第十六話 知るがゆえに(脚本)
〇大樹の下
◆あらすじ◆
ヒノタテ国に身を寄せることにした一行。
ソウビは庭園で何かに気づく
ソウビ・アーヌルス「あっ、あれは・・・」
チヨミ・アルボル「メルク、どうして私に こんなに良くしてくれるの?」
メルク・ポース「愚問だね」
メルク・ポース「昨日言ったろ? チヨミちゃんに恩を返しに来たって」
チヨミ・アルボル「メルク・・・」
メルク・ポース「君たちは予定を変更して隣国へ ちょっとしたバカンスに出かけた。 ただそれだけのことさ」
メルク・ポース「王宮にはそう連絡しておいたから 心配いらないよ」
チヨミ・アルボル「いつの間に・・・」
メルク・ポース「それに、 国境を越えて刃傷沙汰を起こせば 国同士の問題になる」
メルク・ポース「奴らはそう簡単に手出しできないはずだ」
メルク・ポース「ま、ここでしばらく休んで行きなよ。 色々大変だったんだろ? いつまでいたってかまわないからさ」
チヨミ・アルボル「ありがとう、メルク。 それにしても、ふふっ」
メルク・ポース「なに? 急に笑って」
チヨミ・アルボル「あなたが牢に囚われていた いきさつを思い出したの」
チヨミ・アルボル「お忍びでイクティオ国に来てたら、 フリャーカの反乱が始まって ごたごたの中で投獄されたなんて」
メルク・ポース「笑い事じゃないよ。 その後、新しく王が立ったのに 一向に開放されないしさ」
チヨミ・アルボル「身分を証明するものを忘れてくるからよ。 お忍びだからって、 ちょっと羽目を外しすぎたんじゃない?」
メルク・ポース「君が僕の顔を知っててくれて助かったよ。 それに牢にいた僕を見つけてくれて」
チヨミ・アルボル「証明するものがなかったから、 こっそり逃がすしかなかったけどね。 あなたの顔、 なぜか知られてないんだもの」
チヨミ・アルボル「それにしても、王子が姿を消したってのに ヒノタテで全く騒ぎになってなかったの どういうことなの?」
メルク・ポース「・・・・・・」
メルク・ポース「まぁ、いろいろ事情があるのさ」
ソウビ・アーヌルス(あぁー、それはね! メルクがヒノタテ王室における 庶子だからだよ!)
ソウビ・アーヌルス(第三王子でありながら 出来が良くて人望を集めるメルクを 正妃が目の敵にして排斥しようとしたの!)
ソウビ・アーヌルス(だから、メルクは こうして離宮にこもり、 顔も公の場に出さないようになったんだ!)
ソウビ・アーヌルス(いなくなったらいなくなったで、 好都合としか思われてなかったんだよ!)
ソウビ・アーヌルス(語りたい! 語りたいけど、また余計なこと言って 怪しまれるのはいやだ!)
