〇綺麗なリビング
ネフテ「ハウス、ちょっといいかしら？」
「ちょっと待ってね！」
ネフテ「...」
ネフテ「...」
ハウス「ごめんなさいね！ 夕飯の準備でちょうど手が離せなくて...」
ハウス「どうしたの、ネフテちゃん？」
ネフテ「ちょっと急だけど、この家を離れるわ。 私はもう戻らないと思って。」
ハウス「ど、どうしたの!?」
ハウス「もしかして...レドイちゃんとの喧嘩が原因？」
ネフテ「違うわ...」
ネフテ「そうじゃない。」
ネフテ「私はね、呼ばれてたの。」
ネフテ「遠い西の地から...ずっと呼ばれてたのよ。」
ネフテ「それが耳鳴りの原因。」
ネフテ「デミルの家で、ハウス型ロボットをメンテナンスしている時ぐらいから、はっきり聞こえるようになってきていた。」
ハウス「呼ばれている、っていうのは、ネフテちゃんを造った人に...？」
ネフテ「私を造った人間、マスターはもう生きていないはず。」
ネフテ「誰が呼んでいるのか、全く分からない。」
ハウス「そうよね。」
ハウス「そしたら...レドイちゃんはどうするの？」
ネフテ「レドは...」
ネフテ「レドは連れて行けないわ。」
ネフテ「何が待っているか想像がつかない。」
ネフテ「この街の探検ごっことは、分けが違うのよ。」
ネフテ「危険すぎる...。」
ネフテ「...。」
ネフテ「今までありがとうね、ハウス。」
ハウス「こちらこそ、とても楽しかったわ。」
ネフテ「それじゃぁ、私はもう行く。」
ハウス「レドイちゃんには...もう声をかけたの？」
ネフテ「ううん。 レドなら大丈夫よ。」
ネフテ「レドは目覚めた。 私がいなくたって、しっかりやっていけるわ。」
ネフテ「だって、最近なんか、私に怒ってくるのよ。 見上げた進歩じゃない。」
ハウス「わかったわ。 レドイちゃんが降りてきたら、私から伝えておく。」
ネフテ「うん。ありがとう。」
ネフテ「じゃぁ、行って」
　　ダダダダダ、ダン、ダン!!!
レドイ「ネフ!!ひどい!!!!」
レドイ「何も言わずに行くなんて!!!!」
ネフテ「れ、レド、どうして...」
レドイ「ネフの耳が良いのは知ってるんだからね。」
レドイ「足音立てないくらい、私だって考えつくんだから！」
レドイ「最近のネフは、変だった。」
レドイ「ねぇ、どうして？」
レドイ「私も一緒に行くよ？」
ネフテ「聞こえてたなら話が早いわ。」
ネフテ「これから私が向かう場所は、何が待っているか分からない危険な所。」
ネフテ「レドを連れていくわけにはいかないわ。」
レドイ「それならネフだって危険なのは変わらないでしょ!!」
ネフテ「私はいいのよ!! ロボットなんだから!!」
レドイ「ロボットだって危険なのは変わらないでしょ!!」
ネフテ「もう!!わからずや!!」
ネフテ「あんたは人間なの!!」
ネフテ「死んだら終わりなのよ!!!!」
レドイ「そんなの!!ネフだって!!」
レドイ「ネフだって...」
レドイ「壊れたりしたらやだ...」
レドイ「やだよ...」
ネフテ「ばかね。」
ネフテ「ロボットは壊れても直るのよ。」
ネフテ「あんたは壊れたら...」
ネフテ「治らないでしょ。」
レドイ「ひっく。それでも、ネフと一緒に行く。」
ネフテ「だめよ。 あんたはただでさえ、弱っちいんだから。」
レドイ「やだ!!絶対行く!!!!」
ネフテ「もうこれ以上、話すことはないわ。」
ネフテ「じゃぁね、レド。」
レドイ「やだ!!待って!!!!」
レドイ「ネフ!!!!」
ハウス「レ、レドイちゃん!!」

〇黒

〇高級住宅街
ネフテ「目的地セット。 中国を目指して。」
　　かしこまりました。
　　30分程で中国領空に入ります。
ネフテ「わかった。 それまでは自動操縦でお願い。」
　　かしこまりました。
　　出発準備に入ります。
ネフテ（ごめんね、レド。）
ネフテ（最後の最後で、あんな顔をさせちゃって。）
　　出発まで、３、
ネフテ（楽しい思いをさせて、利用するだけ利用して、置いていく私を...）
　　2、１、出発いたします。
　　許さなくていいから。
　　どうか、幸せに...。

〇高級住宅街
レドイ「もう!!ネフのバカ!!」
レドイ「目的地セット。 上空のエッグを追いかけて。」
　　かしこまりました。
　　自動操縦モードで追尾します。
　　出発準備進行中...
ハウス「レドイちゃん、いってらっしゃい。」
ハウス「ハウスはずっとここで待っているわ。」
　　出発まで、３、
レドイ「ハウス、ありがとう。」
レドイ「必ず、ネフと二人で戻ってくるから。」
　　2、１、出発いたします。
レドイ「それじゃぁ、行ってくる。」
ハウス「いってらっしゃい。気をつけて。」
ハウス「人間とロボット、これが過ぎ去り日の輝きなのかしらね...。」