第四話 見えるぞ!私にはステータスが見える!(脚本)
〇一軒家
〇汚い一人部屋
斎藤「絶好のゲーム日和だな」
斎藤「さて、早速新作のゲームをダウンロードして・・・」
斎藤「インストールを実行っと」
〇部屋の前
斎藤の母「・・・ご飯、ここに置いておくよ」
斎藤の母(はあ、何の反応もない)
斎藤の母(大学にも行かず、引きこもってゲームばかり・・・)
斎藤の母(一体どうしたら・・・)
〇汚い一人部屋
斎藤(ち、うっせーな)
斎藤(俺はゲームで忙しいのによ)
斎藤「お、インストールが終わった」
斎藤「早速ゲーム開始!」
斎藤「・・・」
斎藤「ん?」
斎藤「おおおおっ!?」
〇ヨーロッパの街並み
斎藤「う・・・ここは・・・」
斎藤「・・・」
斎藤「まるでゲームに出てくる街だな」
斎藤「・・・もしかして」
斎藤「これって異世界転移!?」
〇巨大な城門
〇養護施設の庭
魔王シン「ククク・・・甘いな」
魔導士レミ「むー」
魔導士レミ「これならどうじゃ!」
魔王シン(む、速い!)
魔王シン「能力強化──」
魔王シン「さらに幻影か!」
魔王シン「ええい!」
「キャー!!」
魔導士レミ「うう・・・」
魔導士レミ「まさか・・・まとめて攻撃してくるなんて」
魔王シン「なかなか面白かったが、まだまだなのだ」
魔導士レミ「むー、悔しいのじゃ」
魔王シン「む・・・!」
魔導士レミ「なんじゃ、それは?」
魔王シン「博士が開発中の『ス魔ホ』だ」
魔王シン「魔力を使い、離れた相手と会話できるのだ」
魔導士レミ「超便利な道具ではないか!」
魔王シン「民に広める前にテスト中でな」
魔導士レミ(ワシもほしい)
魔王シン「──もしもし」
魔王シン「何か起きたのか?」
魔王シン「・・・」
魔王シン「分かった」
魔王シン「レミ、緊急事態だ」
魔王シン「すぐに司令室へ向かうぞ!」
魔導士レミ「うむ!」
〇秘密基地のモニタールーム
魔王シン「ペイ!」
兵士ペイ「シン様」
兵士ペイ「魔国と人間国の境界付近に、異常な魔力反応を検知しました」
魔王シン「──第2の勇者か」
兵士ペイ「はい、間違いありません」
魔王シン「よし──」
魔王シン「総員、対勇者戦闘配備!」
「はっ!」
〇ヨーロッパの街並み
斎藤(ゲームを始めた瞬間、俺は転移した)
斎藤(すると・・・)
斎藤「ここはゲームみたいな世界ってことか!」
斎藤(俺の人生、ここならやり直せるかも)
「うおっ!」
不良「おい兄ちゃん」
不良「どこに目つけとんのや!」
斎藤(お、早速イベント発生か)
斎藤(俺の能力が覚醒する展開に違いない)
不良「何ニヤニヤ笑ってやがる!」
斎藤(ん!?)
