10眠:その12年の間に...(脚本)
〇綺麗なリビング
トン、トン...。
トン、トン...。
レドイ「あ、ネフがいるー!」
ネフテ「な、なによ!」
ネフテ「いちゃわるいっていうの!?」
ネフテ「それならもうもど...」
レドイ「ハウスー! わたしもお茶するー!」
ネフテ「あんたねぇ...」
ネフテ「すこしは私の話を聞きな」
ハウス「はーい! レドイちゃん、ちょうど良かったわ!!」
ハウス「今日は、ハウスの特製ミラクルピカピカブレンドティーよ!!」
ネフテ「あんたの頭の中も、まったくピカピカだわ。」
レドイ「ゴクゴク...。 ゴクゴク...。」
レドイ「はぁー。 やっと朝よりからだが楽になったー。」
ハウス「そうね。 以前より体の治りが早くなっているわ。」
ハウス「この分なら、明日にはお出かけできそうかしらね。」
ネフテ「思ったよりは早かったわ。」
ネフテ「ま、及第点ってとこかしらね。」
ハウス「ネフテちゃん...」
ハウス「...。」
ハウス「...。」
レドイ「ハウス、かおこわいよ。」
ハウス「ご、ごめんなさいね! レドイちゃん!!」
ハウス「つい、ネフテちゃんには、その...」
ハウス「あの...」
レドイ「...。」
ハウス「...。」
ハウス「そうね。」
ハウス「そうよね。」
ハウス「私が怒っていると、悲しくなってしまうわよね。」
ハウス「ごめんなさい、レドイちゃん。」
ハウス「ハウスはもう怒らないわ。」
レドイ「うん。なかよくね。」
ネフテ「良いことを聞いたわよ~」
ネフテ「ハウスが怒らないのなら、もう怖いものナシね。」
ハウス「怒らなくても、怖いことはできるけれど...」
ハウス「それはまた今度話しましょう、ネフテちゃん。」
ネフテ「ほ、ほんのジョークよ!」
ネフテ「油断も隙もありゃしないわ。」
ネフテ「そんなことより、大丈夫なの?」
ネフテ「そんな約束して。」
ネフテ「私がまた何か、やらかすかもしれないわよ。」
ハウス「...。」
ハウス「レドイちゃんの前で、こんな事を言うのは、心苦しいのだけれど...」
ハウス「人間を守る、という順位は低いの。」
ハウス「どうしてかしらね...」
ハウス「ま、そういうことで、ネフテちゃんからレドイちゃんを守ることより、」
ハウス「レドイちゃんを悲しませない方が優先されるわ。」
ネフテ「ハウス、前から気になっていたのだけれど...」
ネフテ「『優先順位』というプログラムは、この世界全てのロボットが持っているのよね?」
ハウス「えぇ、そうよ。」
ネフテ「...。」
ネフテ「私の補助プログラムの映像を見るかぎり、優先順位を持つロボットは、おそらくいない。」
ネフテ「これが意味することは...」
ネフテ「たった12年の間に、優先順位を持たない、私のようなロボットが、全ていなくなったことになる。」
ネフテ「これは大問題よ。 その12年に一体何があったのか...。」
ネフテ「優先順位を持たないロボットは、なぜいなくなったのか...。」
ハウス「私が造られたのが、2310年。 ネフテちゃんの補助プログラムのデータが、2298年。 その間が12年ってことね。」
ハウス「たったの12年間で、ロボットの基盤が変わる大きな変化は、この3000年の間にないわ。」
ハウス「ということは、余程の事があったのよね...。」
ネフテ「明日からは、ただの散策ではなく、目的を持った探索ができそうよ。」
ネフテ「助かったわ、ハウス。」
ハウス「私にできる事であれば喜んで力になるわ。」
ネフテ「じゃあ、明日からはしっかり頼むわよ...」
ネフテ「って、レド!?」
ネフテ「あんたまた寝てんじゃないわよ!!」
ネフテ「明日からはめちゃめちゃに振り回してやるんだからーー!!!」