我はサブカル魔王、ラノベ勇者を滅する者なり

篠也マシン

第伍話 博士とマナ、倒れる!恐るべしゲーム王子(脚本)

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篠也マシン

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〇森の中
クマシロ博士「ヤツはステータスを可視化できる能力者」
クマシロ博士「我々は丸裸にされたも当然です」
「・・・」
「な、なんだってー!?」

〇森の中
斎藤「次は魔剣士マナ、お前だ」
魔剣士マナ「貴様に言われるまでもない」
魔剣士マナ「自分の弱点は分かっているさ」
斎藤「ほう?」
魔剣士マナ「私の弱点は、頭脳戦に弱いこと」
魔剣士マナ「だから、貴様が策を弄する前に──」
斎藤「違うぞ」
魔剣士マナ「え」
斎藤「お前の弱点は、乙女な性格だ」
魔剣士マナ「な!」
魔剣士マナ「どういうことだ?」
斎藤「見える・・・俺には見えるぞ」
斎藤「そう、ある夏の夜のことだ──」

〇要塞の廊下
魔剣士マナ「ふー、今日の訓練も厳しかった」

〇城の客室
魔剣士マナ「汗も流し終えた」
魔剣士マナ「後は寝るだけだな」
魔剣士マナ「チラッ」
鮫のぬいぐるみ「・・・」
魔剣士マナ「キャー!」
魔剣士マナ「ギュッ」
魔剣士マナ「一目惚れして買った、この抱き枕」
魔剣士マナ「肌触り、抱き心地──最高だな」
魔剣士マナ「それに、この凛々しい顔がたまらん・・・」
魔剣士マナ「つい、いけない妄想を──」

〇貴族の応接間
魔剣士マナ「どうぞ」
魔剣士マナ「さ、鮫王様!」
魔剣士マナ「どうしてあなたが地上に!?」
鮫王(鮫のぬいぐるみ)「マナ王女・・・」
鮫王(鮫のぬいぐるみ)「我は海を捨てた」
鮫王(鮫のぬいぐるみ)「君のいる地上で暮らすために」
魔剣士マナ「で、でも!」
魔剣士マナ「鮫は泳ぎ続けないと、息ができないのでは?」
魔剣士マナ「このままでは、鮫王様はいずれ・・・」
鮫王(鮫のぬいぐるみ)「いや、我は今も泳ぎ続けておる」
魔剣士マナ「え?」
鮫王(鮫のぬいぐるみ)「君がくれた『愛』という名の海を・・・」
魔剣士マナ「鮫王様──」

〇城の客室
魔剣士マナ「・・・なーんちゃって」
鮫のぬいぐるみ「・・・」
魔剣士マナ「キャー!」
魔剣士マナ「眠れなくな・り・そ・う!」

〇森の中
魔剣士マナ「なななななななな」
魔剣士マナ「何を言ってる!」
魔剣士マナ「わ、私がそんな妄想するわけないだろう!」
(意外な一面・・・)
斎藤「それなら、次のエピソードだ」
斎藤「そう、ある冬の夜のことだ──」
魔剣士マナ「も、もう止めて・・・!」
クマシロ博士「マナ殿!」
クマシロ博士「恥ずかしさのあまり、気絶したのか」
クマシロ博士「なんと恐ろしい能力・・・」
クマシロ博士「だが、弱点のない完全無欠の私にかかれば──」
斎藤「貴様にはコレだ」
クマシロ博士(なんだ?)
クマシロ博士「こ、これは!?」
クマシロ博士(聖典の中でも、大人しか見てはいけないと言われる幻の外典!!)
クマシロ博士「チラッ」

〇ゆめかわ
クマシロ博士「ふむ・・・」
クマシロ博士「おおっ!」
クマシロ博士「ほほう・・・」
クマシロ博士「・・・」
クマシロ博士「おおおおおおおおーっ!!」

〇森の中
クマシロ博士「ぐあああー!」
魔導士レミ「すごい量の鼻血!」
魔導士レミ「まるで花火じゃ!」
斎藤「残りは二人か──」
斎藤「フッ」
斎藤「こいつらは攻撃力も魔力も低い」
斎藤「弱点をつく必要もないな」
魔導士レミ「何じゃと!?」
斎藤「君一人で充分倒せるだろう」
リタ「お任せを」
兵士ペイ「す、すごいパワーです・・・!」
魔導士レミ「シンもマナも博士もいない・・・」
魔導士レミ「一体どうすれば・・・」
兵士ペイ「レミさん!」
兵士ペイ「一旦引いて、体勢を立て直しましょう!」
魔導士レミ「分かったのじゃ!」
リタ「これは──幻影魔法!」
リタ「・・・空間転移で逃げたか」