タイサイ・アルボル「くっそ、あの野郎・・・! 姉さんに馴れ馴れしい・・・!」
タイサイ・アルボル「姉さんも姉さんだ! 昔から警戒心が足らなさすぎるんだよ!」
タイサイ・アルボル「これだから 俺が側についててやらなきゃ危な・・・」
ソウビ・アーヌルス「・・・・・・」
タイサイ・アルボル「・・・・・・」
タイサイ・アルボル「なんでいる!?」
ソウビ・アーヌルス「やー、青春だねぇ」
タイサイ・アルボル「はぁ!? なにが!!」
ソウビ・アーヌルス「いや、やればいいじゃん?」
ソウビ・アーヌルス「あの2人の間にドーンと突っ込んで行って 『姉さんには警戒心が足りない!』って タイサイが叫ぶの、すんごく見たい」
タイサイ・アルボル「やんねぇよ!!」
ソウビ・アーヌルス「あのさ、そうやって ギリギリ歯ぎしりしてるだけじゃ ストレートに言葉伝えてくる人に 負けるよ?」
ソウビ・アーヌルス「てかさ、 最初から素直に告白しておけば、 ヒナツに取られることも なかったんじゃない?」
タイサイ・アルボル「・・・っ。 勝手なこと言いやがって・・・」
ソウビ・アーヌルス(おっと・・・)
タイサイ・アルボル「姉さんはさ、本気で あの使用人のこと好きだったんだよ」
タイサイ・アルボル「姉さんが盗賊に襲われていたのを、 ヒナツはナイフたった一本で、 血だらけになりながら助けたんだ!」
タイサイ・アルボル「あの時の光景は今でも忘れられない。 月明かりの下、自分が傷つくもの構わず 真っすぐに姉さんを助けに行った姿」
タイサイ・アルボル「獣のように荒々しくて、強くて・・・。 震えて見ていることしかできなった 俺とは大違いだった・・・」
タイサイ・アルボル「俺に、割って入る隙間なんて なかったんだよ!」
ソウビ・アーヌルス(そうだね、私もその話は知ってる)
〇けもの道
リリース前からテンセイしか
目に入ってなかった私にとって、
ヒナツとのエピソードは
あまり重要じゃなくて。
ヒナツとの夫婦パート早く終われ、
とっとと追放されて攻略キャラの所へ
行かせろ、って思ってたけど。
序盤で見た、
過去のヒナツのあのスチルは、
しっかり目に焼き付いてる。
まだ12歳の華奢な少年が、
血まみれ傷だらけで月光の下、
主人公をふり返っていた
まるで狼の子のように獰猛で、
眼光が鋭くて、
赤い髪が燃えるようで美しかった。
あんな少年に命を救ってもらえたんだ、
少女のチヨミが恋に落ちたのも
無理はない。
(だけど・・・)
〇大樹の下
ソウビ・アーヌルス「ごめん、無神経なこと言って」
ソウビ・アーヌルス「でもさ、今は状況が違うよ。 その初恋の人に裏切られて、 チヨミの心にはぽっかりと穴が開いてる」
タイサイ・アルボル「だから? そこにつけ込めって? 俺はそこまで卑怯者じゃねぇ!」
ソウビ・アーヌルス「ヒナツの心はもう、 チヨミに戻ってこないよ。 酷なことを言うけど」
ソウビ・アーヌルス「すぐにチヨミと恋仲になれとは言わない」
ソウビ・アーヌルス「でも、誰かが側で支えてあげなきゃ チヨミは傷だらけの心のまま 一人で立ち続けなきゃいけなくなる」
ソウビ・アーヌルス「そんなチヨミを支えられるのは、 あのメルク王子、ユーヅツ、 そしてタイサイ、あなたなんだ」
タイサイ・アルボル「・・・・・・」
ソウビ・アーヌルス(ごめん、 本当はここにテンセイも入るけど 言いたくない)
ソウビ・アーヌルス(あと、 メルク王子含めた4キャラ攻略後に 実はヒナツ和解ルート解放されます)
タイサイ・アルボル「・・・俺が」
ソウビ・アーヌルス「もちろん、タイサイが その役を別の男に譲りたいなら 止めないけど」
タイサイ・アルボル「っ! 譲りたいわけないだろ!!」
タイサイ・アルボル「姉さんは俺にとって、 かけがえのない人なんだ・・・」
ソウビ・アーヌルス(おー、義弟、甘ずっぺぇ)
タイサイ・アルボル「だけどな」
タイサイ・アルボル「なんで あの男の心が姉さんに戻らないとか お前が知ってるんだ」
ソウビ・アーヌルス(あ、しまった)
第十六話 知るがゆえに ──終──
第十七話へ続く
えっ、そんな少年時代見せられたら憎めなくなっちゃうじゃないですかwww
俄然和解ルートが気になってきましたw
ヒナツ和解ルートあるんですかwww
いや、でも私は絶対騙されないぞ…!w
タイサイ、甘酸っぱいですね😆💕
コンプレックスと恋との間でもがくツンデレ青年、善きかな善きかな~です。
そして、あ…またやっちまった感の一周目プレイ済みガネダンプレイヤーw