斎藤(この視界の端に見えるのは──)
斎藤「・・・」
転移してきた男──斎藤は、男に向かって指を差す。
不良「う・・・」
不良「うう・・・」
斎藤「どうした?」
斎藤「何か文句でもあるのか?」
不良「つ、次から気をつけろっ!」
???「・・・」
???「この異常な魔力──あれが勇者か」
???「魔王軍に見つかる前に接触しなければ・・・」
〇ヨーロッパの街並み
???「もし、そこのお方」
斎藤「何か用か?」
???「あなたにぶつかってきた男──」
???「どうやって引き下がらせたのですか?」
斎藤「力の勝負では、俺に勝ち目はなかった」
斎藤「けど、勝負はそれだけでは決まらない」
斎藤「『攻略法』を知ることが重要なのさ」
???「『攻略法』・・・?」
斎藤「あの男は『先端恐怖症』なんだ」
斎藤「だから、指を──こうね」
斎藤は、女に向かって指を差す。
???「彼とは初対面同士のようでしたが・・・」
???「なぜ先端恐怖症だと?」
斎藤「──リタさん、知りたいか?」
???「な!?」
リタ「どうして、私の名を・・・?」
斎藤「俺には見えるんだよ」
斎藤「相手のすべてがね」
リタ「・・・」
リタ「異世界から来た勇者は、特殊な能力を宿している──」
リタ「聖典の通りです」
斎藤「勇者・・・聖典?」
リタ「──私が教えてさしあげましょう」
〇黒
リタ「この世界の理を」
〇立派な洋館
〇豪華な部屋
リタ「明日には魔王軍がやって来るでしょう」
リタ「今日はゆっくりとお休みください」
斎藤「ああ」
斎藤「・・・フフフ」
斎藤「ハーハッハッハッ!」
斎藤「俺が魔王を倒す勇者だとはな!」
〇ヨーロッパの街並み
リタ「──というのが聖典と勇者なのです」
斎藤「へえ・・・」
斎藤(ラノベが聖典とはねえ)
リタ「私はある目的のために、勇者様を探していたのです」
斎藤「ある目的?」
リタ「それは──」
リタ「魔族の滅亡です!」
斎藤「ほう」
斎藤(魔族がいるとは、ますますゲームの世界だな)
リタ「我々人間族は、古より魔族に虐げられてきたのです」
リタ「勇者様も人間族──」
リタ「か弱き同胞に、力を貸して頂きたいのです」
リタ「勇者様の力添えがあれば、私の悲願も達成できるでしょう」
斎藤「・・・『お前』の悲願ではなく」
斎藤「『お前たち』の悲願だろ?」
リタ「──そこまで見えておいでですか」
斎藤「もちろんだ」
斎藤「まあ」
斎藤「魔族を滅ぼすのは、勇者の役目と決まってるからな」
斎藤「力を貸すことに異論はない」
リタ「感謝いたします」
斎藤「──で、具体的にどうすれば?」
リタ「魔族を統べる魔王は、勇者を脅威と考えています」
リタ「魔王直々に、部下を引き連れてやってくるでしょう」
斎藤(いきなりラスボス戦か)
斎藤(おもしろい)
リタ「そこを勇者様の力で叩きます」
斎藤「俺の能力で、魔王たちの『攻略法』を知るわけか」
リタ「はい」
リタ「魔王さえ倒せば、魔族は統制がとれなくなる」
リタ「魔族の殲滅も容易になるでしょう」
斎藤「──言っておくが、俺自身の戦闘能力は期待するなよ」
リタ「・・・」
リタ「戦闘に関してはお任せください」
斎藤「・・・のようだな」
〇豪華な部屋
斎藤「フフフ」
斎藤「明日からいよいよ、クエスト開始──」
〇黒
斎藤「これは楽しめそうだ!」
〇木の上
〇森の中
兵士ペイ「勇者の反応、近いです」
魔王シン「博士」
魔王シン「『抗転移魔法』の準備はできているか?」
クマシロ博士「もちろんです。ただ──」
クマシロ博士「第1の勇者襲来から時間がなく、新しい弾を生成できませんでした」
魔王シン「とすると・・・」
クマシロ博士「前回使わなかった1発しかありません」
魔王シン「厳しい戦いになりそうなのだ・・・」
魔導士レミ「──のう、シン」
魔王シン「なんだ?」
魔導士レミ「ワシのこの恰好はなんじゃ」
魔王シン「聖典『魔法少女タプケア』の主人公、ミギワちゃんの戦闘服なのだ」
魔導士レミ「ミギワちゃん・・・?」
魔王シン「お主には、このスーツより似合うと思ってな」
クマシロ博士「私が完璧に再現したのです」
魔導士レミ「はあ」
魔導士レミ(よく分からんが、あのピッタリした服よりマシか)
