるぞ」
けんけん「でもですよ陣原さん『それ』をやるとなるとオニキングさんの立場が・・・」
陣原「大丈夫だ。先方にも理解して頂いた」
陣原「こちらにはこちらの都合がある」
けんけん「やり方によっては、またあちらに恥をかかせる事になるんじゃないですかね」
陣原「お前、それでも芸人か?人を傷つける覚悟がないなら」
ユウト「やめちまえー!ぎゃははは!」
陣原「あともうひとつ」
陣原「イベントの最中にドッキリ企画をしかける」
陣原「退屈な田舎の方々にちょっとした刺激をな」
陣原「くくくくく・・・」
〇山間の田舎道
「はあ・・・はあ・・・はあ・・・」
不敗郎「はあ・・・はあ・・・はあ・・・」
『人なんて関係ないさ』
不敗郎「うるせえ・・・」
『さあ、マックも踊れ』
不敗郎「俺はマックじゃない」
不敗郎「不敗郎・・・」
不敗郎「卜部不敗郎だ!」