いとしこいし

甘楽カラ

エピソード4(脚本)

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〇明るいリビング
小石川楽哉「カレー、カレー、カレーを作ろう♪」
「ただいま~。糸、大丈夫か?」
小石川糸「はあ・・・。はあ・・・」
小石川哀史「どうしたんだ?」
小石川喜一「能力を使ったとたん、具合が悪くなった。最近、こんなことが多いらしいんだ」
小石川噴気「糸・・・。お前の中指に・・・」
小石川哀史「中指? 悲しみの感情を司る中指?」
小石川噴気「ああ。本来青い糸が繋がっているその指に、怒りを表す白い糸が・・・見える」
小石川糸「えっ?」
小石川哀史「誰かの怒りが糸の悲しみを誘発している・・・クロスコネクション・・・か」
小石川噴気「どうやらそうらしい」
小石川哀史「でも糸だよ。糸が誰かの怒りを買うなんて、想像できないんだけど」
小石川噴気「おかしな話だよな」
小石川糸「・・・おかしくないよ」
小石川哀史「えっ?」
小石川糸「たぶんそういうことって・・・あるんだよ。自分では気づいてないけど、誰かを傷つけちゃう。誰かを怒らせちゃうってこと」
小石川哀史「憤怒にぃ、その相手って誰なんだよ。糸に対して怒りの感情を抱いてるってヤツは!」
小石川噴気「・・・・・・」
小石川哀史「?」
小石川噴気「相手が・・・相手が、見えない!」
小石川噴気「ごめん、糸。煙幕のようなものが立ち込めていて、白色の糸の先が、まったく見えないんだ」
小石川哀史「もしかして・・・コンシーラー?」
小石川噴気「どうやらそういうことらしい」
小石川哀史「ということは・・・。糸を憎んでいる相手は、オレたちと同じ・・・糸師?」
小石川噴気「そうとも・・・言い切れない」
小石川哀史「なぜ?」
小石川噴気「オレたちが普通に使っているコンシーラーとは別ものなんだ。これが普通のコンシーラーであれば、簡単に吹き飛ばせるのだが」
小石川哀史「相手は誰だかわからなくてもその怒りの糸、断ち切ることはできるんだろう?」
小石川噴気「ああ。おそらく一時しのぎにしかならないだろうが、切れることは切れると思う」
小石川噴気「八つ手の白い花が消ゆ きりきりともみ込むように 人にいやがられるように しみとおれ、オレに来い 刃物のような怒りの思い」
小石川噴気「六根清浄! 急! 急! 如! 律! 礼!」
小石川糸「ありがとう・・・。ちょっと楽になった」
小石川哀史「たぶん・・・。その誰かの激しい怒りの感情が、糸の体力や気力を奪っていたんだな」
小石川噴気「だがこれはさっきも言ったが一時しのぎにしか過ぎない。とりあえず糸、今は休め」
小石川糸「うん・・・。ちょっと横になってくる」
小石川噴気「喜一にぃ!」
小石川喜一「・・・親父に連絡、してみるか」
  小石川家の連絡方法は、糸電話である
小石川喜一「もしもし、親父?」
  「ハロー、ハロー。こちら親父! みんな元気か~い?」
小石川哀史「相変わらず能天気でいいな、親父は。今、どこ?」
  「西は大西洋、北は地中海。モロッコで~す。月の砂漠を~~~は~るばると~♪」
小石川哀史「はいはい、サハラ砂漠ね」
  「そうで~す」
小石川喜一「親父に聞きたいことがあるんだ。糸師の能力を使ったとたん、糸の具合が悪くなった」
小石川噴気「しかも誰かの怒りを買っているようだけど、肝心のその相手が誰だかわからない」
  「コンシーラーか?」
小石川噴気「そうなんだけど、オレらが普段使っているコンシーラーとはちがう」
  「そうか・・・。ところで糸は今年、いくつになる?」
小石川哀史「はあ? 自分の娘の年齢も覚えてない?」
  「まあ、そう言うな」
小石川喜一「14才。もうすぐ15になる」
  「15か・・・。もうそんなになるのか」
小石川噴気「15になると、なにかマズいことでもあるのか?」
  「お前達、男兄弟は喜怒哀楽の感情を操る糸師だけで済むが、運命の赤い糸を司る糸は、もう一つ・・・」
小石川哀史「もう一つ?」
  「糸師と同時に、恋師の役目を担うことになる。その資格が生じるのが、15才だ」
小石川喜一「恋師? 小指の赤い糸を結んだり、切ったりして、恋愛の成就に関わるこれまでとは ちがうのか?」
  「いや、やることは同じだ。ただし恋師となれるのは、この世界にたった一人!」
  「恋師の座を他者に奪われた者は、糸師としての能力も失う。ただの15才の少女になり、その後は普通の女性として生きるのだ」
小石川哀史「・・・能力を失う」
小石川喜一「そんなこと・・・今まで一度も考えなかったが」
小石川噴気「しかし考えようによっては・・・能力を失うことは糸にとって必ずしも不幸ではないのかも」
小石川喜一「憤怒! それを決めるのは糸本人だろう。オレたちがとやかく決めることじゃない」
小石川哀史「とにかく糸は、その恋師の座を狙う糸師の怒りの感情を受けて、弱っている、そういうことなのか?」
  「いや、現在、糸師として残存しているのは、我が小石川家だけだ。糸のライバルはおそらく・・・」
  「・・・祈り紙の一派だろう」
小石川喜一「オリ・・・ガミ・・・?」
  「いや、祈るという漢字に紙と書いて、イノリガミ。読んで字のごとし、紙を折ることで祈りを叶える術使いだ」
小石川噴気「イノリガミ」
  「まあ、ぶっちゃけて言うとな、糸師と祈り紙は、元々仲が悪かったんだ。お前たちの母さんが祈り紙を打ち破って以来・・・」
  「仲たがいは決定的なものとなった。母さんが亡くなって十年。恋師の座は不在となっていたのだが、糸の体に差し障りが
  出てきたということは、祈り紙の方に、恋師となりうる資格者がようやく育った、そういうことなのだろうな」
  親友の恭子が、祈り紙であることをこの時の私はまだ、知らずにいた・・・

次のエピソード:エピソード5

コメント

  • 親友との対決?!
    女VS女が一番厄介で怖いのは、女である私達にも分かりますよねー(笑)
    ハラハラドキドキ、続きが気になります。

  • 糸ちゃん心配〜怒りの糸が⋯え〜親友の恭子ちゃんが!びっくりです😱
    わ〜どうなるんだろう!次回も楽しみです。
    糸だけに糸電話(爆)
    みんなのパパ、明るくて好きだなぁ♪
    兄弟みんなイケメンだから、パパはイケオジと見ましたっ( *´艸`)

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