斎藤「フフフ」
斎藤「奴らが魔王軍か・・・」
斎藤「俺の能力、それは相手のステータスが見えること!」
斎藤「体力や攻撃力といったものだけでなく、」
斎藤「名前から年齢、身長からスリーサイズ、どこで生まれ、経歴はどうか、」
斎藤「そして──」
斎藤「ヤツらの弱点も、スケスケだぜ!」
斎藤「リタ」
斎藤「これから言うものを準備してくれ」
斎藤「俺が魔王たちの『攻略法』を見せてやる」
リタ「──仰せの通りに」
〇森の中
???「──待っていたぞ、魔王軍」
兵士ペイ「勇者だけじゃない」
兵士ペイ「隣に誰かいます」
リタ「私の名はリタ」
リタ「貴様ら魔族を滅ぼす者だ」
斎藤「俺が勇者だ」
斎藤「恨みはないが、魔族を滅ぼすのが勇者の役目だからな」
魔王シン「博士」
魔王シン「あのリタという女に、心当たりはあるか?」
魔王シン「魔族に恨みを持つ人間族のようだが・・・」
クマシロ博士「・・・いえ」
クマシロ博士「ただちに諜報部隊に調査させましょう」
クマシロ博士「──写真を送信っと」
斎藤「え」
斎藤「異世界にスマホ!?」
クマシロ博士「ほう、知っておいでか」
クマシロ博士「これは、私が聖典を元に苦労して開発した──」
魔王シン「博士、長い話はまた別の機会に」
クマシロ博士「え・・・また私の話はスキップ・・・」
魔王シン「コホン」
魔王シン「勇者よ」
魔王シン「こちらも恨みはないが、平和を乱す可能性がある以上──」
魔王シン「この世界から滅するしかない」
斎藤「そう簡単に行くかな?」
斎藤「リタ、先ほど頼んだものを俺に!」
リタ「はっ!」
斎藤「魔王シンよ」
斎藤「貴様は、聖典に目がないようだな」
魔王シン「どうして我のことを・・・?」
斎藤「これが何か分かるか?」
魔王シン「聖典・・・?」
斎藤「これは、貴様がまだ読んでいない聖典だ」
魔王シン「な、なに!?」
斎藤「お前の大好きな『タプノベリオン』よりも面白いぞ」
魔王シン「馬鹿な・・・」
魔王シン「そんなものが存在する訳がない!」
斎藤「俺は聖典に詳しくてな」
斎藤「これまで何百冊も読んできたんだ」
魔王シン「我を上回る量!」
魔王シン(こやつの言うこと・・・本当やもしれん)
斎藤「ほしいか?」
魔王シン「ほ、ほしいのだ!」
斎藤「・・・でもあげない」
魔王シン「へ」
斎藤「リタ、燃やせ」
魔王シン「なななな、なんてことを!」
魔王シン「聖典が灰に──」
魔王シン「うーん・・・」
魔剣士マナ「シ、シン様ーっ!!」
魔剣士マナ「ショックで気絶している・・・」
斎藤「──さっきのは偽の聖典だったのによ」
斎藤「こんな簡単な手にひっかかるとはな」
魔剣士マナ「なんて卑怯な!」
斎藤「フフフ」
斎藤「弱点をつくのは、基本の『攻略法』じゃないか」
魔剣士マナ「・・・く!」
斎藤「次は魔剣士マナ、お前だ」
クマシロ博士「まさか、こいつの能力は・・・」
魔剣士マナ「博士、分かるのか?」
クマシロ博士「はい」
クマシロ博士「この聖典が参考になります」
異世界転移すると、なぜか俺だけステータスが見えてしまい、勇者に祭り上げられてしまった件
クマシロ博士「ヤツはステータスを可視化できる能力者」
クマシロ博士「我々は丸裸にされたも当然です」
「・・・」
「な、なんだってー!?」
〇けもの道
魔導士レミ「ゲーム王子斎藤、なんと恐ろしい能力なのじゃ」
魔導士レミ「シンが倒れた今、残されたワシたちで闘うしかない」
魔導士レミ「頼みの綱は、シンに次ぐ強さを持つマナと博士」
魔導士レミ「きっと彼らなら──」
「なんか盛大にネタバレしてません!?」
「・・・」
「次も絶対タップしてくれよな!」
クマシロ博士がまだ黒くて最初から笑いが🤣
『ス魔ホ』の開発に魔法少女の衣装製作までと、クマシロ博士、多才なのに不憫ですね😂
にしても、魔王がやられてしまうなんて😱
今回の勇者、頭の回転は早そうですね。どうやって倒す(送り返す)のか……
引き続き、楽しませて頂きます👍
魔王軍が裸になる演出に思わず感嘆しました!今回も流れるようにタップしておりました😆
クマシロ博士黒いままに笑いを堪えきれない🤣
そしてなんか強そうなステータス系の勇者がっ!
果たしてどうなるのか楽しみです。