その女、シミーズ

山本律磨

僕とシュミーズと扇風機と(脚本)

その女、シミーズ

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〇田舎の空き地
  あ・ろんぐ・ろんぐ・たいむ・あ・ごー

〇田舎の空き地
けんた「ヘイ!こーた!」
こーた「いっくぞ!兄ちゃん!」
こーた「あ!」
けんた「バカッ!高く上げすぎ!」

〇空
「わーーーーーーーーっ!」

〇アパートの中庭
「すみませーん・・・」
けんた「すみませーん・・・」
けんた「・・・!」
清水美奈代「・・・」
けんた「・・・」
けんた「あ・・・」
けんた「・・・」
清水美奈代「・・・」
けんた「・・・」
けんた「す・・・すみませーん・・・すみませーん」
こーた「す、すみませーん!」
けんた「あ!」
清水美奈代「・・・?」
けんた「す・・・すみません!」
こーた「すみません!」
清水美奈代「・・・?」

〇古いアパートの居間
けんた「・・・」
こーた「兄ちゃん。母ちゃんが風呂入りって」
けんた「・・・」
こーた「ゴメン。変なとこボール蹴って」
けんた「・・・」
こーた「・・・」
こーた「ゴメンって言いよるやん!」
けんた「うるさいんじゃお前は!」
こーた「バーカ!」
けんた「何かっちゃお前!ころすぞ!」
オカン!「けんた!」
オカン!「弟にころすとか言いんな!」
けんた「うるさいんじゃババア!」
オカン!「母ちゃんにババアとか言いんな!」
オカン!「中学入った途端反抗期かいね・・・もう、やれんわ」

〇山間の田舎道
けんた「はあ。はあ。はあ」

〇田舎の公園
けんた「てっしー!みっちー!」
「けんた!こっちこっち。土管の中」

〇黒
てっしー「早う入れっちゃ」
みっちい「何ですぐ電話でんかったん?」
けんた「ババアの長電話が止まらんかったんじゃ」
けんた「どこで見つけたん?」
てっしー「高架下。よう長距離トラックが止まっちょる所」
みっちい「大漁大漁!」
けんた「は、早う出せ!」
てっしー「お、押すなっちゃ!」
てっしー「みっちー!詰めろ!」
みっちい「いたいいたいいたいいたい!」
けんた「しーっ!」
てっしー「ではまいります」
「よろしくおねがいします」
「・・・!!!」

〇田舎の公園
「わーーーーーーーーーーーーーーーーー!」

〇平屋の一戸建て
こーた「・・・」
こーた「兄ちゃん」
けんた「どけっちゃ」
こーた「どこ行っちょたん?」
けんた「どこでもええやろ」
けんた「いって」
けんた「何するんかっちゃ!」
こーた「学校終わったら一緒にサッカーするちゅったーや!」
オカン!「こら!いつまで遊びよるんか!」
オカン!「早う風呂入ってご飯食べて寝りィ!」

〇ゆるやかな坂道
けんた「~♪」
けんた「あ!渋谷先輩」
けんた「キマッてる~」

〇教室
けんた「あ!それ渋谷先輩と同じヤツじゃあや!」
てっしー「ええやろ」
けんた「ちょ、ちょっと!一瞬貸して!一瞬!」
てっしー「やめろっちゃ!自分で買えっちゃ!」
けんた「ブチック原のババア!全然仕入れんけえ、すぐ売り切れるんじゃ!」
てっしー「知らんわそんなん!」
みっちい「一瞬!一瞬!」
「お前は髪生やせ!」
はるか「ちょっと男子うるさい!」
はるか「あんたら昨日公園で何しよったん?」
けんた「あ~。ブスほど面倒くさいの~」
はるか「いい年してブランコですか~?」
けんた「うるせえ!ガキには関係ないんじゃ!」
はるか「ガキって言う方がガキなんです~!」
けんた「ガーキ!ガーキ!ブース!ブース!」
はるか「バーカ!バーカ!チービ!チービ!」

〇学校の校舎
こーた「・・・」
はるか「あ。こーた」
はるか「どーしたん?」
こーた「別に」
はるか「けんたならもう出て来るけ」
こーた「ふ、ふ~ん」
けんた「あ!」
けんた「なんかっちゃ」
こーた「一緒かえろ」
てっしー「お、けんちゃん。弟ちゃんとボール遊びですか~?」
けんた「そんなわけないやろ」
てっしー「よっ!」
てっしー「イエーイ!チ○コ頭復活~!」
けんた「やめろや!」
てっしー「お~こわ~」
けんた「お前ももう一人で遊べや!うざいんじゃ!」
こーた「・・・!」
けんた「・・・ってえな」
けんた「なんかっちゃ!ころすぞ!」
こーた「ばかああああああっ!」
「さいてー」
けんた「ふ、ふん!」

〇田舎の公園
けんた「・・・」
「おーい。けんたー」
「新入荷!新入荷!」
けんた「悪い。ちょっと用あるけ」

〇田舎の空き地
けんた「せーの!」

〇空

〇アパートの中庭
「すいませーん」
けんた「すいませーん」
けんた「あ!」
けんた「すいません。あの。えっと。ボール」
清水美奈代「そこ」
けんた「・・・すいません」
清水美奈代「・・・」
清水美奈代「面白いこと、教えてあげよっか」
けんた「え?」
清水美奈代「こうやって、扇風機に顔近づけて・・・」
清水美奈代「あーーーーーーーーー」
清水美奈代「あーーーーーーーーー」
清水美奈代「ね、声が震えるでしょ」
清水美奈代「あーーーーーーーーー」
清水美奈代「あーーーーーーーーー」
けんた「・・・」

〇古いアパートの居間
けんた「・・・」
  『ね、声が震えるでしょ』

〇幻想2
清水美奈代「風・・・一緒にあたる?」
清水美奈代「あーーーーーーーーー」
清水美奈代「あーーーーーーーーー」

〇古いアパートの居間
けんた「あーーーーーーーーー」
けんた「あーーーーーーーーー」
けんた「あーーーーーーーーー」
オカン!「うるさい!」
オカン!「扇風機なんかで遊んじょらんで、はよ風呂入り!」
けんた「い、いきなり入ってくんなやババア!」

〇二人部屋
こーた「・・・」
けんた「・・・」
けんた「お前・・・」
けんた「もう学校来んなや」

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コメント

  • 昭和時代を過ごしたすべての小中学生の原風景と言っても過言ではないストーリーや背景にしみじみしました。余計なナレーションがないのがまたいいですね。弟君の切ない気持ちなんかが、より一層伝わってきました。

  • ノスタルジーに浸れる物語ですね。空き地や公園、道路でも野球やサッカーがされていて、庭先へとボールが入り込むのも日常茶飯事でしたよね。エ□本の回し読みとか、パワフルなオカンとかも定番ですよね

  • 地元の方言を文字で読んだの久しぶりで癒されました。姉妹で似たり寄ったりの喧嘩口調で、それでも仲良かったの想いだしました。少年の淡い初恋も、昭和っぽくていいですね。

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