第二十一話 疑念(脚本)
〇城の回廊
◆あらすじ◆
ソウビは魔法の特訓を受けた。
ついにチヨミは軍を率いて
イクティオへ戻ることになった。
チヨミ・アルボル「これより我々は、 イクティオへと向かいます。 目的地は東の離宮。 本来私の居住地となる筈だった場所です」
チヨミ・アルボル「ここに入るにあたって、 それほどの抵抗はないでしょう。 まずはあの地を拠点とすべく進軍します」
チヨミ・アルボル「ですが、我々の動きに気づいた時、 王の側に何らかのリアクションが あるかもしれません。油断は禁物です」
チヨミ・アルボル「行きましょう、皆さん。 安心して暮らせる場所を取り戻すために!」
チヨミ・アルボル「・・・・・・」
ソウビ・アーヌルス(頑張ろうね、チヨミ)
ソウビ・アーヌルス(チヨミの好きな人を救うために)
ソウビ・アーヌルス(そしてラニを 傾国の役割から解放するために!)
〇黒
チヨミの言ったとおり、
東の離宮へは特に問題なく
入ることが出来た。
〇古い洋館
使用人たちは初め、
大勢の民を引き連れて入ってきた
私たちにぎょっとなっていた。
けれど、
チヨミやアルボル卿の姿を目にすると
受け入れてくれた。
〇王妃謁見の間
屋根のある場所で民を休ませ、
食事を振舞う。
人々の顔に
安心したような笑みが戻ったのを確認し、
私たちは割り当てられた部屋へと
引き上げた。
〇古い洋館
〇城壁
ソウビ・アーヌルス「ふぅ・・・」
今日は運よく、
ヒノタテからイクティオの東の離宮まで
移動しただけに終わった。
けれど、いつ襲撃されても
おかしくないという緊張が続いたため、
気疲れはかなりのものだった。
ソウビ・アーヌルス(あー、ゲームしたい)
ソウビ・アーヌルス(ゲーム機でもスマホでもいい。 ベッドに寝っ転がって ポチポチやりたい・・・)
ソウビ・アーヌルス(ゲームの夢を見ながら ゲームしたいって思うのも、 どうかと思うけど)
ふと城壁に触れ、
そのひやりと武骨な手触りに少し驚く。
ソウビ・アーヌルス(あ、ここ! よく見ればイベントで見た場所だ!)
チヨミ主人公でプレイしていた時に、
恋愛イベントの三段階目が
起きた場所だと記憶している。
ソウビ・アーヌルス(あぁああ、今すぐゲーム起動して、 思い出モードが見たい!)
ソウビ・アーヌルス(一日のご褒美に、 テンセイとの恋愛イベントを 全部まとめて見たい!)
ソウビ・アーヌルス(テンセイの告白台詞・・・)
〇華やかな広場
【テンセイ】
自分は貴女のことを愛しております。
【テンセイ】
初めて出会った
あの日より変わらず・・・
〇城壁
ソウビ・アーヌルス(ふふふ~。 何度も聞いたから、 脳内でボイス再生余裕~)
ソウビ・アーヌルス(・・・あれ?)
『GarnetDance』の主人公はチヨミで、
当然ながらテンセイの
この言葉を受け取ったのはチヨミだ。
ソウビ・アーヌルス(ちょっと待って? 『初めて出会った あの日より変わらず』・・・)
ソウビ・アーヌルス(『愛してます』ぅうう!?)
このセリフだと、
テンセイ加入イベントからずっと、
テンセイはチヨミのことを愛してた
と言うことになる。
ソウビ・アーヌルス(ちょっと待って、ちょっと待って!? 今のテンセイの気持ちはどうなの!?)
頭の奥がスゥッと冷えていく。
ソウビ・アーヌルス(いや、この夢を見始めてから何度も テンセイとは甘い雰囲気になったよね?)
ソウビ・アーヌルス(愛してる、みたいな言葉も聞いたよね?)
ソウビ・アーヌルス(あれ? でも、あれぇ・・・)
どんどんと不安が胸に迫ってくる。
ソウビ・アーヌルス(まさか今、 チヨミと恋愛イベント第三段階が 起きてたりしない?)
ソウビ・アーヌルス(ないよね? テンセイの様子を確認しに行こうかな?)
ソウビ・アーヌルス(でももし、チヨミと いい雰囲気になってるところを 目撃してしまったら・・・)
ソウビ・アーヌルス(このルートのチヨミは ヒナツとの和解に向かってる。 攻略対象はヒナツのはず)
ソウビ・アーヌルス(だけど、 私とラニが入れ替わってるだけで、 物語に大きな変更は起こってない・・・)
ソウビ・アーヌルス(やっぱり一番好意を抱いてる相手は チヨミのままって可能性も・・・)
胸に手を当て、何度も深呼吸する。
ソウビ・アーヌルス(テンセイに限って 二股なんてことはないだろうけど・・・)
ソウビ・アーヌルス(出会った時に既にチヨミに対して 愛情を抱いていたとしたら・・・)
涙がジワッと浮かんでくる。
ソウビ・アーヌルス(もうやだ。 怖くなってきたから部屋で休もう)
ソウビ・アーヌルス(布団かぶって眠ってしまおう・・・)
きびすを返し、
部屋へ引き上げようとした時だった。
テンセイ・ユリスディ「っと、ソウビ殿」
ソウビ・アーヌルス「テンセイ!?」
テンセイ・ユリスディ「敷地内を見回っておりましたら、 ソウビ殿がこちらにおられるのが 見えたので・・・」
テンセイ・ユリスディ「ソウビ殿?」
第二十一話 疑念 ──終──
第二十二話に続く
テンセイに疑念はないけど、チヨミと初めて会ったときにどう思ったか気になりますね!
テンセイ…堅物キャラの一途さ、信じてます!
お、おぉおぉ〜?
これはどうなんだろう〜と思いつつも
今のテンセイはソウビラブだと思う!