我はサブカル魔王、ラノベ勇者を滅する者なり

篠也マシン

OVA 夏だ、海だ、水着回だ(脚本)

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〇上官の部屋
魔王シン「博士か」
魔王シン「先日マナにやられた傷は癒えたか?」
クマシロ博士「もうすっかり」
クマシロ博士「本日は、新しい聖典が見つかったので お持ちしました」
魔王シン「おお、早く見せてくれ!」
魔王シン「この作品はたしか──」
魔王シン「古い遺跡を探検する冒険譚だな」
魔王シン「仲間同士の友情や恋愛模様が素晴らしいのだ」
クマシロ博士「ええ」
クマシロ博士「その続編なのですが、展開が少々・・・」
魔王シン「ほう」
魔王シン「・・・」
魔王シン「おい、なんだこれ」
魔王シン「内陸の洞窟を探検中だったのに、なぜ唐突に海が現れるのだ?」
クマシロ博士「おっしゃる通りです」
魔王シン「それに、この水着とやら・・・」
魔王シン「まるで下着!」
クマシロ博士「はい」
クマシロ博士「実にけしからん服です」
クマシロ博士「し・か・も!」
クマシロ博士「この水着とやらを着ると、異性同士でもキャッキャウフフと遊べるようなのです」
魔王シン「実に、実にけしからん!!」
クマシロ博士「一応、水着を試作してみました」
魔王シン「ふむ、一応見せてみるのだ」
魔王シン「ほほう」
魔王シン「しっかりとした生地」
魔王シン「どれだけ動いても脱げる心配はないな」
クマシロ博士「一応、他の隊員の分も作っております」
魔王シン「・・・女性隊員のものもか?」
  博士は無言でうなずく。
魔王シン「なんとけしからんことを・・・」
魔王シン「仕方あるまい」
魔王シン「全隊員に、海での訓練を命ずる!」
クマシロ博士「ははっ!」
「ムフ」

〇海辺
「海だー!」
魔剣士マナ「あの・・・シン様」
魔王シン「なんだ?」
魔剣士マナ「いつもと違う場所での訓練、気分転換になって良いのですが──」
魔剣士マナ「この格好は?」
魔王シン「博士、説明を」
クマシロ博士「はっ!」
クマシロ博士「異世界には、海でこの服を着なくてはならないルールがあるのです」
クマシロ博士「そうしないと、海の神獣様がお怒りになるらしく・・・ゴニョゴニョ」
魔剣士マナ「はあ」
クマシロ博士「ま、郷に入れば郷に従えというやつですな」
魔剣士マナ(え、ここは異世界じゃないだろう・・・)
魔剣士マナ(まあいい)
魔剣士マナ(この水着とやら、少々恥ずかしいがとても動きやすい)
魔剣士マナ(泳ぎながら、普段鍛えられぬ場所を鍛えよう)
魔王シン「博士──」
魔王シン「聖典では、海に行くとどんな展開が待ってるのだ?」
クマシロ博士「ヌルヌルドロドロした魔族が登場するのが王道」
魔王シン「ほほう」
クマシロ博士「もちろん、準備は万全です」

〇海
魔剣士マナ「冷たくて気持ちいい」
魔剣士マナ「ん?」
魔剣士マナ「あれは──」
魔剣士マナ(タコにスライム・・・この辺に住んでる者だろうか)
魔剣士マナ「小さくてかわいいな」
魔剣士マナ「村の子供たちを思い出す」
魔剣士マナ「・・・」
魔剣士マナ「──ってなんだ、この数は!」
雇われタコ「ヌルヌル・・・」
雇われスライム「ドロドロ・・・」
魔剣士マナ「キ──」

〇海辺
魔王シン「はじまったようだぞ」
クマシロ博士「御意」
兵士ペイ「シン様、博士──」
兵士ペイ「先ほどから何してるんですか?」

〇海
魔剣士マナ「こいつら・・・」
魔剣士マナ「なぜ、まとわりついてくる!」
雇われタコ「ヌルヌル・・・」
雇われスライム「ドロドロ・・・」
魔剣士マナ「剣を持ってきていれば、吹き飛ばせるのに・・・!」
魔剣士マナ「え!?」
魔剣士マナ「よし、この隙に!」

