エピソード3「睡魔ちゃんの想い」(脚本)
〇可愛い部屋
睡魔は自宅に帰ると、深いため息を吐いた
睡魔ちゃん「あ〜あ、Zってば たくやのことばっかり」
睡魔ちゃん「私のこと全然、構ってくれないじゃない」
睡魔ちゃん「私を追いかけてもこないなんて・・・」
睡魔ちゃん「う、また考えたら悲しくなってきた」
睡魔ちゃん「Zのばかばか、本当にばーか」
睡魔ちゃん「なんであんな奴、好きになっちゃったんだろ」
〇闇の要塞
あいつのと出会いは──
悪魔養成学校だった──
私は、もちろん、成績優秀で学年トップ
そして、Zは落第ぎりぎりの成績で
いつも先生に怒られていた
〇闇の闘技場
「教師)おい、Z!また宿題を忘れたのか!」
デビルZ「すんません、やったんですけど 家の勉強机に忘れてきて・・・」
「教師)うそじゃないな?」
デビルZ「はい、大魔王に誓います」
「教師)お前の家を透視して確かめてみるぞ」
デビルZ「あっ、ちょっ、待ってくだ・・・」
〇男の子の一人部屋
「教師)おい、宿題ないじゃないか!」
「教師)机の上にあるのは・・・」
「教師)ゲームと・・・」
「教師)ポ、ポテトじゃないか!」
「教師)お前!またマク●に行ったのか!」
「教師)人間の食べ物を好むとは いかがなものか!」
〇闇の闘技場
デビルZ「まあまあ、そんな怒らないでくださいよ」
デビルZ「ポテトでも食べて落ち着いてください♪」
「教師)ふざけるな!」
デビルZ「あっ、」
デビルZ「バーガーのほうですか?」
「教師)ばかもぉーん!」
デビルZ「あちっ、あちあち」
「教師)廊下でバケツを持って立っておれ!」
〇闇の要塞
睡魔ちゃん(あいつ、本当、バカだな・・・)
その時の私は、まさかZのことを
意識するようになるなんて
全く予想していなかったわ
だけど・・・
〇研究所の中
ある日の放課後──
睡魔ちゃん「ふんふんふ〜ん♪」
睡魔ちゃん「ラッキー♪」
睡魔ちゃん「今日は学校の図書館、誰もいないわ」
睡魔ちゃん「勉強が、はかどりそう♪」
デビルZ「邪魔するぜえ」
睡魔ちゃん「最悪〜、せっかく貸し切りだったのに」
デビルZ「すまん、すまん」
睡魔ちゃん「Zは、何しにきたの?」
デビルZ「先生に罰として本の整理を頼まれたんだぜえ」
睡魔ちゃん「私の勉強の邪魔、絶対しないでね!」
デビルZ「お、おう」
数十分後──
睡魔ちゃん(ん?なんか美味しそうな匂いがするんだけど)
デビルZ「うまっ、うまうま♪」
睡魔ちゃん「ああー!図書館は飲食禁止なのに!」
睡魔ちゃん「本にポテトのカスが入るじゃない!」
睡魔ちゃん「もお〜、頭にきた!」
睡魔ちゃん「殺す!」
デビルZ「おっと、びっくりしたぜえ」
デビルZ「かわいいレディが そんな危ないことをしてはいけないぜえ」
睡魔ちゃん「うるさい、うるさい!」
睡魔ちゃん(何気に全部よけてるじゃない)
デビルZ「痛い、痛い!お尻、チクっとしたぜえ」
睡魔ちゃん(お尻だけって・・・)
睡魔ちゃん(こいつ、何気に強い!?)
睡魔ちゃん(むう、こうなったら・・・)
デビルZ「ちょっ、やりすぎだぜえ」
睡魔ちゃん(えっ、無傷なの?)
