第二十二話 明日をも知れぬ(脚本)
〇城壁
◆あらすじ◆
ゲームのセリフを思い出し、
ソウビはテンセイの気持ちに
不安を覚える。
テンセイ・ユリスディ「敷地内を見回っておりましたら、 ソウビ殿がこちらにおられるのが 見えたので・・・」
テンセイ・ユリスディ「ソウビ殿?」
テンセイの大きな手が私の頬に触れる。
その温かな指が、
グイと私の目じりをぬぐった。
指を見た後、
テンセイは私の顔に視線を移す。
テンセイ・ユリスディ「泣いておられたのですか?」
ソウビ・アーヌルス「・・・・・・」
テンセイ・ユリスディ「嫌なことでも言われましたか? もしや、ラニ殿の姉である貴女に対し 心無い言葉をぶつける不届き者でも」
ソウビ・アーヌルス「違うよ」
私はテンセイの胸に頭を預ける。
テンセイ・ユリスディ「ソウビ殿?」
ソウビ・アーヌルス「今までどこにいたの?」
テンセイ・ユリスディ「は、敷地内を見回っておりました」
ソウビ・アーヌルス「一人で?」
テンセイ・ユリスディ「は。 初めに見回りの志願者を募った際には 分担を決めるため彼らとおりましたが」
ソウビ・アーヌルス「チヨミとは一緒じゃなかった?」
テンセイ・ユリスディ「いえ、割り当てられた部屋に 引き上げてからは 顔を合わせておりません」
テンセイ・ユリスディ「なぜそのようなことを?」
ソウビ・アーヌルス「・・・・・・」
ソウビ・アーヌルス「チヨミのこと、好きだったんでしょ?」
テンセイ・ユリスディ「は!?」
ソウビ・アーヌルス「初めて会った時、 チヨミの策で命を救われた日から」
ソウビ・アーヌルス「だから、 チヨミと会ってたんじゃないかって・・・」
テンセイ・ユリスディ「お待ちください! もしや、自分の二心を 疑っておいでなのでしょうか?」
ソウビ・アーヌルス「・・・・・・」
テンセイ・ユリスディ「俺がチヨミ殿を好きなどと、 一体誰が・・・!」
ソウビ・アーヌルス「・・・・・・」
テンセイ・ユリスディ「・・・そうでしたね。 貴女は様々なことを見通す力を お持ちの方だった。 隠しても無駄なのでしょう」
ソウビ・アーヌルス「やっぱり・・・!」
テンセイ・ユリスディ「誤解なさらないでください。 自分は確かに チヨミ殿に好意を抱いておりました」
テンセイ・ユリスディ「ですがそれは、 敬愛もしくは信愛といったもの」
ソウビ・アーヌルス「敬愛・・・、信愛・・・」
テンセイ・ユリスディ「自分たちの軍が敵に囲まれ、 危うく全滅と言う時に、 我々を救ってくれたのが チヨミ殿の策でした」
テンセイ・ユリスディ「驚きました。 生粋の武人である我々に 思いつけなかった奇策が、 年若い娘の口から出てきたのですから」
テンセイ・ユリスディ「戦場に立つ者として、 畏敬の念を抱きました。 それ以来チヨミ殿に一目置いております」
テンセイ・ユリスディ「共に戦う仲間として」
ソウビ・アーヌルス(知ってる・・・。 その流れは知ってるんだ。でも・・・)
テンセイ・ユリスディ「その、つまりですな。 自分が女性として意識しているのは ソウビ殿、貴女だけなんです」
ソウビ・アーヌルス「・・・・・・」
ソウビ・アーヌルス「やっぱりチヨミが羨ましいな」
ソウビ・アーヌルス「テンセイに 信頼してもらえるチヨミが羨ましい。 私は、戦場では役立たずだから・・・」
テンセイ・ユリスディ「ソウビ殿」
ソウビ・アーヌルス「変なこと言っちゃってごめんね。 もう部屋に戻る」
テンセイ・ユリスディ「お待ちください!」
ソウビ・アーヌルス「っ!」
背中から、
ぎゅっと強く抱きしめられる。
痛いほどに力強く。
テンセイ・ユリスディ「そんな悲しい顔の貴女を 部屋に返すわけにはまいりません」
ソウビ・アーヌルス「・・・・・・」
テンセイ・ユリスディ「これだけは知っておいてください」
テンセイ・ユリスディ「自分にとって、伴侶として 生涯を共にしたいと願う女性はただ一人、 貴女だけです」
ソウビ・アーヌルス「!」
テンセイ・ユリスディ「ソウビ殿、 我々はこれより王に反旗を翻す身。 明日をも知れぬ命でございます」
テンセイ・ユリスディ「だからこそ、わだかまりを 抱えたままにしておきたくない」
ソウビ・アーヌルス(あ・・・)
テンセイ・ユリスディ「自分にとって最も愛しい人は、 ソウビ殿、貴女です」
テンセイ・ユリスディ「もしも貴女とチヨミ殿が 同じ危機に陥ったなら、自分は 迷わず貴女を助けるでしょう」
テンセイ・ユリスディ「時代を変える傑物かもしれない チヨミ殿を後回しにしてでも」
ソウビ・アーヌルス「それは・・・、だめだよ」
テンセイ・ユリスディ「わかっております、頭では。 それでも、俺は貴女を選ぶ」
ソウビ・アーヌルス「やっちゃだめなことだよ、 それは騎士として・・・」
私の体をいましめる逞しい腕を、
私はトントンと軽く叩く。
それに応えるように、
腕の力は緩められた。
私は体を反転させ、テンセイへ向き直る。
ソウビ・アーヌルス「ありがとう、もう大丈夫。 ごめんね、テンセイの心を 疑うようなこと言って」
テンセイ・ユリスディ「ソウビ殿」
ソウビ・アーヌルス「国の未来よりも 私を選ぶなんて言っちゃう人、 これ以上追いつめて実行に移されると 困る」
ソウビ・アーヌルス「大丈夫、 テンセイの気持ちは十分伝わったから。 何よりも私を大切に思ってくれているの、 わかったから」
ソウビ・アーヌルス「私も、テンセイが好き」
テンセイ・ユリスディ「・・・・・・」
ごく当たり前のように、
私たちは顔を寄せ唇を重ねた。
頭の奥が真っ白に染まるほどの多幸感。
同時に心に湧き上がる、
「明日をも知れぬ命」という言葉の重さ。
互いを失うまいと、私たちは
愛しい温もりにきつく腕を絡める。
ソウビ・アーヌルス(部屋に戻ったら、頑張って覚えよう・・・)
部屋に積み上げた魔導書を
私は思い出していた。
第二十二話 明日をも知れぬ ──終──
第二十三話に続く
これでもかーっ!!
ってラブラブですね💕
ザ・誠実!不安になりようがない😆
ちゃんとソウビとの恋愛3段階目のイベント起きましたね💕魔術のお勉強する上での、エネルギー補給満タン~😆
ハッピーーーエンドーーーー!
(まだ続きます!)