エピソード14 【ギゼルside】地下牢(脚本)
〇刑務所の牢屋
リリサ「あんたのせいで酷いことになったわ! どうしてくれるのよ!」
ギゼル「ふんっ。 俺の後ろに隠れていただけの癖に、よく言うぜ。 俺は俺なりに交渉したんだ」
リリサ「私は、あんたが任せろって言ったから従っていただけよ!」
リリサ「あんたの交渉があれほど無茶苦茶だったなんて、思わなかったし!」
ギゼル「ちっ! 後からならどうとでも言えるぜ! うざってえ女だ!」
リリサ「私をうざいですって!? いい加減にしないと、本当にぶっ飛ばすわよ!」
ギゼル「はっ! 魔力を封じられた『魔道士』に何ができんのか、教えてほしいね」
リリサ「ぐぬぅ・・・。 そう言うあんたこそ、四肢を拘束されちゃ何にもできないでしょうが!」
ギゼル「何だとコラ!」
リリサ「何よ!」
ギゼルとリリサの口喧嘩が止まらない。
彼らは地下牢に投獄されているのだが、見張りの兵士も呆れて見守るだけである。
リリサ「・・・はぁ。 どうしてこんな奴と一緒になったのかしら・・・」
リリサ「カイルがいてくれたら、面倒なことは全部任せられたのに・・・。 誰かさんが追放したせいで・・・」
ギゼル「ああ!? 俺が悪いって言いたいのか!」
リリサ「当たり前でしょ! カイルはあんたと違って、ちゃんとした人間だったわ!」
ギゼル「チッ! お前だって追放に賛成してたくせによ!」
リリサ「それは・・・。 あんたがここまで無能だとは思ってなかったからよ! 『格闘王』の身体能力に頼り切った脳筋野郎!!」
ギゼル「何だと!? お前こそ、『魔道士』の魔法攻撃力にあぐらをかいて、後方からブッパするだけじゃねえか!」
お互いがお互いを貶し合う。
カイルがいなくなった綻びは、こうも早く顕在化していた。
リリサ「・・・もういい。 このまま一生、ここで過ごすしかないのよ。 私の人生、終わった・・・」
ギゼル「けっ! 何が終わりだ。 まだ終わってねぇよ。 ここから脱出して、またカイルを探し出してパーティを組むだけだ」
リリサ「はぁ?」
ギゼル「俺が思っていたよりも雑用をこなしていたことは認めるけどよ」
ギゼル「所詮は外れスキル持ちのザコ。 また誘ってやったら、ホイホイ付いてくるだろ」
リリサ「・・・・・・」
楽観的なギゼルに、さすがのリリサも沈黙した。
リリサ「(あれほどひどく追放されておいて、またパーティを組むなんてあり得ないわ)」
リリサ「(そもそも、私たちが無事に釈放されるかどうかすら怪しいのに・・・)」
リリサは内心でため息をついたのだった。