寵姫は正妃の庇護を求む

香久乃このみ

第十七話 ジェラシー(脚本)

寵姫は正妃の庇護を求む

香久乃このみ

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〇大樹の下
  ◆あらすじ◆
  タイサイの恋を応援しようとした
  ソウビだったが
  何かと知りすぎていることを
  怪しまれる結果に
タイサイ・アルボル「なんであの男の心が 姉さんに戻らないとか お前が知ってるんだ!」
ソウビ・アーヌルス(あ、しまった)
タイサイ・アルボル「事情を追求しないって話だったけど、 やっぱお前は怪しいぜ! お前は何をどこまで知ってるんだ!」
ソウビ・アーヌルス「えーと・・・、 今はとりあえず、私はタイサイの 恋の応援団ってことで・・・」
ソウビ・アーヌルス「じゃ、私はこの辺で失礼して・・・」
タイサイ・アルボル「逃げんな!」
ソウビ・アーヌルス「ぴや!?」
ソウビ・アーヌルス(ぎゃあ! 手首がっちりロックされた!!)
タイサイ・アルボル「姉さんの側に怪しい人間を 置いておくわけにはいかない! 姉さんの身は俺がこの手で守る!!」
ソウビ・アーヌルス(その熱いソウルは、私でなく チヨミに直接ぶつけてくれよぉおお!!)
テンセイ・ユリスディ「手を離せ、タイサイ」
ソウビ・アーヌルス「テンセイ!」
タイサイ・アルボル「テンセイ、団長・・・」
テンセイ・ユリスディ「もう団長ではない」
テンセイ・ユリスディ「タイサイ、その人は俺の大切な人だ。 彼女がお前を怒らせたのであれば 俺も共に責任を取ろう」
タイサイ・アルボル「・・・そんなんじゃ、ないですよ」
タイサイ・アルボル「クソッ!」
テンセイ・ユリスディ「大丈夫ですか、ソウビ殿」
ソウビ・アーヌルス「う、うん・・・」
ソウビ・アーヌルス(『俺の大切な人』・・・)
ソウビ・アーヌルス(あぁあ、ここに 録音する機械がないのが悔しい! 今のセリフ繰り返し聞きたい!)
ソウビ・アーヌルス(『俺の大切な人』、 ふふ、 『俺の大切な人』~♪)
テンセイ・ユリスディ「・・・・・・。 あの」
ソウビ・アーヌルス「はい?」
テンセイ・ユリスディ「先ほどはタイサイと二人で、 一体何の話をされていたのですか?」
ソウビ・アーヌルス「へっ?」
テンセイ・ユリスディ「その、随分 距離が近いように見えましたので」
ソウビ・アーヌルス「あぁ、えぇと・・・、 タイサイの悩み相談を受けてたから。 周りに声が聞こえないように、ね」
テンセイ・ユリスディ「タイサイの悩み? どういったものでしょうか」
ソウビ・アーヌルス「内緒かな。 こういうの、他人にペラペラ 話すものじゃないでしょ?」
テンセイ・ユリスディ「そう、ですが・・・」
ソウビ・アーヌルス(テンセイ? なんか不機嫌?)
テンセイ・ユリスディ「差し出がましいようですが、 よろしいでしょうか」
ソウビ・アーヌルス「ぅえ? はい、なんでしょう?」
テンセイ・ユリスディ「次にそう言ったことがあれば、 ご自身で解決なさろうと思わず 自分に声をおかけください」
テンセイ・ユリスディ「自分はタイサイの 上司のようなものですから。 悩み相談であれば、自分が承ります」
ソウビ・アーヌルス「や、そんな大げさなものじゃないし」
テンセイ・ユリスディ「ソウビ殿は分かっておられない。 自らのために親身になってくれる女性に、男は容易く恋をしてしまいます」
テンセイ・ユリスディ「ましてやそれが、ソウビ殿のように 魅力的な女性であればなおのこと」
テンセイ・ユリスディ「ですので、不用意に 誰かの心の内に触れるようなことを してはななりません」
ソウビ・アーヌルス「・・・・・・」
ソウビ・アーヌルス「つかぬことをお聞きしますが」
テンセイ・ユリスディ「はい」
ソウビ・アーヌルス「ヤキモチを妬いて、おられる?」
テンセイ・ユリスディ「はい」
テンセイ・ユリスディ「あなたとタイサイが 二人きりで話をしていたのを見て、 自分の心は千々に乱れております」
テンセイ・ユリスディ「無様な姿をさらしていることは、 承知の上。 ですがはっきり申し上げます」
テンセイ・ユリスディ「今の自分は嫉妬に狂い、 少々冷静さを失っております」
ソウビ・アーヌルス(えっ、えっ・・・)
ソウビ・アーヌルス(えぇええ~っ!! ちょっと待ってちょっと待って!!)
ソウビ・アーヌルス(可愛い!! なんだこの可愛い生き物!! テンセイちょっと待って!!)
ソウビ・アーヌルス(こんなテンセイ初めて見るよ!! ゲームでは 心が結ばれてハッピーエンドだもん!)
ソウビ・アーヌルス(勝手に顔が笑ってしまう! ニヤニヤしてしまう! 心臓がやばいやばい!!)
テンセイ・ユリスディ「ソウビ殿、 なぜ顔をそむけるのです?」
ソウビ・アーヌルス「待って! 今、とても人に見せられない顔に なってるから!」
テンセイ・ユリスディ「見せてください」
ソウビ・アーヌルス(ぎゃああああ!!)
テンセイ・ユリスディ「・・・なぜ、笑っておられるのです? 自分の今の姿は、 それほどまでに滑稽でしょうか?」
ソウビ・アーヌルス「違う違う! だからぁ・・・」
ソウビ・アーヌルス「テンセイが可愛すぎるのっ!」
テンセイ・ユリスディ「は?」
ソウビ・アーヌルス「もう本当に勘弁して、可愛いが過ぎる。 尊み・・・ほわ、召されてしまう・・・ 無理、しゅきぃ・・・」
テンセイ・ユリスディ「・・・・・・ よく、わからないのですが」
テンセイ・ユリスディ「今の言葉、ソウビ殿が自分に 好意を示してくださったと 解釈してよろしいのでしょうか?」
ソウビ・アーヌルス「あったりまえでしょう! それ以外の何だって言うんですか!!」
テンセイ・ユリスディ「・・・・・・」
テンセイ・ユリスディ「ふっ・・・、ははは・・・」
テンセイ・ユリスディ「本当に貴女と言う人は、 くっ、ふふ、はははは!」
ソウビ・アーヌルス(大笑い!?)
テンセイ・ユリスディ「いや、失敬」
テンセイ・ユリスディ「ソウビ殿、こちらの中庭は ごらんになりましたか? 身を休められる東屋がございます」
テンセイ・ユリスディ「よろしければ自分と共に、 そこまで散歩をいたしませんか?」
ソウビ・アーヌルス「うん」
テンセイ・ユリスディ「では、お手を」
ソウビ・アーヌルス「うんっ」

