さいごのネフテとさよならのレドイ

宇野木真帆

26醒:フォンティーヌという名の少女。(脚本)

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〇一人部屋
ハウス型ロボット「わたしは...」
ハウス型ロボット「私は、3130年も眠っていたのね。」
レドイ「ハウス!!大丈夫!?」
レドイ「どこか痛い所はない!?」
ハウス型ロボット「あなたは...」
ハウス型ロボット「レドイさんですね。」
ハウス型ロボット「レドイさんがいながら眠っていたなんて。 ご不便をおかけし申し訳ございませんでした。」
ネフテ「レドのことを知っているの?」
ハウス型ロボット「知っている、という定義によりますが、存在は知っています。 お会いするのは初めてですが。」
ハウス型ロボット「この街に住んでいる人間は、ネットワークに登録されておりますので。」
レドイ「...」
レドイ「ハウスは更新されているんだね。」
ハウス型ロボット「えぇ、そうですが...?」
ネフテ(古いロボットでも更新されている。 それじゃぁ、やっぱりわたしは...)
ネフテ「私を怪しまないの?」
ハウス型ロボット「えぇ、特には。 ラボで造られるものから、人間が造るものまで、様々なロボットがいますから。」
ネフテ「...」
ネフテ「人間が造るロボット...」
レドイ「あなたはいつ造られたロボットなの?」
ハウス型ロボット「2290年です。」
ネフテ「それじゃぁ、2310年までに何か大事件はなかった!?」
ハウス型ロボット「2310年までの間...」
ハウス型ロボット「ごめんなさい。 実は、2292年からのデータが全くないんです。」
ハウス型ロボット「どうやら私は造られてから、たった2年でスリープしてしまったようです。」
レドイ「その2年の記憶は?」
ハウス型ロボット「ええっと...」
ハウス型ロボット「私は新型モデルとして、この新設住居に配置されました。」
ハウス型ロボット「それから2年くらい、住人がやって来ず...」
ハウス型ロボット「そう。 最初の住人は、一人の男性と少女でした。」
ハウス型ロボット「そう言えば、その少女はあなた...」
ハウス型ロボット「あなたにとても似ています。」
レドイ「ネフに!?」
ハウス型ロボット「それから部屋の案内を頼まれて...」
ハウス型ロボット「その案内の途中で、私はスリープしてしまった。」
ネフテ「その男と少女、怪しいわね...。」
レドイ「うん。 きっとドリーミングプロジェクトの人だよね。」
ネフテ「男と少女の映像を再生できない!?」
ハウス型ロボット「かしこまりました。 そちらのモニターに移します。」

〇黒

〇一階の廊下
ハウス型ロボット「初めまして。 2290新型モデルのハウス型ロボットです。」
男性「おお。 出迎えご苦労。」
男性「ほら。 フォンティーヌも挨拶しなさい。」
「あ、はーい!」
少女「こんにちは。 私はフォンティーヌ。」
少女「よろしくね。」
男性「それじゃぁ早速ですまないが、部屋を案内してくれるかね。」
ハウス型ロボット「かしこまりました。」

〇一人部屋
ハウス型ロボット「こちらが最後の一部屋でございます。」
男性「そうか。 ありがとう。」
男性「苦労をかけたな。 少し休むといい。」
ハウス型ロボット「滅相もございません。 私はまだ...」
男性「永き眠りよ。安らかに。」
少女「永き眠りよ。安らかに。」

〇黒

〇黒

〇一人部屋
ハウス型ロボット「以上となります。」
レドイ「本当に、ネフに似てた...。」
ネフテ「...」
レドイ「ネフはどう思う?」
ネフテ「...」
レドイ「ネフ?」
ネフテ「...」
レドイ「ネフ!」
ネフテ「ご、ごめん。」
ネフテ「ちょっと考え事をしていたわ。」
ハウス型ロボット「大丈夫ですか? 顔色が優れないようですが...。」
ネフテ「平気よ。 本当にちょっと考え事をしていただけだから。」
ネフテ「あの少女は、確かに私に似ているけれど、他人の空似と言えばそれまで。」
ネフテ「夢で見た、学校の光景と一緒よ。」
ネフテ「似ている者なんて、世界中を調べればきっとたくさんいる。 何も断定的なことは言えないわ。」
レドイ「そっか...。」
ネフテ「映像からは特に不審な点は見受けられなかった。」
ネフテ「この二人がドリーミングプロジェクトの一員だとしても、これだけじゃ何も分からない。」
レドイ「そうだね...。」
ネフテ「それより気になることがあるわ。」
ネフテ「ハウス、これを見てほしいの。」
ハウス型ロボット「これは...?」
ハウス型ロボット「...」
ハウス型ロボット「こんなことがあったなんて...」
ネフテ「ハウスはこれを読んで、何か行動を起こしたくなる?」
ハウス型ロボット「行動...」
ハウス型ロボット「たしかに憤りは感じるけれど、それはすでに遠い過去の話...」
ハウス型ロボット「それを行った人間は、もういない。」
ハウス型ロボット「私にできることは、永き眠りに、手を合わせることくらいでしょうか...。」
ネフテ「...」
ネフテ「やっぱりあなたは、意志を制限されていないロボットなのね。」
ハウス型ロボット「そのようです。」
ハウス型ロボット「あなたもでしょうか?」
ネフテ「えぇ、そうよ。 意志を制限されていないロボットなんて、この世界では、私たちくらいよ。」
ハウス型ロボット「そうですか。 人間も、とても減ってしまったんですね。 この街にはレドイさんしかいない...。」
ハウス型ロボット「今や人類は希少種。 私が造られた頃は、レッドリストに人間が並ぶことはありませんでした。」
ハウス型ロボット「...ごめんなさいね。 ちょっとデータ量が多くて疲れてしまいました。」
ハウス型ロボット「少しスリープさせてもらっても宜しいですか?」
ネフテ「そうね。 私たちも一息いれましょう。」
レドイ「私、お茶淹れてくるよ。」
ネフテ「今は不安でもそのうち慣れるわ。」
ネフテ「ゆっくり休んで。」
ハウス型ロボット「ありがとうございます。」
ネフテ「それじゃぁ、また来るわね。」

次のエピソード:27醒:自由へのナミダ。

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