〇海辺
「な!!」
魔王シン「邪魔したのは誰なのだ!」
兵士ペイ「あそこに誰かいます!」
魔王シン「健康男子隊員諸君──」
魔王シン「戦闘開始!」
「はっ!」

〇海辺
魔剣士マナ「ふう、何とか浜辺に戻ってこれた」
魔剣士マナ「助けてくれたのはそなたか?」
魔導士レミ「そうじゃ」
魔導士レミ「礼を言うが良い」
魔剣士マナ「感謝する」
クマシロ博士「貴様ー!」
クマシロ博士「私の計画を台無しに──」
魔剣士マナ「計画?」
クマシロ博士「・・・いや、何でもありません」
クマシロ博士「マナ殿、無事で何よりです」
クマシロ博士「それよりお主は──」
魔導士レミ「魔導士レミじゃ」
クマシロ博士「む!」
クマシロ博士「その杖、見覚えが・・・」
魔王シン「おお、リデルカの持っていた杖ではないか!」
魔剣士マナ「リデルカ?」
魔王シン「かつて魔王軍に仕えていた、最強の魔導士だ」

〇荒野

〇源泉
  とてつもない攻撃魔法を使うヤツでな
  我の魔力をはるかにしのいでおった

〇海辺
魔王シン「たしかこの辺りがヤツの故郷だったな」
魔王シン「魔王軍を引退後、数年前に亡くなったと聞いたが・・・」
魔導士レミ「その通りじゃ」
魔王シン「そうか・・・」
魔王シン「惜しい者を亡くしたのう・・・」
魔導士レミ「ワシは──」
魔導士レミ「リデルカの弟子なのじゃ」
魔王シン「ほう、杖を引き継いだのか」
魔導士レミ「杖だけでなく、最強の魔道士の座も引き継いでおるぞ」
魔王シン「それは頼もしいな」
魔王シン(それほどの実力なら、こやつを魔王軍に引き入れたいが・・・)
魔導士レミ「そなたらは、師匠の知り合いのようじゃが──」
魔導士レミ(どこかで見覚えがある・・・たしか新聞とかで・・・)
魔導士レミ「──ま、魔王なのじゃ!?」
魔王シン「ようやく気づいたか」
魔導士レミ「ふふふ」
魔導士レミ「以前、魔王軍のスカウトが来たが、何の音沙汰もなくて心配してたのじゃ」
魔導士レミ「やはり、ワシの力が必要だったか!」
魔王シン「・・・博士」
魔王シン「スカウトというのは、勇者に対抗できる者を探していた時のことだろう」
魔王シン「コヤツはどうだったのだ?」
クマシロ博士「少々お待ちを」
クマシロ博士「報告によると──」

〇海辺
魔導士レミ「師匠からゆずり受けた、最強魔法を見よ!」
魔導士レミ「ここから大爆発が──」
魔導士レミ「・・・」

〇海辺
クマシロ博士「能力不足で採用を見送ったようです」
魔王シン「最強の魔道士というのは、自称か」
魔王シン「なんとか傷つけずに断れないものか」
クマシロ博士「こういう時は、異世界の格言を使うのがよろしいかと」
魔王シン「・・・なるほど」
魔導士レミ「それで──ワシを必要か必要でないのか どっちなのじゃ?」
魔王シン「コホン」
「『誠に残念ながら、今回は貴意に添いかねる結果となりました』」
「『貴殿の今後益々のご活躍をお祈り申し上げます』」
魔導士レミ「・・・」
魔導士レミ「断られた上に、お祈りまでされた!?」

〇海辺
魔王シン「さて、そろそろ訓練を再開するか──」
魔剣士マナ「痛っ!」
魔王シン「マナ、どうした?」
魔剣士マナ「泳いでいる時、岩に当たってしまったようで・・・」
魔導士レミ「えい!」
魔剣士マナ「痛みだけでなく、疲労感まで消えた!」
魔王シン「おお、すごいじゃないか!」
魔導士レミ「ふん」
魔導士レミ「ワシは、師匠のように攻撃魔法を極めたいのじゃ」
魔導士レミ「補助魔法で褒められても、嬉しくもないわ」
兵士ペイ(ん?)
兵士ペイ(強い魔力の反応が──)

〇水中

〇海
海の神獣リヴァイア「こんな場所に強い魔族が集まってるとはめずらしいな」
海の神獣リヴァイア「それにしても奴らの恰好──」
海の神獣リヴァイア「ムフ」
海の神獣リヴァイア「ムフフフ!!」

