樹が熟し、実を結ぶ迄

ふじのきぃ

第三話 凶鬼(脚本)

樹が熟し、実を結ぶ迄

ふじのきぃ

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〇黒
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  冒険を再開します。

〇森の中の小屋
「大変だコネーーーッ!!」

〇暖炉のある小屋
コネコネッコ「大変こねこね、大変こね〜!!」
イツキ「しーっ! ユカリナが起きてまうやろが!」
ユカリナ「ん〜、どーしたのーコネコネッコ? もう少し寝かせてよー」
イツキ「ほれみろ! 起きてもうたやないか!」
ユカリナ「くぅー・・・」
イツキ「立ち寝!?」
コネコネッコ「コントしてる場合じゃないコネ! メニュー画面を開くコネ!」

〇電脳空間
  新着メールが1件 届きました。
  〜【村襲撃!? ゴブリンの残党!】〜
  ドライアド族の村の危機! ゴブリン討伐の腕に自信のある旅人に救援を求む!

〇暖炉のある小屋
ユカリナ「ドライアド族の村・・・! 私達が向かうところよ!」
イツキ「なんでゴブリンがこんな事を!?」
コネコネッコ「分からないコネ。 直接行ってみないと・・・」
コネコネッコ「イベントが開始されたんだ。 君たちが旅立つ為の・・・ね」

〇児童養護施設
  【ドライアド族の村・襲撃跡】
イツキ「メールの書いてあった通りや・・・」
ユカリナ「村の人たちは、どこに──」
???「うぅ・・・助けて、くれ・・・」
ユカリナ「"ブルーミング・ヒール"・・・!」
ドライアド族の男「すまない・・・助かったよ」
  【ブルーミング・ヒール】《木属性》
  分類:マイナーアクティブ
  範囲:単体/効果:HP回復(大)
ドライアド族の男「旅のおかた・・・どうか、 村の娘子供を、救ってくれないか?」
ユカリナ「どういうことですか?」
ドライアド族の男「ゴブリンの群れが押し寄せてきてね・・・」
ドライアド族の男「金品や武具だけで飽き足らず、 女子供まで攫っていったんだ!」
ドライアド族の男「男達も必死に抵抗したが、 圧倒的な数で枝も根っこも出なかった・・・」
ドライアド族の男「私の妻と娘も・・・奴らに!」
イツキ("枝も根っこ"も・・・ "手も足"も出ないっちゅう意味か)
ユカリナ「イツキ、放っておけないよ・・・!」
イツキ「せやな。 恐らくあの時のゴブリンどもの仕業や」
イツキ「ボスが倒されて、統率力が乱れているんや。 せやから好き放題やったっちゅうワケか」
イツキ「そんで、ゴブリンどもはどこ行ったん?」
ドライアド族の男「村の奥の広場を占領している」
ドライアド族の男「気をつけてくれ」

〇武術の訓練場

〇児童養護施設
ユカリナ「あんなにいっぱい・・・」
イツキ「うひぃ〜、これは手を焼きそうや」
ユカリナ「なにか良い方法、ないかな?」
イツキ「流石に正面突破は厳しそうやな」
イツキ「もう少し様子見るで・・・!」

〇武術の訓練場
ゴブリン「テリブル・プレッシャー!」

〇児童養護施設
イツキ(あの技は・・・!)
  スキルの発動を視認。一時取得しました。
  【テリブル・プレッシャー】《魔属性》
  分類:コモンアクティブ/回数:残1
  効果:スキル封印・1ターン待機付与
イツキ(・・・成程な。 ボスの技を受け継ぐ個体が居るのか)
イツキ(にしてもこのスキル、 封印に待機付与って──序盤に厳しいやろ!)
イツキ(まあ幸い、あのスキルは覚えてなさそうやな)
イツキ(一か八か、やってみるか)
イツキ「コネコネッコ、居るかー?」
コネコネッコ「いるコネー」
イツキ「俺とユカリナを広場の崖上まで 案内してくれへんか?」
イツキ「なるべくアイツらに見つからへんような ルートを通りたいんやけど、出来るか?」
コネコネッコ「出来るコネど、遠回りになっちゃうよ?」
イツキ「構わへんよ」
コネコネッコ「分かったコネ! 安全ルートを検索してみるよ」
ユカリナ「村の人たちの治療、終わったよ」
イツキ「おおきに! ほな、準備するで!」

〇黒背景

〇岩山の崖
イツキ(よし・・・ここからなら!)
イツキ「すー・・・」
イツキ「テリブル・プレッシャー!!」

〇武術の訓練場
ゴブリン「誰だゴブ! 降りてこいゴブ!」

〇森の中
イツキ「先ず、俺が崖上から注意を引く」
イツキ「ユカリナは隙を見て、 捕まった人達を救出するんや」
ユカリナ「分かった!」
ユカリナ「グロウアップ・メタモルフォーゼ!」

