ハニーブレッド

入江恵衣

7話. 企み(脚本)

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〇大企業のオフィスビル

〇女子トイレ
夕日奈江「ふーっ・・・」
鏑木芹那(つみきせりな)「あ、夕日さん」
夕日奈江「鏑木さん・・・。お疲れ様です」
鏑木芹那(つみきせりな)「お疲れ様です」
鏑木芹那(つみきせりな)「どうしたんですか? ため息なんてついて・・・」
夕日奈江「あ、なんでもないのよ。気にしないで」
夕日奈江「・・・」
夕日奈江「あの・・・」
鏑木芹那(つみきせりな)「はい?」
夕日奈江「あ、いえ・・・」
夕日奈江「何でもないの。ごめんなさい」
鏑木芹那(つみきせりな)(ふふ、動揺してる。 昨晩送ったメッセージが効いてるようね)

〇ビルの屋上
鏑木芹那(つみきせりな)「フンフーン」
  ソルさんの旦那様にそっくりな方の写真を
  投稿しているアカウントを見つけたんです。
  どうも暴露アカウントみたいで
  ソルさんにお伝えしようか迷ったのですが
  ソルさんのアカウントは
  旦那様のお顔を出しているので
  大事になる前にお伝えした方が
  良いかと思い、DMさせていただきました。
鏑木芹那(つみきせりな)「この暴露アカウントって、実は私のもう一つの裏アカなんだよね」
鏑木芹那(つみきせりな)「まんまと誘導されちゃって。 笑っちゃう~」
  いつもコメントありがとうございます。
  教えてくれたアカウントを確認しました。
  写真に写っている男性は夫でした。
  多分、横に写っている女性は、顔こそ塗りつぶされていますが私だと思います。
  このアカウントの方のお友達と
  私の夫が不倫をしているんですね・・・。
  俄かには信じられないですが、
  夫に尋ねてみます。
  教えていただきありがとうございました。
鏑木芹那(つみきせりな)「このやり方なら誹謗中傷にもならないし アカウントの開示請求も来ないでしょ」
鏑木芹那(つみきせりな)「相手にダメージを与える方法としては最高よね! 私って天さーい」
鏑木芹那(つみきせりな)「さー、まだまだこれからよ。 裏のそのまた裏アカでどんどん夕日さんを追い詰めてくんだから!」
「鏑木!」
鏑木芹那(つみきせりな)「あ・・・」
金原康太「はぁ、はぁ、・・・」
鏑木芹那(つみきせりな)「金原さん。 そんなに焦ってどうしたんですか?」
金原康太「あのさ。お前・・・」
鏑木芹那(つみきせりな)「はい?」
金原康太「いや、あの。 ちょっと聞きたいんだけどさ」
金原康太「俺たちのこと・・・、 誰かに言った?」
鏑木芹那(つみきせりな)「俺たちのことって?」
金原康太「だから! 俺たちの関係だよ!」
金原康太「あ!」
金原康太「ごめん・・・」
鏑木芹那(つみきせりな)「なんだかイライラしてるみたいだけど どうしたのよ」
鏑木芹那(つみきせりな)「私たちの関係って、勤務中にホテルへ行ったとか、そういうこと?」
金原康太「あ・・・。まあ、そういうこと・・・」
鏑木芹那(つみきせりな)「誰にも言わないよー。てか、言えないでしょ、そんなこと」
金原康太「まあ、そりゃあそうだよな・・・」
金原康太「じゃあさ、あの・・・」
鏑木芹那(つみきせりな)「ん? まだ聞きたいことがあるの?」
金原康太「あ、あのさ! 俺、今スマホ持ってなくてさ、」
金原康太「ちょっと検索したいことがあるんだけど、スマホ貸してくれない?」
鏑木芹那(つみきせりな)「うん。いいよ」
鏑木芹那(つみきせりな)「どうぞ」
金原康太「ありがとう」
金原康太「あ・・・」
金原康太「鏑木ってさ、インスタとかしてないの?」
鏑木芹那(つみきせりな)「SNSって苦手なんだよねー。インスタやTwitter、TikTokも使ったことないよ」
鏑木芹那(つみきせりな)「どうしてそんなこと聞くの? なにか検索したかったんじゃないの?」
金原康太「あ、そ、そうなんだけどさ」
金原康太「いや、あの、画面みたらSNS系のアプリが一つも入ってなかったからさ。気になって・・・」
鏑木芹那(つみきせりな)「そうなんだ」
金原康太「あ、やっぱりいいや。デスクに戻って調べるよ。ありがとな」
鏑木芹那(つみきせりな)(はははっ! 私のこと疑ったんだ! ウケる―!)
鏑木芹那(つみきせりな)(スマホ二台持ちのこと、隠してて良かった♪)
鏑木芹那(つみきせりな)(さ、裏の裏でさらに暴露していくわよ~)