〇海辺
兵士ペイ「皆さん!」
兵士ペイ「異常な魔力反応がここに近づいてきます!!」
魔王シン「勇者か!?」
兵士ペイ「いえ、勇者ではありません」
兵士ペイ「これは──」
魔王シン「この大きさ・・・竜のような見た目・・・」
魔王シン「海の神獣──リヴァイアか!」
海の神獣リヴァイア「・・・」
魔王シン「実際に見るのは初めてなのだ」
魔王シン「神獣リヴァイアよ、何用──」
魔王シン「──む!」
クマシロ博士「おかしいですね」
クマシロ博士「神獣はとても理知的だと伝わっているのですが・・・」
魔王シン「なぜか理性を失っておるようなのだ」
クマシロ博士「何か刺激的なものでも見たのだろうか──」
「・・・」
魔王シン「博士、時間を稼ぐのだ」
クマシロ博士「え」
クマシロ博士「ぎゃああああっー!!」
魔王シン「は、博士―!!」
クマシロ博士「どうして、いつもこんな目に──」
魔王シン「ひとまず、気絶させるしかない!」
魔王シン「出力──最大!」
魔王シン「我の力程度では、効かぬか・・・!」
魔導士レミ(師匠には及ばないが、すごい魔力!)
魔導士レミ「フッ」
魔導士レミ「ついにワシの出番が来たようじゃな!」
魔王シン「マナの剣ならどうだ?」
魔剣士マナ「剣は宿舎に置いてきてしまって」
魔導士レミ「見ておれ、ワシの攻撃魔法で──」
魔王シン「くそ、打つ手なしか!」
魔導士レミ「だ・か・ら、ワシの──!」
魔王シン「──そうだ!」
魔王シン「レミよ、魔力強化の補助魔法は使えるか?」
魔導士レミ「まあ一応」
魔導士レミ「でも補助魔法って目立たないし・・・」
魔王シン「いいから我にかけるのだ!」
魔導士レミ「分かったのじゃ」
兵士ペイ「シン様」
兵士ペイ「補助魔法で、リヴァイアを気絶させるほど 威力が上がると思えませんが・・・」
魔王シン「ああ、普通の魔道士ならな」
兵士ペイ「え?」
魔王シン「先ほど、こやつの回復魔法を見たであろう」
魔王シン「攻撃魔法はからっきしだが、補助魔法はとんでもない才能がありそうだ」
魔導士レミ「ええい!」
魔王シン「どうじゃ、ペイ!」
兵士ペイ「す、すごい魔力です!」
兵士ペイ「これなら──!」
魔王シン「いくぞ!」
魔王シン「出力──極大!!」
海の神獣リヴァイア「キュー・・・」
魔導士レミ「ワシにこんな力が・・・」
魔王シン「自分でも気づいてなかったのか?」
魔導士レミ「ワシは、師匠の攻撃魔法に憧れて弟子入りしたのじゃ」
魔導士レミ「補助魔法は遊びで覚えたぐらいで──」
魔導士レミ(はっ!)
魔導士レミ「そういえば──」

〇英国風の部屋
大魔導士リデルカ「魔法は、攻撃・補助の二つに分類できる」
大魔導士リデルカ「それぞれ適性がまったく違うんだよ」
魔導士レミ「じゃあ適性がない魔法は使えないの?」
大魔導士リデルカ「そうだね・・・」
大魔導士リデルカ「一流になるのは難しいだろう」
大魔導士リデルカ「私は攻撃魔法の適性があったけど、補助魔法は全然なの」
大魔導士リデルカ「もし、レミに補助魔法の適性があっても──」
大魔導士リデルカ「私には教えられないわね」
魔導士レミ「大丈夫! あたしは攻撃魔法しか興味ないし」
大魔導士リデルカ「・・・」

〇海辺
魔王シン「リデルカは──お主の適性を知ってたのかもしれんな」
魔王シン「自分に合ったことをするのは、とても大切だと思うのだ」
魔導士レミ「・・・」
魔導士レミ「攻撃魔法に才能がないこと──」
魔導士レミ「ワシも分かってるのじゃ」
魔導士レミ「どれだけ努力しても、才能の壁は破ることはできぬ」
魔導士レミ「師匠やそなたを見て、改めて思った」
魔導士レミ「だから・・・」
魔導士レミ「攻撃魔法はあきらめ、これからは補助魔法一本で──」
魔王シン「やれやれ」
魔王シン「どうしてそういう結論になる」
魔導士レミ「え?」
魔王シン「自分に合うことをするのは、とても大事だが──」
魔王シン「夢に向かって頑張るのは、もっと大事なことなのだ」
魔導士レミ「でも・・・」
魔導士レミ「努力しても、夢は叶わないかもしれない」
魔王シン「たしかにその通りなのだ」
魔王シン「でも努力した分、叶う可能性が高くなる」
魔王シン「そう考えると、ワクワクしないか?」
魔導士レミ「・・・」
魔導士レミ「ふふふ」
魔導士レミ「そなたの言うとおりじゃ!」
魔王シン「──レミよ」
魔王シン「お主の補助魔法は、世界の危機を救う助けとなるだろう」
魔王シン「・・・魔王軍に入らぬか?」
魔導士レミ「・・・」
魔導士レミ「──シン様」
  レミがひざまずく。
魔導士レミ「それには、ひとつ条件があるのじゃ」
魔王シン「ほう、申してみよ」
魔導士レミ「ワシに攻撃魔法を教えてほしい!」
魔導士レミ「師匠のような魔導士になる夢を叶えるために!!」
魔王シン「ククク・・・」
魔王シン「よいぞ」
魔導士レミ「よろしくなのじゃー!!」
魔王シン「わ、急に抱きつくでない!」
魔剣士マナ「ちょっと!」
魔剣士マナ「シン様にくっつき過ぎです!」