〇岩山の崖
イツキ「お前ら、よおく聞けや!」
イツキ「俺はお前らのボスと決闘をし、 そして俺が勝ったんや!」
イツキ「さっきのスキル、ボスも覚えとったからな! なのに俺が使うてる意味、解るか?」

〇武術の訓練場
ゴブリン「どういうことだゴブ!」
ゴブリン「ゴブタク(御託)はいいから、 さっさと降りろゴブ!」

〇岩山の崖
イツキ「分からん奴らやなあ」
イツキ「だったらこのスキルを見せたるわ!」
「ボス・インパクト!!」

〇武術の訓練場
ゴブリン「そっ!? そのスキル・・・!」
イツキ「この力こそ、ボスから受け継いだスキルや!」

〇武術の訓練場
ユカリナ「助けに来たよ!」
ドライアド族の娘「お姉ちゃん、ありがとー!」
ドライアド族の女「ありがとうございます!」
ユカリナ「さ、早くみんなのところへ!」
ユカリナ(これで全員救出できた・・・!)
ユカリナ(ゴブリン達、イツキのほうに 注目しているから上手くいったけど)

〇森の中
イツキ「もし、俺の作戦が失敗した時は・・・」
イツキ「俺を後回しにして、 捕まってる人達の救出を優先してくれ」
ユカリナ「そんなこと言わないで? 危なくなったらイツキも助けるから」
イツキ「ホンマおおきにな。 そんなユカリナの優しいところが、 推しの理由の一つや」
ユカリナ「もう、こんな時に何言ってるのよ」
イツキ「ボス・インパクトと、 テリブル・プレッシャー・・・」
イツキ「この2つのスキルで奴らを上手く手懐ける」
ユカリナ「手懐ける・・・って、大丈夫なの?」
イツキ「分からへん。 これは賭けみたいなモンやからな」
イツキ「さっき覚えたテリブル・プレッシャーは 一回きりやし・・・」
イツキ「ボス・インパクトを使ったら、 発動後は動けへんから危険かもしれへん」
ユカリナ「だったら尚更一人にさせられないよ!」
ユカリナ「スキルを覚えるからって、 大勢で通常攻撃されたら無事じゃ済まないわ」
イツキ「・・・ああ、せやけど俺は確かめたいんや」
イツキ「凶鬼とやらにも、 "情"っちゅうモンがあるのかどうかを」
イツキ「・・・アイツらのボス、 現実世界ではゴロツキやったんや」
イツキ「初めはヤバいヤツかと思っとったけど・・・」
イツキ「こっちの世界では、 子分想いな一面があったんやで」
イツキ「だったら、子分達にも 情を感じ取れるんちゃうかと思ってな」

〇森の中
ユカリナ(残念だけど、凶鬼には情なんて無いんだよ)
ユカリナ(あれは、現実世界の人類の悪意だから・・・)
ユカリナ(イツキこそ、優しすぎるよ)
ユカリナ(村人の安全を見届けるまでは、 イツキと合流出来ない・・・)
ユカリナ(どうすれば・・・)
ユカリナ「やっぱり、 "ブレスオブゴッデス"を使うしか──」
???「それは止めておいたほうがいい」
コネコネッコ「前回は目を瞑ったけれど、 もうあれっきりにしてほしいコネ」

〇木の上
ゴブリンボス「コンナ、ボウキレ・・・」
ゴブリンボス「ジャマダ!!」
ユカリナ「やめてよー!」
(ユーカリツリー・・・力を借りるよ!)

〇森の中

〇森の中
コネコネッコ「あれは──ギルドツリーの経験値もしくは ギルドマネーを大量に消費するコネ」
コネコネッコ「幸い、ギルドマネーは サ終前に貯蓄してたからよかったけど・・・」
コネコネッコ「これからは、 本当に必要な時に使ってほしいんだ」
ユカリナ「そう──だね。 ごめんなさい、焦ってたのかも」
コネコネッコ「ありがとう。 コネこそ、気を遣わせてごめんコネ」
ユカリナ「けど、どうしよう。 村人たちを誘導しながらだと イツキを助けられないよ」
コネコネッコ「・・・メニュー画面のメール、見てみるコネ」
  *イベント更新情報*
  旅人の救援により、
  捕われた村人達が救出された!
  襲撃で負傷した村人も傷が癒え、
  再び立ち上がる!
ユカリナ「これって──」
コネコネッコ「ウワサをすれば、コネ!」
ユカリナ「村のみんな・・・どうして」
ドライアド族の男「私の妻と娘を助けてくれてありがとう」
ドライアド族の男「だから、私達も貴方達の手助けをするよ!」
ユカリナ「でも相手は大勢だし、危険だよ?」
ドライアド族の男「危険は承知だ。襲撃の時は スキル封印で不意を突かれたけど・・・」
ドライアド族の男「今度はこちらからスキルで "ゴフンッ"と言わせてやるんだ!」
コネコネッコ「ゴフンッ・・・!」
ユカリナ「あ、あはは・・・」

