22醒:デ・ジャ・ブー★(脚本)
〇黒
〇黒
〇本棚のある部屋
ネフテ「ん...」
ネフテ「...」
ネフテ「そうか。そういう日もあるのか。」
〇黒
〇綺麗なリビング
ネフテ「あら、早いじゃない。」
レドイ「うん。 昨日はバッチリ寝たからね。」
レドイ「そうだ。 ネフは今日どんな夢をみたの?」
ネフテ「残念だけど、今日は何も見ていない。」
ネフテ「毎回夢を見るってわけではなさそうよ。」
レドイ「そうだよね。 私も毎日夢をみるわけでもないもんなぁ。」
ネフテ「今日は前回の夢で見た、学校へ行くわよ。」
レドイ「そう来ると思って、この間のナビゲーター呼んでおいた!」
ネフテ「やるじゃない。」
ネフテ「じゃぁ、朝食をいただいたら、すぐに出発よ。」
レドイ「おっけー!」
〇黒
〇高級住宅街
ナビゲーター「毎度ご利用いただき、誠にありがとうございます!」
ネフテ「今回も世話になるわ。 よろしくね。」
ナビゲーター「こちらこそよろしくお願いいたします!」
ナビゲーター「最近は...」
ナビゲーター「いや違いますね。 ここ2000年くらいは、めったにトラベラーに会わず」
ナビゲーター「久々に利用してくださる方がいて、有難いかぎりですよ。」
ナビゲーター「さて、今回はどのような場所をご所望で?」
レドイ「学校って、あるかな?」
ナビゲーター「学校ですね。少々お待ちください。」
ナビゲーター「...」
ナビゲーター「...」
ナビゲーター「こちらから7㎞離れた場所に1件ございます。」
ネフテ「さすがに歩いて行くには遠いわね。」
ナビゲーター「エッグをお呼びしますよ。」
ネフテ「エッグ...?」
レドイ「卵型の乗り物があるんだよ。 コロンとしてて可愛いの。」
ネフテ「へー。 今はそんな形になったのね。」
レドイ「久しぶりに乗るなぁー!」
ネフテ「私も楽しみだわ♪」
〇黒
〇学校の校舎
ナビゲーター「到着いたしました!」
ナビゲーター「こちらが2000年代に流行した学校でございます!」
ネフテ「そうよね。 今はもう学校なんて使っていないはずだわ。」
レドイ「勉強は全部ターミナルでやったよ。」
ネフテ「私の時でさえ、学校へ行く、ということはなかった。 これはレプリカってところか。」
ナビゲーター「その通りです。 2200年代中頃から、このような2000年代ブームが始まり、各地に再構築されております。」
レドイ「さっそく入ってみようよ!」
ナビゲーター「では、中をご案内いたします!」
〇黒
〇教室
レドイ「へー! これが学校かぁ...」
レドイ「みんな同じ机と椅子を使うんだね!」
レドイ「あ!」
レドイ「ねえねえ、あそこの壁だけなんで緑色なの?」
ナビゲーター「あちらは黒板というものです。 黒板に字を書いて、この教室の皆さんで、勉強をしていたそうですよ。」
レドイ「ふーん。 黒板なのに、緑って変なのー!」
ネフテ「もっと昔は黒色だったのよ。」
ナビゲーター「おや、よくご存知ですね。」
ネフテ「私だってロボットなんだから当然でしょ。」
ナビゲーター「そうでした。 しかし、あなたからは、なんというか...」
ナビゲーター「...」
ネフテ「なによ。」
ナビゲーター「堅苦しさを感じないというか...」
ネフテ「...」
ネフテ「じゆう?」
ナビゲーター「そうです! 人間のような自由さを感じますね!!」
ネフテ「まったく。 そんな事を言うのは、あんたで二人目よ。」
ナビゲーター「し、失礼いたしました!」
ナビゲーター「ロボットであれば、最高の誉め言葉かと思いまして...。」
ネフテ「ごめん。気にしないで。 こっちの話だから。」
ネフテ「私はちょっとこの教室を見回してくる。」
ネフテ「レドはナビゲーターと遊んでなさい。」
レドイ「はーい。」
〇黒
〇教室の教壇
ネフテ「あ!」
ネフテ(夢の中の光景と似ている気がする...)
ネフテ(でも、窓際に机と椅子が並べば、どこも似たり寄ったりか...)
レドイ「ネフ! どうしたの!?」
ナビゲーター「どうかされましたか!?」
ネフテ「ここよ。」
ネフテ「ここから見た景色が、一番夢の中の光景に近いわ。」
レドイ「すごい! 夢の中の場所みつけたんだね!」
ネフテ「ちょっと違うわ、レド。」
ネフテ「すでに夢の光景はあやふや。 加えて、教室の光景なんて、どこも似たり寄ったりだと思うわ。」
ネフテ「ここが、私が見た夢の場所とは、断言できない。」
レドイ「そっか...」
レドイ「何か思い出したりした?」
ネフテ「まったく。」
レドイ「...」
ネフテ「...」
ナビゲーター「...」
ナビゲーター「あの...」
ナビゲーター「先程の会話から、あなたは、夢を見ると?」
ネフテ「そうよ。 でもそれは、夢かどうか分からない。」
ネフテ「夢のようなもの、なのかもしれないわ。」
ナビゲーター「あなたは一体...」
ネフテ「私はね、データを全て失っているの。」
ネフテ「更新もされない、役目のないロボット...」
ネフテ「ネフテよ。」
ナビゲーター「知らずとはいえ、失礼なことを。」
ネフテ「気にしないで、って言ったでしょ。」
ネフテ「今はもう、気にしてないの。」
ネフテ「さ、いつまでもボヤボヤしてないで帰るわよ。」
ネフテ「今日はもう一か所行きたい所があるの。」
ネフテ「エッグに乗ってたから、今日は疲れてないでしょ?」
レドイ「うん。大丈夫。」
ネフテ「それじゃぁ一度、学校を出ましょう。」