16醒:トラベラーは休眠世界の覚醒者。(脚本)
〇黒
〇黒
〇教室の教壇
「今、急にー。」
「うん。わたしも。」
「ボーっとしてどうしたの!!」
〇黒
〇本棚のある部屋
ネフテ「うーん...」
ネフー...
ネフー...
ネフテ「あぁ。 レドの声か。」
ネフテ「入っていいわよ。」
レドイ「いつもより遅いから、心配しちゃった。」
ネフテ「レドが心配することなんて、何もないわよ。」
ネフテ「それより、また夢を見たわ。」
レドイ「今度は、どんな所だった?」
ネフテ「あれは、たしか...」
ネフテ「学校ね。」
レドイ「どんな人がいた?」
ネフテ「それが覚えてないのよ。 今回は話してた内容も覚えてない。」
ネフテ「学校に居たことしか覚えてないわ。」
レドイ「そっか...」
レドイ「夢ってね、記憶らしいよ。」
レドイ「だから、学校に行けば、ネフも何か思い出せるかもしれない。」
ネフテ「なるほど。 試してみる価値はあるわね。」
ネフテ「レドにしてはやるじゃない。」
レドイ「うん! さいきんね、世界が明るいの!」
レドイ「ぜんぜん眠くないの!」
ネフテ「いいことだわ。 その調子で、じゃんじゃん良いアイデア頼むわよ。」
レドイ「うん! まかせて!!」
レドイ「もうお出かけの準備もできてるから、下で待ってるね!」
ネフテ「私もすぐ行くわ。」
ネフテ「レドが目覚めた。」
ネフテ「これは本当に、もしかする...かもしれないわね。」
〇黒
〇高級住宅街
ネフテ「その人は誰?」
ナビゲーター「お初にお目にかかります!」
ナビゲーター「この街のことなら何でもお任せあれ! ナビゲーターです!!」
レドイ「私が呼んだの。」
レドイ「お家探しと学校の場所を教えてもらおうと思って。」
ネフテ「なるほど。 良いアイデアよ。」
ネフテ「さすが休眠世界で暮らしているだけあるわね。」
レドイ「ナビゲーター、この街でボックスがない家ってどこにある?」
ナビゲーター「少々お待ちください。」
ナビゲーター「...。」
ナビゲーター「...。」
ナビゲーター「10㎞圏内に56件あります。」
レドイ「え、多い...」
ナビゲーター「物件をお探しであれば、詳しくお聞きしますよ。」
ネフテ「じゃぁ、ハウス型ロボットがいない家、を探してちょうだい。」
ナビゲーター「かしこまりました。 お探しします。」
ナビゲーター「...。」
ナビゲーター「...。」
ナビゲーター「500m圏内に1件ございます。 ご案内いたしましょうか?」
ネフテ「お願い。」
ナビゲーター「かしこまりました!」
〇黒
〇街中の階段
ナビゲーター「こちらの階段を上った先が、お探しの物件でございます!」
ネフテ「あんた、私のこと怪しまないの?」
ナビゲーター「えぇ、特には。」
ナビゲーター「トラベラーを相手にしているがゆえ、様々な人やものに出会います。」
ネフテ「ふーん。 そういうもん。」
ネフテ(ハウスが言ってたのと違うわね。)
ネフテ「これまでにロボットから案内を頼まれたことは?」
ナビゲーター「...」
ナビゲーター「ありませんね。」
ナビゲーター「あなたが初めてです。」
ネフテ「それで、パトロボに通報するのかしら?」
ナビゲーター「いいえ。」
ナビゲーター「それは役割を逸脱する行為です。」
ネフテ「『役割』また出たわね。」
ネフテ「じゃぁ、今ここで、私がレドを襲ったとする。 そしたらどう?」
ナビゲーター「それは通報しますね。」
ネフテ「役割を逸脱する、より、人命の方が大事なのかしら?」
ナビゲーター「いいえ。 役割を逸脱してはならない、の方が人命よりも優先順位は高いです。」
ナビゲーター「あなたがレドイさんを”襲った”場合の通報は、ナビゲーターの役割の範囲内にあるので、優先順位はありません。」
ナビゲーター「しかし、あなたとレドイさんが”争った”場合、私は見ていることしかできません。」
ナビゲーター「これを通報してしまうと、役割を逸脱する行為になります。」
ネフテ「なるほどねぇ。」
ネフテ「つまりは、一方的に襲われている場合は、通報できるけれど、双方でぶつかっている場合は、その限りではないと。」
ナビゲーター「その通りです!」
ネフテ「まったく、面倒くさいわ。」
ネフテ「それで、ナビゲーターは、こんなことをペラペラ喋っていいわけ?」
ナビゲーター「隠し事をしてはいけない、は高い順位にありますので。」
ネフテ「へー。 難儀ね。」
ネフテ「私みたいな賢いのが、世界を乗っ取ろうとするかもしれないのに?」
ナビゲーター「そこまでは推し量りかねます。」
ネフテ「ま、そうよね。 人間はみんなまどろみの中にいるんだもんね。」
ネフテ「私が異質か。」
ネフテ「って、レド!! いつまで待たせんのよ!!」
ネフテ「ちゃっちゃと上って来なさい!!」
ま、まってー...