〇武術の訓練場
ゴブリン「ぅんーっ、ぅんーっ!」
ゴブリン「『なんでボスのスキルを使えるんだ!』 ・・・と言っているゴブ!」
イツキ「さっきも言うたやろ?」
イツキ「お前達のボスと決闘して、 スキルを受け継いだからや!」
ゴブリン「ぅ、ぅんうっゔーっ!?」
ゴブリン「『な、なんだってーっ!?』 ・・・以下ゴーブン(同文)!」
イツキ(・・・なんとかターンを稼がなあかんな)
イツキ(喋る事は出来るが、一歩も動けへんで・・・)
イツキ(あかんあかん・・・ 弱みを悟られへんように装わんとな)
イツキ「聞け、子分達!」
イツキ「俺はお前達のボスと戦って、 スキルの他にも引き継いだモンがある!」
イツキ「それは──」
イツキ「"ボスのお前達に対する想い"や!」

〇木の上
ゴブリンボス「ヨクモ、オレノ、コブンタチヲ!」

〇森の中

〇武術の訓練場
ゴブリン「ボスが、そんな風にオレタチのコトを・・・」
ゴブリン「ぐぐっ、なんだこの気分は・・・」

〇森の中
ゴブリンボス「スコシダケ、ムカシヲ、オモイダシタ」
ゴブリンボス「ムカシノ、オレモ、ワルサ、シテタ」
ゴブリン「ボス・・・?」
ゴブリンボス「ツケガ、マワッテ、キタノカモナ」
ゴブリンボス「ダカラ、コンナスガタニ・・・」
ゴブリン「ボス! しっかりするゴブ!」
ゴブリンボス「ダイジョブダ、キニスルナ。 コレハ、オレノモンダイダカラ」
ゴブリンボス「オマエハ、タカラヲ、マッテイレバイイ」
ゴブリンボス「・・・アトハ、タノンダゾ」

〇武術の訓練場
ゴブリン「ボォスゥ〜〜ッ!!」
イツキ(やっぱり、あるんやな──"情")
イツキ(とは言え、 コイツらの所業を見過ごす訳にはいかへん)
イツキ(かと言って、倒すのも気が引ける・・・)
イツキ(せやから当初の目的、 "手懐ける"事を成し遂げるんや!)
イツキ「お前達のボスや仲間達を倒してしもうたのは 申し訳ないと思っとる」
イツキ「けどな、俺にも護りたいモンがあるから。 だから戦ったんや」
イツキ「今回ここに来たのも、 お前達が奪ったものを取り戻す為であり──」
ゴブリン「ゴ・・・ギギ、クル・・・シイ!」
イツキ(なんや・・・? コイツら、様子がおかしい)

〇流れる血
ゴブリン「ヨクモ・・・オレタチノ、ボスヲォォ!!」
「ユルサナイ、ユルサナイ、ユルサナイ!!」
「グヴヴヴヴヴヴヴッ!!」

〇炎
イツキ「な・・・なんや、コイツは!?」

〇黒

〇サイバー空間
電脳神「──目覚めたか」
電脳神「──"禍樹-マガツキ-"」
電脳神「悍ましい、諸悪の権化めが」
電脳神「さあ、彼は如何に攻略するのか・・・」
電脳神「私に教えてくれ給え。樹の名の青年よ」

〇黒
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〇黒
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  To be continued...

次のエピソード:第四話 禍樹-マガツキ-

コメント

  • 「枝も根も」や「以下ゴーフン」などなど、オリジナル慣用句や表現がたくさん出てきてとても楽しかったです。
    ゴブリン達とも情が通じ、分かり合えたと思ったら何やら様子が……大ピンチの予感ですが、きっと切り抜けられると信じて続きを待とうと思います。

  • 種族毎の慣用句が面白い...🤣
    世界観の作り込みが細かくてイイですね!
    続きも楽しみにしております!

  • リニューアルした第三話!
    最初と最後の演出で、よりゲームって事が伝わってきますね。
    ゴブリン達を味方に引き入れようとしたが、逆にゴブリン達の怒りを買ってしまいましたね……。
    波乱の予感。続き待ってます!

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