ドライブイン(脚本)
〇寂れたドライブイン
ドライブインに到着すると、さっそく<奴ら>が出てきた。<動く死体>だ。三体いる。
元は成人男性だったと思われるラフな格好のが二体。ワンピース姿の髪の長い女性だったと思われるのが一体。
ドライブインの客だった可能性が高いか。人間がいたところではどうしても奴らがいる可能性が高くなる。
コンビニに立ち寄った時に回収していた包丁二本を手に、私は手近な奴から始末した。
一切の手加減なく頭に包丁を突き立てて、その中にある<器官>を破壊すると、即座に活動を停止する。
出血は殆どない。こいつらの頭の中にあるのは<脳>じゃないからだ。
生体で構成はされているけれど、機能的にはむしろ私達のに近い器官。そう、電子頭脳に。
それを破壊すればこいつらは活動を停止する。簡単な話だ。
こいつらの頭の中にあるのが人間の脳じゃない以上、こいつらは既に<人間>じゃない。
私はそれを知ってるから手加減なく対処できる。でなければ、私達ロボットは決して人間を傷付けることができない。
もし倫理回路が故障しようものなら即座にセーフティーが働いて電源が落ちるように設計されている。
それをかいくぐるには、そういう改造を施すしかないけれど、当然、厳重に禁止されていた。
破ればテロの準備をしているとして逮捕され、終身刑すらあり得る重罪だ。
でも、相手が<人間>じゃないならそもそも関係ない。
二体目の頭に包丁を突き立てた時、バキン!と音を立てて包丁の刃が根元から折れた。
こんな使い方は想定されていないから無理もないか。
三体目も残った包丁で始末する。
取り敢えず目についた奴をまず始末して、私はセンサーの感度を上げてドライブイン内の気配を探った。
部屋の中などにもいるかもしれないからだ。
〇簡素な部屋
だけど、それは探知できなかった。
部屋の中で感染して発症した奴は、部屋から出られず食料を確保できず、そのまま活動を停止した可能性がある。
試しに手近な部屋を開けてみると、そこには二つの人間の形をした塵の山と服があった。
活動を停止したこいつらの成れの果てだ。骨さえ残さず塵と化す。
コンビニにあったのも、何かの理由で活動を停止したこいつらの一体が塵になったものだろう。
〇店の事務室
- このエピソードを読むには
会員登録/ログインが必要です! - 会員登録する(無料)