〇女性の部屋
  タ、タ、タ、タ、
  私の友達は、この男性に仕事で利用された挙句、身体の関係も強要されたと言っています
  男性の方が年齢もキャリアも上で、逆らえなかったそうです
  そんな関係がしばらく続き、とうとう今年の夏、彼女は妊娠してしまいました。
  彼女は誰にも言えず、会社を休んで一人でおろしました。
  仕事のパートナーである友人を散々もてあそんだこの男性は、最近になって社内の女性と結婚しました。
  彼女は毎日泣いています。彼だけが幸せになるなんて許せないと言っています。
  私はそんな友人を助けたくて、このアカウントを開設しました。
  このメッセージが、この男性の関係者に届きますように・・・
鏑木芹那(つみきせりな)「風邪をこじらせて 三日も会社を休んだ時期と合うよね」
鏑木芹那(つみきせりな)「会社の健康診断の日と被ってたし。 夕日さんも私が休んでたことは知ってるから」
鏑木芹那(つみきせりな)「そろそろ浮気相手が私だって勘づくかな?」
鏑木芹那(つみきせりな)「・・・」
鏑木芹那(つみきせりな)「子どもなんてデキてないけど これぐらいの嘘なんて可愛いものよね」
鏑木芹那(つみきせりな)「夕日さん、明日どんな顔して会社に来るだろ~」

〇大企業のオフィスビル

〇オフィスのフロア
鏑木芹那(つみきせりな)「おっはよーございまーす」
工藤聡「おはよ、鏑木。 朝から機嫌がいいな」
鏑木芹那(つみきせりな)「工藤さんおはようございます! 最近楽しいことが続いてて、気分が良いんです」
工藤聡「そうか。よく分らんが 楽しそうなスタッフが増えると職場の雰囲気も良くなるからありがたいな」
工藤聡「最近デザインの質も良くなってるし この調子で頑張れよ!」
鏑木芹那(つみきせりな)「はい!」

〇女子トイレ
鏑木芹那(つみきせりな)(やっぱり褒められると嬉しいな)
鏑木芹那(つみきせりな)(今日は打ち合わせの同行だし 頑張らなきゃ!)
夕日奈江「あ・・・」
夕日奈江「鏑木さん・・・」
鏑木芹那(つみきせりな)「夕日さん、お疲れ様です」
夕日奈江「お、お疲れ様です・・・」
鏑木芹那(つみきせりな)「・・・」
鏑木芹那(つみきせりな)「なんだか元気がありませんね。 悪阻、ひどいんですか??」
夕日奈江「あ・・・、 その、少し寝不足で・・・」
鏑木芹那(つみきせりな)「ふーん」
鏑木芹那(つみきせりな)「そういえば、お子さんの出産予定日っていつなんですか?」
夕日奈江「え・・・ よ、予定日は・・・」
夕日奈江「お医者様から、ゴールデンウィーク明け頃になるって・・・」
鏑木芹那(つみきせりな)「ふーん・・・」
鏑木芹那(つみきせりな)「赤ちゃんが産めるなんて羨ましいです」
夕日奈江「!」
鏑木芹那(つみきせりな)「それまで、何も起こらないといいですね」
夕日奈江「えっ」
夕日奈江「それ、どういう意味・・・?」
鏑木芹那(つみきせりな)「さあ? 別に、たいした意味はないですよ」
鏑木芹那(つみきせりな)「じゃあ、用も済んだので お先に失礼しますね」
  ギュっ!
鏑木芹那(つみきせりな)「ちょ、ちょっと! なに!?」
夕日奈江「どうして含みを持たせた言い方をするの? なにかあったの? なにか知ってるの??」
鏑木芹那(つみきせりな)「ちょっと! 腕を離してよ!」
夕日奈江「お願い!なにがあったの!? 金原となにかあったんでしょう!?」
鏑木芹那(つみきせりな)「ちょっと! 離してって言ってるでしょ!!」
夕日奈江「もしかして、金原が鏑木さんを傷つけたんじゃないの?」
夕日奈江「お願い! 何があったの!教えて!」
鏑木芹那(つみきせりな)「金原金原って・・・」
鏑木芹那(つみきせりな)「さっきから煩いのよ!!」
鏑木芹那(つみきせりな)「あんたなんて・・・」
鏑木芹那(つみきせりな)「さっさと子どもを産んで 会社から出て行ったらいいのよ!」
夕日奈江「きゃっ・・・!」
鏑木芹那(つみきせりな)「あ!!」
夕日奈江「う・・・ うぅ・・・」
鏑木芹那(つみきせりな)「あ・・・」
鏑木芹那(つみきせりな)「夕日さん、わたし・・・」
夕日奈江「お腹が・・・」
夕日奈江「鏑木さん・・・、お願い・・・ 救急車を・・・・・・」
鏑木芹那(つみきせりな)「あ・・・ 夕日さん・・・」
近藤りん(こんどうりん)「あ、芹那。おつー」
近藤りん(こんどうりん)「え!夕日さん!? どうしたの!?」
夕日奈江「近藤さん・・・ お願い、救急車を・・・」
近藤りん(こんどうりん)「救急車ね! 分かったわ!」
近藤りん(こんどうりん)「ちょっと芹那! なにボーッとしてるのよ! 誰か人を呼んできて!!」
「芹那!!」

次のエピソード:8話. 苦蜜

コメント

  • 芹那さん……、結果的に誰も幸せにならないことを、、、彼女の様子が痛々しくて辛くなりますね。この先のストーリー、彼女は立ち直れるのでしょうか

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