〇渋谷駅前
小石川楽哉「カレー、カレー、今夜はカレー♪」
小石川噴気「はあ～」
小石川哀史「はあ～」
小石川楽哉「フンフンフン～♪」
小石川噴気「楽哉はいっつもカレーだもんな、作るの」
小石川楽哉「でも今日は新メニューだよ～。ちくわぶカレー!!!」
小石川噴気「・・・やっぱりカレーか」
小石川楽哉「でもさ、おいしいと思うんだよね。ちくわぐを２㎝角ぐらいに切って、フライパンでカリカリに焼いてさ。それをカレーに後乗せ♪」
小石川楽哉「じゃがいもみたいな食感になるんだよね～、ちくわぶを焼くと」
小石川哀史「いいな、ラクはいつもなんか楽しそうで」
小石川噴気「てかじゃがいもみたいな食感なら、それはもうじゃがいもでいいんじゃね？」
小石川哀史「ん？あれは？」
課長「まったく最近の若いヤツときたら、なにからなにまでこっちが教えてやらなきゃなにもできんのだな！」
平社員「・・・申しわけありません」
課長「わかってるだろうね、キミ～。今回の取り引きがうまくいかなかったらキミ、責任を取って会社を辞めたまえ！」
平社員「そ、それだけは勘弁してください。家には妻も小さな子供がいるんです」
課長「そんなことは私の知ったこっちゃない」
課長「だいたいね、課長のこの私が独身だっていうのに、若いキミに奥さんや子供がいるって、それだけで生意気だろう！」
平社員「でも・・・それは・・・」
課長「とにかくね、この取り引きが成立しなかったら誰かが責任を取らなきゃならないんだ。キミは私がそれをすべきだとでも言うのかね？」
平社員「いえ、そこまでは。でもしかし・・・」
課長「これだからな～、最近の若いものは。なにかっていうと「でも、しかし」だ。デモもストライキも案山子もない！」
平社員「しかしながら、取引相手が気分を害したのは、課長のそのオヤジギャグが原因ですし・・・」
課長「とにかく、だ！上司のしでかしたミスの責任は、その部下が取るのは、あたりまえだのクラッカー！」
平社員「そ、そんな～」
小石川噴気「なんだ、ありゃ？」
小石川哀史「パワハラ・・・ってやつじゃないかな」
小石川噴気「仕方ないから、助けてやるか？」
小石川哀史「そうですね。あぁ、あの若い人！部下の方の中指には哀しみの黒い糸がしっかりと結びついている」
小石川噴気「ほどけそうか、哀史に？」
小石川哀史「まあ比較的簡単な絡まりですから大丈夫だと思います」
小石川哀史「オンキリキャラハラフタランソワカ～」
小石川噴気「よし、あとはあの上司の方の怒りの糸を断ち切れば・・・えっ？」
小石川哀史「どうしました？」
小石川噴気「・・・おかしいな。あの上司の人差指から伸びている白い糸は、今叱られている部下の指に繋がってないんだ」
小石川哀史「えっ？」
小石川楽哉「・・・怒ってないからだよ」
小石川噴気「あ？」
小石川楽哉「あのおじさん・・・。あいつは、部下に怒ってるんでも、叱っているのでもない！」
小石川楽哉「部下をいたぶることを、楽しんでいやがる！」
小石川楽哉「あのおじさんの薬指から伸びた楽しみの青い糸が、あの若い人の悲しみを司る中指にがんじがらめに絡みついてるんだ」
小石川哀史「楽しみの糸が、悲しみの指に・・・。 クロスコネクションか!!!」
小石川噴気「クロスコネクション・・・。噂には聞いたことがあるが、本当にあるとはな」
小石川哀史「発する側と、受ける側の感情が食い違うクロスコネクション・・・」
小石川噴気「つまりあの若いヒトが悲しくなればなるほど、上司のあのおじさんは楽しくなるってわけか！」
小石川楽哉「・・・許せない」
小石川哀史「ラク？」
小石川楽哉「楽しいってのはな、そんな歪んだ気持ちで持ってちゃいけない感情なんだ！」
小石川楽哉「楽しむんなら、死ぬ気で楽しめ！　それができないヤツが、半端な気持ちでヒトをいじめて楽しんでんじゃねぇーよ！」
小石川楽哉「深く思え、強く求めよ その指に青を宿し者よ 今、この瞬間に覚悟を示せ！ さもなくば海は濁り、空は曇り、」
小石川楽哉「人の魂は、青き炎を消し去るだろう！」
小石川楽哉「のうまくさんまんだばざらだんせんだまかろしゃだそわたやうんたらたかんまん！」
小石川楽哉「さあ、帰ってカレー、作ろう～っと♪」
　　楽哉にぃがダブルコネクションを解決した話は、その日の夕食の時に聞いた
　　いつもニコニコして楽しそうな楽哉にぃが、その込み入った呪文を唱えるときは、人が変わったかのような厳しい表情だったそうだ