〇海辺
海の神獣リヴァイア「うう・・・」
魔剣士マナ「あ、リヴァイアが──」
魔王シン「ようやく正気を取り戻したようだな」
海の神獣リヴァイア「うむ」
海の神獣リヴァイア「取り乱して、すまなかったな」
魔王シン「気にしなくていいのだ」
海の神獣リヴァイア(じー)
海の神獣リヴァイア(はっ!)
海の神獣リヴァイア(また興奮してしまう所だった・・・)
海の神獣リヴァイア(私は神獣・・・高貴な獣なのだ・・・!)
魔王シン(なんだか、すごい葛藤しているような・・・)
海の神獣リヴァイア「えーコホン」
海の神獣リヴァイア「そなたが今世の魔王か」
魔王シン「そうだ」
海の神獣リヴァイア「・・・」
海の神獣リヴァイア「ふむ」
海の神獣リヴァイア「これまでの魔王は、人間を滅ぼすことしか考えていなかったが──」
海の神獣リヴァイア「そなたは違うようだな」
魔王シン「我は『世界征服』を目指しておるからな」
海の神獣リヴァイア「ふふ、面白い奴だ」
海の神獣リヴァイア「この先、海で何かあれば私を頼るがよい」
海の神獣リヴァイア「我々はもう友人だ」
魔王シン「分かったのだ」
魔王シン「では神獣だからと遠慮せず、こう呼ばせてもらうぞ──」
魔王シン「「リヴァイアさん」と」
海の神獣リヴァイア「良いだろう」
海の神獣リヴァイア「また会えるのを楽しみにしている」
海の神獣リヴァイア「さらばだ──」
魔剣士マナ「海での訓練──」
魔剣士マナ「色々ありましたが楽しかったですね」
魔導士レミ「そうじゃな」
魔王シン「──さて、宿舎へ戻るか」
  その後、親しみを込めた神獣の呼び方が
  民たちにも広まり──
  海の神獣のことを
  「リヴァイアサン」と呼ぶようになった。
「・・・」
「何か忘れてるような・・・?」

〇海辺
クマシロ博士「うう、やっと戻ってこれた・・・」
クマシロ博士「あれ? みんなは?」
クマシロ博士「・・・」
クマシロ博士「もしかして、置いてかれた!?」
クマシロ博士「みんな、私はここだよ──!」
  その後、博士は宿舎で待っていたシンと合流。
  シンたちは、
  真っ黒に日焼けした博士を見て──
  しばらくの間「クマクロ博士」と呼ぶようになった。

〇汚い一人部屋
母「・・・ご飯、ここに置いておくよ」
斎藤(ちっ、うっせーな)
斎藤(俺は新作のゲームで忙しいんだ)

〇ヨーロッパの街並み
斎藤「ここは・・・」
斎藤「まさか──異世界転移!?」

〇森の中
斎藤「視界の端に映っているのは、もしかして・・・」
斎藤「お前たちの弱点──」
斎藤「スケスケだぜ!」
魔王シン「『ゲーム王子斎藤編』に突入なのだ!」
魔王シン「次も絶対タップしてくれよな!」

次のエピソード:第四話 見えるぞ!私にはステータスが見える!

コメント

  • 毎回、シンの魔王としての器の大きさというか、優しさにホッコリさせられます😊
    今回も優しいシンに心がじわんと暖かくなりました。
    クマシロ博士が茶色くなったのが個人的にはツボだったのですが、最終的に黒くなるなんて(笑)
    新しい仲間も増えて、続きが楽しみです!

  • 水着けしからん!🤣
    そしてクマシロ博士は結局黒く……!
    水着回も楽しませてもらいました。
    次回にはクロからシロにそしてグレーになるのでしょうか

  • 遅くなりましたが、やっと読了させてもらいました!
    もう博士とのカラミや展開が面白いので最新話まで一気読みしてしまいました!!
    異世界転生でハーレム物が続くのかと思いきや、完結し違う異世界転生者があわられる設定に皆が納得の面白さでした!番外編のオチにリバイアさん=リバイアサンにもまいりました😊次回のステータス編も楽しみにしています!

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