寵姫は正妃の庇護を求む

香久乃このみ

第十二話 追放(脚本)

寵姫は正妃の庇護を求む

香久乃このみ

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〇華やかな広場
  ◆あらすじ◆
  ソウビの妹ラニは
  ヒナツに自分を側室にするよう求め
  ヒナツはそれを受け入れる
ラニ・アーヌルス「うふふ、ヒナツ様。 こっちこっち!」
ラニ・アーヌルス「こちらにございますのよ。 ヒナツ様のように力強く美しいお花が!」
ヒナツ・プロスペロ「ははは、わかったわかったそう急くな」
ヒナツ・プロスペロ「花の中を軽やかに駆け回るお前は、 まるで妖精のようだな。 ソウビ」
ラニ・アーヌルス「え・・・。 ソウビお姉さま?」
ヒナツ・プロスペロ「ッと、間違えた」
ヒナツ・プロスペロ「ラニだ、ラニ。 わははははは」
ラニ・アーヌルス「・・・・・・」
ラニ・アーヌルス「ヒナツ様ひどいですわ。 私をお姉さまと呼び間違えるなんて」
ヒナツ・プロスペロ「怒るな、うっかりだ。 これまであれの名を呼ぶことが 多かったからクセになっているだけだ」
ラニ・アーヌルス「それでもいや!」
ラニ・アーヌルス「ヒナツ様のお心にはまだ お姉さまの面影が残っているのかと 不安になってしまいます」
ラニ・アーヌルス「だって私はまだ幼くて、ヒナツ様の 恋のお相手としては不十分です。 わかっていますのよ?」
ラニ・アーヌルス「私が大人になるまでに、 ヒナツ様がまたお姉さまに心変わりされて しまったらと思うだけで、うっ・・・」
ヒナツ・プロスペロ「すまなかった、ラニ。 そんな悲しい顔で泣くな。 あれのことはもう、何とも思っておらん」
ラニ・アーヌルス「本当に?」
ヒナツ・プロスペロ「あぁ、もちろんだ。 どうすれば証を立てられる?」
ラニ・アーヌルス「・・・そうですわね」

〇西洋の城

〇謁見の間
チヨミ・アルボル「私とソウビに、この城から出て行けと!?」
ソウビ・アーヌルス「・・・!」
ヒナツ・プロスペロ「あぁ、そうだ。 可愛いラニのたっての願いでな」
ヒナツ・プロスペロ「俺に、目移りしてほしくないんだと。 自分以外の女を見るなとは、クク、 幼さに似合わぬ激情の持ち主よな」
ソウビ・アーヌルス(ラニ・・・)
ヒナツ・プロスペロ「別に処刑というわけじゃない。 東の離宮に移れ。 生活には不自由しないはずだ」
チヨミ・アルボル「ヒナツ、あなたは・・・!」
ヒナツ・プロスペロ「ほら、それだ。 また王である俺に意見しようとする」
チヨミ・アルボル「・・・っ」
ヒナツ・プロスペロ「ラニが言うのだ。 今のままでは臣下も俺を侮ると」
ヒナツ・プロスペロ「女の尻に敷かれている王であっては ならないと、な」
ヒナツ・プロスペロ「まぁ、そういうわけだ。 荷がまとまり次第、離宮に移れ。 従者も好きに連れて行っていいぞ」
チヨミ・アルボル「・・・っ ヒナツのばかっ!!」
ヒナツ・プロスペロ「・・・ふん」
ソウビ・アーヌルス「・・・・・・」
ヒナツ・プロスペロ「何をモタモタしている。 お前もさっさと出ていけ」
ソウビ・アーヌルス「・・・ラニの側にいちゃダメかな?」
ヒナツ・プロスペロ「はぁ?」
ソウビ・アーヌルス「妹が心配だから、 ここに置いてほしい、というのは・・・」
ヒナツ・プロスペロ「そのラニが言ったのだ。 誰よりもソウビ、 お前にこの城から消えてほしいと」
ソウビ・アーヌルス(私の至らなさが、 幼いラニにあんな決断をさせてしまった。 せめて側で守れたらと思ったのに・・・)