〇けもの道
魔導士レミ「うう・・・」
魔導士レミ「すまぬ」
魔導士レミ「人数が多くて、遠くまで転移できなかったようじゃ」
兵士ペイ「この森は深い」
兵士ペイ「僕のような探知能力がない限り、簡単には見つかりませんよ」
魔導士レミ「それならよかったのじゃ」
兵士ペイ「このまま魔王城まで引き上げたいですが・・・」
兵士ペイ「みんなを背負って運ぶのは・・・無理ですよね」
魔導士レミ「博士なんかを背負ったら、ワシがつぶれてしまうわ」
兵士ペイ「ははは」
兵士ペイ「とりあえず、ス魔ホを借りて助けを呼びましょう──」
兵士ペイ「ん!?」
魔導士レミ「どうしたのじゃ?」
兵士ペイ「おかしい」
兵士ペイ「勇者とリタという女性ですが・・・」
兵士ペイ「まっすぐここに向かってきています」
魔導士レミ「なんじゃと!?」

〇森の中
リタ「この距離なら、すぐに追いつけそうです」
斎藤「魔力探知とは便利な能力だな」
リタ「勇者様の力に比べれば、大したことはありません」
斎藤「フッ」
斎藤「魔王たちが目覚める前に急ぐぞ」
リタ「はい」

〇けもの道
兵士ペイ「もっと早くから気づくべきでした」
兵士ペイ「最初に会った時、彼らは言った」

〇森の中
リタ「──待っていたぞ、魔王軍」

〇けもの道
魔導士レミ「ワシらが来ることを事前に知っていた・・・?」
兵士ペイ「はい」
兵士ペイ「彼らは、魔力探知能力を持っている」
魔導士レミ「そんな・・・」
兵士ペイ「助けを呼ぶ時間も、シン様たちが目覚めるまで待つ時間もない」
兵士ペイ「彼らは、すぐにここへやって来ます」
「・・・」
(詰んだ!?)

〇森の中
斎藤「クエスト達成までもう少しだな」
斎藤「・・・」
斎藤「攻略法がいとも簡単に分かる」
斎藤「ここは、まさに俺が望んだ世界だ」

〇一軒家

〇おしゃれなリビングダイニング
斎藤「お母さん見て」
斎藤の母「あら、またテストで100点取ったの!」
斎藤「こんなの簡単さ」
斎藤「教科書通りに答えればいいんだから」
斎藤の母「そんなことないわ」
斎藤の母「頑張ったわね」

〇教室
斎藤「・・・」

〇合否発表の掲示板
斎藤「・・・」
斎藤「・・・・・・」

〇教室
クラスメイト「斎藤、現役で合格とはすげえな」
クラスメイト「あの学部、かなり偏差値が高いんだろ?」
斎藤「まあ・・・」
斎藤「傾向を踏まえて対策しただけだよ」
  すべてのものには『攻略法』がある。
  それを見つけ──
  それに従うのが俺の人生哲学だった。

〇講義室
斎藤(高校からこの大学に来たのは、俺だけ)
斎藤(ちょっと心細いな)
クラスメイト「え、お前そんな遠くから来たの?」
クラスメイト「ああ」
クラスメイト「だから一人暮らしなんだよ」
斎藤(うお)
斎藤(もうグループが出来つつある)
  これまで、幼い頃に自然とできた人間関係の中でしか過ごしてこなかった。
  そのため──友達を作る方法が、全く分からなかった。
斎藤(どうやって友達を作ればいい)
斎藤(その『攻略法』とは・・・一体なんだ)

〇講義室
  悩んでいる間に、学部内のグループは出来上がってしまった。
  はみ出し者の俺は一人で過ごすばかり。
斎藤(くそ!)
斎藤(『攻略法』さえ分かれば・・・)