睡魔ちゃん(葉っぱの盾を使ったのね)
睡魔ちゃん(なかなかやるわね)
睡魔ちゃん「って、Z、あんた、強いじゃない!」
睡魔ちゃん「実戦力は優秀なはずよ」
睡魔ちゃん「どうしてやり返さないのよ!」
デビルZ「それは、私が睡魔殿と 仲良くなりたいからだぜえ」
睡魔ちゃん「へ?」
デビルZ「君も私と同じ一人ぼっちだぜえ」
睡魔ちゃん「何、ばかなこと言ってんのよ!」
睡魔ちゃん「こんな優秀でかわいい私が 一人ぼっちなわけ・・・」
〇ファンタジーの教室
授業の勉強以外、興味のなかった私は
クラスメイトとあまり積極的に
関わろうとしなかった──
そのせいか、周りのみんなに・・・
「何あの子、成績優秀だからって 調子乗ってるんじゃない?」
「顔もかわいいからって 私たちのこと、見下してるのよ、きっと」
睡魔ちゃん(聞こえないふり、聞こえないふり・・・)
気にしないふりして一人で頑張ってきたけど
本当は・・・
寂しかった・・・
〇研究所の中
デビルZ「本当は寂しかったんだろう?」
デビルZ「私もよく分かるぜえ」
睡魔ちゃん「なっ、何なのよ!あんたなんかに!」
睡魔ちゃん「あんたなんかに同情されたくな・・・」
〇黒
〇研究所の中
睡魔ちゃん「えっ、やだっ、停電?」
睡魔ちゃん「怖い怖い」
睡魔ちゃん「真っ暗で何も見えないじゃない」
「デビルZ)危ないから動いてはいけないぜえ」
睡魔ちゃん「そうは、いっても・・・」
「デビルZ)大丈夫、私がそばにいるぜえ」
「デビルZ)あっ、そうだ!」
「デビルZ)懐中電灯、持ってるぜえ」
睡魔ちゃん「なんだ、意外と気が利くじゃない♪」
睡魔ちゃん(あっ、だんだん周りが見えてきた・・・)
カサカサ
睡魔ちゃん「きやぁぁぁあ!虫!」
睡魔ちゃん「いやぁぁぁあ!」
睡魔ちゃんは殺虫スプレーをかけた
デビルZ「ぐほっ、くさいぜえ」
デビルZ「間違えて私にかけてるぜえ」
デビルZ「落ち着くんだ、睡魔殿」
デビルZ「私に任せるんだぜえ」
睡魔ちゃん「でもでも・・・」
デビルZ「私を信じるんだぜえ」
デビルZ「大丈夫だから」
そう言うと、Zは
睡魔ちゃんの手をそっと握りしめた
睡魔ちゃん「なっ、いきなり触らないでよ・・・」
睡魔ちゃん「離してよ!」
睡魔ちゃん(だけど、何だろ、この安心感・・・)
睡魔ちゃん(あったかい・・・)
デビルZ「虫さんよ、すまぬが、 ここを離れてほしいぜえ」
デビルZ「ふむふむ、ここに 迷い込んでしまったと・・・」
デビルZ「それなら、この窓から出たらいいぜえ」
そう言うと、窓から
虫を外に逃してあげた──
睡魔ちゃん(Zは虫を逃すタイプなのね)
〇研究所の中
睡魔ちゃん「やった、電気がついた」
デビルZ「よかったぜえ♪」
デビルZ「って、はっ!」
デビルZ「すまぬ、手をずっと握ってしまっていた」
睡魔ちゃん「べ、別にいいわよ」
デビルZ「はっ、危ない!」
睡魔ちゃん「へっ?」
Zが睡魔ちゃんの体を自分のほうへ
引き寄せる──
睡魔ちゃん「きゃっ、何なに?」
デビルZ「蟻さんを踏みそうになってたぜえ」
睡魔ちゃん「って、Zがポテト食べたからでしょ!」
デビルZ「はっ、ほんとだ」
デビルZ「ポテトに蟻の行列ができてるぜえ」
睡魔ちゃん「もお、バカみたい」
