供(脚本)
〇大企業のオフィスビル
〇警察署の入口
〇事務所
警視庁 本部
刑事部 特務課 特殊事件捜査班──
真山由花「んー・・・・・・」
古賀大成「はい、買ってきましたよ」
古賀大成「スーパーデリシャス、極みブラックです」
真山由花「おう、ありがとう」
古賀大成「で、なに考え込んでるんですか?」
真山由花「──先日の大石川で起きた火災のこと」
古賀大成「ああ、先輩のご友人の!」
古賀大成「確か、退院は今日でしたよね?」
真山由花「ああ、このあと迎えに行くつもり」
真山由花「新しい部屋が見つかるまで、 うちに泊めることにしたからね」
古賀大成「そうですか」
古賀大成「先輩と一緒なら、ご友人も心強いでしょうね」
真山由花「そうだな・・・・・・」
古賀大成「しかし、ご無事で良かったですね」
真山由花「ああ、本当にな」
古賀大成「地元の消防団の方が助られたそうで?」
真山由花「ああ──」
真山由花「消防隊を無視して飛び込んだとか」
真山由花「まったく無茶する人がいたもんだ──・・・」
古賀大成「先輩は人のこと言えませんけど──」
古賀大成「素晴らしい行動力には感服です」
真山由花「──だが、団員の行方は知れず」
古賀大成「そうなんです!!」
古賀大成「いや〜、かっこいいですよね〜」
「本物のヒーローってのは、名前も名乗らずに立ち去ってしまうもんなんですね!!」
古賀大成「名乗る程の者ではありません──」
古賀大成「助けを呼ぶ声が聞こえたもので」
古賀大成「なんちゃって⭐︎」
真山由花「お前、暇だな・・・・・・」
古賀大成「暇ですよ!!」
古賀大成「何でもかんでも──」
古賀大成「全部、先輩が処理しちゃうじゃないですか!」
真山由花「ああ、それは悪い・・・・・・」
古賀大成「僕にだって、」
古賀大成「狂人を処す権限があるんですからね!」
真山由花「あ、ああ──」
古賀大成「・・・・・・」
古賀大成「あんまり勝手に動いたりしないでください」
古賀大成「その──」
古賀大成「先輩にもしものことがあったら、」
古賀大成「困りま──」
唐突に立ち上がりデスクを叩く真山。
真山由花「やっぱり、おかしい──!!」
古賀大成「どうしたんですか、いきなり!?」
真山由花「これ!」
原因:特定不能
所見:事件性なし
古賀大成「え?」
PCのフタを閉じ執務室を出て行く真山。
古賀大成「あ、どこ行くんですか!?」
「──調べ物!!」
古賀大成(言ったそばから・・・・・・)
古賀大成「まったく、もう──」
〇警察署の資料室
真山由花「808号室 角部屋みやびの部屋が半焼──」
真山由花「908、708の上下階半焼・・・・・」
真山由花「807が部分焼けか──」
真山由花「各部屋の位置、焼損程度から推測しても、」
真山由花「808が出火元であると考えるのが妥当だが」
真山由花「火事が起きてから、たった3日──」
真山由花「原因不明と断定するには」
真山由花「気が早すぎるっつーの!」
真山由花「ん?」
回収物の中からヒラリと何かが落ちた。
真山由花「──写真?」
一部が焼けてしまっているものの、そこに写る物は、はっきり分かる。
真山由花「飯島さんと・・・・・・誰だ?」
真山のかつての上司である飯島雉鷹と、白衣の男性が写っている。
郷田政宗「お?」
真山由花「郷田さん!?」
郷田政宗「真山か! 久しぶりだな」
真山由花「──飯島さんのお通夜以来ですね」
郷田政宗「もう、8年になるか」
真山由花「年も取るはずですね」
郷田政宗「なあにババアみてぇなこと言ってんだよ」
郷田政宗「俺はまだまだ現役だぞ?」
真山由花「はあ──」
中山 咲「わわわわ、真山さんだ!」
真山由花「おう、中山 咲!!」
真山由花「辞めてなかったんだね!!」
中山 咲「はい、何とか・・・・・・」
真山由花「郷田さんとじゃな・・・・・・」
郷田政宗「俺!?」
真山由花「心中察するよ──」
中山 咲「ありがとうございます・・・・・・」
中山 咲「ってそんなことより──」
中山 咲「真山先輩、確か剣道3段でしたよね!?」
真山由花「あ、うん?」
中山 咲「なんたる幸運でしょうか!?」
中山 咲「助けてください、我が剣道部の危機なんです」
真山由花「え?」
〇大きい病院の廊下
飯島みやび「真山〜!」
真山由花「うお、みやび、どうした!?」
飯島みやび「もう病院イヤぁああ」
真山由花「何かあったのか!?」
飯島みやび「あった──」
飯島みやび「食事の味が薄い・・・・・・」
真山由花「それだけ?」
飯島みやび「それだけ!」
飯島みやび「早く帰ろ!」
真山由花「もう、びっくりさせないでよ」
〇走行する車内
真山由花「本当に無事で良かった──」
飯島みやび「そうなの!」
飯島みやび「どうして助かったんだろう──!」
真山由花「何で他人事なのよ・・・・・・」
飯島みやび「あはは、でもね──」
飯島みやび「私もね・・・・・・」
飯島みやび「──もうダメかと思ったの・・・・・・」
真山由花「え?」
飯島みやび「火が迫ってくる中、逃げ場もなくて──」
〇マンション群
もう──死ぬんだと思ったら・・・・・・
飯島みやび「助けて・・・・・・」
飯島みやび「お父さん──!!」
お父さんのこと呼んでた──
それから、気づくと・・・・・・
〇マンション群
誰かが助けてくれていた
飯島みやび「お父さん──?」
???「・・・・・・」
飯島みやび「助けてくれて──」
飯島みやび「・・・・・・ありがとう────」
──大丈夫ですか!?
こっちに1名倒れてるぞ!!
〇走行する車内
飯島みやび「あり得ないって・・・・・・」
飯島みやび「分かってるんだけど──」
飯島みやび「お父さんが助けてくれた」
飯島みやび「──そんな感じがしちゃうんだよね」
真山由花「・・・・・・そっか」
飯島みやび「ねえ、真山──」
真山由花「ん?」
飯島みやび「ちょっと、」
飯島みやび「寄って欲しいところがあるんだけど?」
〇墓石
飯島雉鷹の眠る墓前で手を合わせる2人。
真山由花「ん?」
飯島みやび「真山どうかした?」
真山由花「あ、いや・・・・・・」
飯島みやび「あ、お花? 誰か来てくれたんだね」
真山由花(──誰かって誰が?)
真山由花(一度でも花が刺さってたことあるか?)
飯島みやび「さあ、帰りましょう!」
飯島みやび「私たちの我が家へ」
真山由花「”私の”家ね?」
飯島みやび「”私たちの”ね?」
真山由花「まさか、居座る気はないでしょうね!?」
「いいじゃん、真山の部屋広いし!」
「もう──!」