〇立派な洋館

〇空
  その知らせが入ったのは
  私たちがヒノタテに来てから
  一週間ほど経った頃だった。

〇城の会議室
チヨミ・アルボル「父が、国外追放に財産没収・・・!?」
メルク・ポース「うん、 イクティオ国にいる部下からの連絡でね。 王に苦言を呈して怒らせたみたいだよ」
タイサイ・アルボル「あの、クソ使用人・・・! 父さんがあの男を取り立ててやらなきゃ 王になんてなれなかったんだぞ!!」
タイサイ・アルボル「しかも父さんは、あの男にとって 義理の父親でもある! なのにどこまで無礼な・・・!」
チヨミ・アルボル「詳しいことはわかる?」
メルク・ポース「今のところは、まだ。 けれど、イクティオの民は アルボル卿を支持している」
ソウビ・アーヌルス「・・・・・・」
ソウビ・アーヌルス(アルボル卿の追放とくれば、 原因は多分あれだ)
ソウビ・アーヌルス(原作では、神聖な儀式にのみ使われる 特別なドラゴンミルクを、 ヒナツは連日献上をさせていた)
ソウビ・アーヌルス(ソウビの美肌、入浴のために・・・)
ソウビ・アーヌルス(ドラゴンミルクは 生きたドラゴンの首筋から取れるもの。 手に入れるにはかなりの危険が伴う)
ソウビ・アーヌルス(それこそ、命がけで・・・)
ソウビ・アーヌルス(兵や民は毎日派遣された。 ドラゴンの元へ、ソウビの入浴用の ミルクを手に入れるため)
ソウビ・アーヌルス(本来なら、そこに兵を派遣するのは 年に一度のことなのに・・・)
ソウビ・アーヌルス(今回もやっぱりそれなのかな。 ラニがドラゴンミルクを入浴に使ってる?)
ソウビ・アーヌルス(でもあの子はまだ13歳・・・、 いや、おしゃれに目覚めても 何の不思議もない年齢か)
ソウビ・アーヌルス(けど、 そんな特別ミルクで肌を磨かなくても、 つるっつるのすべっすべでしょうが!!)
メルク・ポース「・・・・・・」
  第十七話 ジェラシー ──終──
  
  第十八話へ続く

次のエピソード:第十八話 変わらない流れ

コメント

  • テン、セイ、様ッ!!(ベッドの上で悶えながら)

  • 嫉妬イベントでド直球に返答するテンセイ流石です!w
    生真面目キャラの面目躍如ですね😆
    そしてイチャラブイベントの後の重々しさがハンパないです。ラニ~😢

  • タイサイ、いいキャラですね😊
    テンセイ推しだけど、タイサイもかわいいw
    ところで、タイサイとチヨミは義姉弟なんですか??

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