〇空

〇貴族の部屋
ソウビ・アーヌルス(はぁ・・・ とりつくしまもなかったな・・・)
ソウビ・アーヌルス(ラニ、どうすれば・・・)
使用人「失礼いたします、ソウビ様。 離宮にお持ちするのは こちらにあるものでよろしいでしょうか」
ソウビ・アーヌルス(追い出し作業が速やかすぎる!)
ソウビ・アーヌルス「あぁ、うん。 身の回りのもの一通りあればいいかな」
使用人「かしこまりました」
ソウビ・アーヌルス「・・・・・・」
ソウビ・アーヌルス(なんか、だんだん腹立ってきたな)
ソウビ・アーヌルス(いや、よく考えたらさ、 私別に悪くないよね!?)
ソウビ・アーヌルス(そもそもだよ? ラニは『GarnetDance』では悪役の妹で ボイスすらついてない脇役だったんだよ?)
ソウビ・アーヌルス(ラニへの気遣いが疎かだったのは認める! でも妹って感覚が薄かったんだから 仕方なくない!?)
ソウビ・アーヌルス(幼い少女にあんな決断させたことには 罪悪感あるよ?)
ソウビ・アーヌルス(彼女がこの世界で生身の肉体を持ち、 死に怯えていたことも可哀相とは思う)
ソウビ・アーヌルス(でもだからって私が我慢すべきだった?)
ソウビ・アーヌルス(前王の女と繋がり持ちたいってのは ヒナツの勝手な言い分だし、 私にはそれを拒絶する権利があるはず!)
ソウビ・アーヌルス「ムカつくなぁ~! 我慢して受け入れれば傾国になって殺害、 抵抗すれば妹を見捨てた薄情な姉!」
ソウビ・アーヌルス「ヒナツがしょーもないこと しなきゃいいだけの話じゃ ないのかなぁ!?」
ソウビ・アーヌルス「ヒナツ×ラニとか原作になかったよ!? こんなの表に出たら薄い本の餌食だよ! コンプライアンス!!」
ソウビ・アーヌルス「てか、これ夢なんだよね!? いつ終わるの!? まだ見続けなきゃいけないの!?」
ソウビ・アーヌルス「ガネダンの夢だってなら、 延々とテンセイといちゃラブさせろー! めんどい歴史パートいらーん!!」
ソウビ・アーヌルス「テンセイにトロットロに甘やかされる えっちな夢、おなしゃーっす!!」
テンセイ・ユリスディ「・・・あの」
ソウビ・アーヌルス「・・・・・・」
ソウビ・アーヌルス「おばああああああああ!!」
テンセイ・ユリスディ「あ・・・、その・・・」
ソウビ・アーヌルス「い、いつからそこに!? どこから聞いてた!?」
テンセイ・ユリスディ「あぁ、えぇと・・・ ウスイホンとかコンプなんとかと おっしゃっていた辺りから・・・」
ソウビ・アーヌルス「殺して!! 殺してぇえええ!!」
テンセイ・ユリスディ「お、落ち着いてください、ソウビ殿! 自分以外、聞いていませんから!」
ソウビ・アーヌルス「テンセイにだけは聞かれたくなかった!! うわぁあああ~っ!!」
テンセイ・ユリスディ「では、タイサイならよろしかったと?」
ソウビ・アーヌルス「ダメに決まってる!! うわぁああ、殺してーー!!」
テンセイ・ユリスディ「ソウビ殿!! バルコニーに駆け寄って、何を!?」
テンセイ・ユリスディ「いけません! 身投げはいけません!!」
  第十二話 追放 ──終──
  
  第十三話へ続く

次のエピソード:第十三話 もう一度あなたと

コメント

  • 妄想がダダ漏れにっ……!!
    ((((;゚Д゚))))ガクガクブルブル
    これが乙女ゲー……

  • ラニ…😢
    純粋で怖がりで幼いだけに、どんどん傾国の道へ。何とかできないの…と胃が痛くなりそうな雰囲気だったのに、突然のラブコメに吹きましたw

  • ぎゃああああーーーーっっ!!!
    しぬ、これはしぬーーーーっっ!!!
    たーすーけーてーーー!!!😂😂😂😂😂

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