睡魔ちゃん(ほんと、Zのバカバカ)
睡魔ちゃん(ほんと、バカでお人好し・・・)
睡魔ちゃん(あのときだって・・・)
〇ファンタジーの教室
デビルZ「おい、」
デビルZ「勝手に判断して、睡魔殿を悪く言うのは よくないぜえ!」
〇研究所の中
睡魔ちゃん(私のために、みんなに言ってくれたのよね)
睡魔ちゃん(あの一言で、少し救われたこともあったな)
デビルZ「なあ、話が戻るが 私と友達になってくれるか?」
睡魔ちゃん「うん、いいわよ」
デビルZ「えっ、まじ!嬉しすぎるぜえ♪」
睡魔ちゃん「もお、大げさなんだから」
睡魔ちゃん「ところで、Zって どうして落第ぎりぎりなの?」
睡魔ちゃん「Zの実戦力なら上位なはずよ」
デビルZ「私は悪魔に向いてないんだぜえ」
デビルZ「先生にそう言われたぜえ」
睡魔ちゃん「どうして?」
デビルZ「人間のこと嫌いになれなくて」
デビルZ「気づいたら仲良くなっちゃうんだぜえ」
睡魔ちゃん「それは、悪魔失格ね・・・」
デビルZ「やはり、そうなのか・・・」
睡魔ちゃん「まあ、でもZはZらしくやれば いいんじゃない?」
睡魔ちゃん「優等生の私が、ときどき助けてあげるわよ♪」
睡魔ちゃん「お互い頑張りましょ、よきライバルとして」
デビルZ「ほんとか!睡魔殿、優しいぜえ」
睡魔ちゃん(ふふふ、Zほどじゃないわよ)
睡魔ちゃん「殿はつけずに睡魔って呼び捨てでいいからね」
〇可愛い部屋
睡魔ちゃん「って感じだったのになあ、昔は」
睡魔ちゃん「気づいたら、Zのこと好きになってたのよね」
睡魔ちゃん「だけど、私の片想いよね、きっと」
睡魔ちゃん「Zは、私のこと、どう思ってるんだろ」
睡魔ちゃん「追いかけてきてくれないのよね」
睡魔ちゃん「もしかして、Z!?」
睡魔ちゃん「やだ、まだ心の準備が・・・」
「宅配便でーす」
睡魔ちゃん「なーんだ、勘違いか」
〇玄関内
睡魔ちゃん「はーい、開けまーす」
デビルZ「宅配と見せかけて私だぜえ♪」
睡魔ちゃん「Zじゃない♪」
睡魔ちゃん「もお、どうしたの?いきなり」
デビルZ「睡魔が何か元気がなさそうだったからな」
デビルZ「気になって、たくやに断りを入れて やって来たんだぜえ♪」
デビルZ「バーガー、一緒に食べようぜえ」
デビルZ「もちろん、ポテトも♪」
睡魔ちゃん「うん♡」
睡魔ちゃん(やっぱり来てくれたんだ)
睡魔ちゃん(ああ、私この人を好きになってよかった)
睡魔の恋は、しばらく続きそうだ──
一方で、Zの想いは?
次回、Zの日常の様子とともに
密着取材を実行!
たくや「はい、はーい!」
たくや「僕がZに根掘り葉掘り訊いてみます!」
「どうぞ、お楽しみに〜♪」
デビルZ「引き続き、よろしくだぜえ♪」
デビルZさんが学生で授業を受けている姿を想像するだけで楽しくなってきますね。そして安定のポテトも!笑いながらも、睡魔ちゃんの恋をマジメに応援したくなる一話ですね!
今回もめちゃめちゃ楽しく読ませていただきました!
デビルZ、めっちゃいいやつだった……
図書室でポテトはあかんけど、落第ギリギリでもこんなの好きになっちゃいますよ(笑)
睡魔ちゃん応援してます!彼女の恋が実りますように♡
今回も楽しく読ませていただきました🌟
つい応援したくなっちゃいます🤣頑張れ、睡魔ちゃん🔥