〇汚い一人部屋
斎藤「もう朝か・・・」
斎藤「あれ、体が重い」
斎藤「風邪かな」
斎藤「まあ、大事を取って休むか」

〇黒
  だが体調は一向によくならず──
  過度なストレスが原因と診断された。
  そんな時だ。
  ゲームに出会ったのは。

〇汚い一人部屋

〇森の中
斎藤「お」
斎藤「こいつがクエストのターゲットだな」
斎藤「弱点は──雷か」
斎藤「くらえっ!」
斎藤「クエストクリアだ!」
  相手の力を分析し、弱点をつく。
  すぐに攻略法が分かり、その通りに行えば目的を達成できる。
斎藤「なんて完璧な世界なんだろう」

〇汚い一人部屋
  俺は部屋に引きこもるようになり──
  ゲームの世界にのめり込んでいった。

〇森の中
斎藤「・・・」
斎藤「俺の人生、ここでやり直してみせるぞ」
リタ「勇者様、何か?」
斎藤「いや」
斎藤「魔王軍のいる場所まで、まだかと思ってな」
リタ「・・・あともう少しです」

〇けもの道
(詰んだ!?)
「・・・」
魔導士レミ(相手は確実にワシより強い)
魔導士レミ(どう戦えばいいかも分からない)
兵士ペイ(相手は確実に僕より強い)
兵士ペイ(どう戦えばいいかも分からない)
(でも──)
「逃げ出すわけにはいかない!!」
魔導士レミ「え?」
兵士ペイ「は?」
「ぷっ」
「ははははは」
兵士ペイ「まったく同じことを考えてたんですね」
魔導士レミ「そうじゃな」
魔導士レミ「・・・」
魔導士レミ「ワシの補助魔法で能力を上げれば、対抗できるじゃろうか?」
兵士ペイ「・・・難しいと思います」
兵士ペイ「勇者は精神攻撃にさえ注意すれば、何とかなりそうでしたが──」
兵士ペイ「リタは恐ろしい使い手のようでした」
兵士ペイ「シン様に匹敵するレベルかもしれません」
魔導士レミ「そこまで力の差があるのか」
兵士ペイ「ええ」
兵士ペイ「せめて、奇襲をかけられればいいのですが」
魔導士レミ「・・・」
魔導士レミ「ペイよ」
魔導士レミ「勇者の能力、詳しく分かるか?」
魔導士レミ「ワシはまだ聖典にうとい」
魔導士レミ「ステータスというものが、ピンと来なくてな」
兵士ペイ「えっとですね・・・」
  ペイは、地面に絵を描いた。
魔導士レミ「ほう、数値や文字でワシらの能力が見えるのか」
魔導士レミ「・・・」
魔導士レミ「のう、こんな手はどうじゃろう?」

〇けもの道
兵士ペイ「なるほど!」
兵士ペイ「それなら彼らの隙をつけるかもしれない」
魔導士レミ「ふふふ」
魔導士レミ「能力の低いワシらだからこそ、できる策じや」
兵士ペイ「ですが・・・」
兵士ペイ「タイミングが非常に重要ですね」
兵士ペイ「決してミスは許されない」
魔導士レミ「うむ」
魔導士レミ「だが、やるしかない」
兵士ペイ「はい」
兵士ペイ「僕たち魔王軍は、相手がどんなに強大であろうと立ち向かう!」
魔導士レミ「この世界で最も大切なものは『勇気』!」
「勇者は、我ら二人が必ず打ち破る!!」

〇けもの道
兵士ペイ「次回、『ゲーム王子斎藤編』完結!」
兵士ペイ「次も絶対タップしてくれよな!」

次のエピソード:第六話 勇気

コメント

  • きたねえ花火だ🤣
    魔王軍はどうやって勇者一行を倒すか。そして、何に対しても攻略法を求めてしまう勇者に、どう教え導くか。次回も楽しみです

  • 毎話楽しく読ませて頂きました☺博士がいつも良い味だしてますね✨まさかのムッツリクマさんでしたが😂笑
    第二の勇者…元々悪い奴ではないのが…現実に帰ってもお前なら頑張れるよって応援したくなっちゃいますね!次回も楽しみにしています😀

  • サイトウ、恐るべしですね😅マナと博士をあんな形で倒してしまうとは……思わず爆笑しちゃったじゃないですか😂
    でもサイトウの生い立ちが切ないというか、彼を知ったら同情してしまいました。それにしても見える能力は手強い❗どう完結するのか次話を楽しみにしています😊

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