さいごのネフテとさよならのレドイ

宇野木真帆

9眠:過去の記憶はネットワーク上にあるのです。(脚本)

さいごのネフテとさよならのレドイ

宇野木真帆

今すぐ読む

さいごのネフテとさよならのレドイ
この作品をTapNovel形式で読もう!
この作品をTapNovel形式で読もう!

今すぐ読む

〇綺麗なリビング
  ウィー...。
  ウィー...。
ネフテ「ハウスって、ずっと動いてるのね。」
ハウス「そうよー♪」
ハウス「掃除機は毎日かけてるわね。」
ハウス「それから洗面台、お手洗い、って丁寧に掃除していたら、もうお昼の準備をしないといけないわ。」
ネフテ「その後は、庭の手入れ、お風呂の掃除、夜ご飯の準備をして...」
ハウス「その後は、朝ご飯の仕込みをして...」
ハウス「19時には自室でスリープね。 情報整理をしているわ。」
ハウス「はい! 掃除機がけは終わり!」
ネフテ「ゆっくり話をする時間は、なさそうね...。」
ハウス「ごめんなさいね。」
ネフテ「仕方ないわ。 それが『役割』なんでしょ。」
ネフテ「くっついて歩くわ。」
ネフテ「昨日の今日じゃ、レドの筋肉痛は治らないでしょうしね...。」

〇黒

〇綺麗なリビング
ハウス「それで、どんな事を聞きたいのかしら?」
ネフテ「この世界に人間やロボットは、どのくらいいるの?」
ネフテ「住宅街を歩いた時、誰ともすれ違わなかった。」
ハウス「この辺りに住んでいる人間は、レドイちゃんぐらいよ。」
ハウス「それに伴って、ロボットの数も少ないわ。」
ネフテ「なぜ?」
ネフテ「どうして人間は、そんなに少なくなってしまったの?」
ハウス「それはね...」
  ハウスの話を要約するとこうだ。
  ハウスが造られた2310年は、今よりずっと人がいたそうだ。
  生活の全てをロボットが支え、文化もまた、ロボットが作り出していく世界。
  本や漫画を嗜み文化を享受する人間から、世界を旅する人、執筆や動画制作のクリエイター。
  様々な人間がいたが.....
  緩やかに人間はいなくなっていった。
ネフテ「つまり、レドに聞いた答えと同じ。 理由は分からないってことね。」
ハウス「私たちロボットが、巨大なネットワークにアクセスできると言っても、世界の全てを知っているわけではないの。」
ハウス「今の話も、全て私自身の経験。 およそ3000年分のデータを、ネットワーク上からなぞっただけ。」
ハウス「ごめんなさいね。 お役に立てなくて。」
ネフテ「別にいいわ。 それより...」
ネフテ「この世界の科学技術はどうなっているの?」
ネフテ「昨日は、私が眠っていた場所に連れて行ってもらったけれど...」
ネフテ「辺りに草一本生えていない異様な場所よ!? そんな所に何もないですって!!?」
ネフテ「あのパトロボ、嘘ついてんじゃないでしょうね!?」
ハウス「そこにレドイちゃんはいたのでしょう?」
ネフテ「いたわよ。」
ハウス「だったら、嘘はつけないでしょうね。」
ハウス「私の分かる範囲で検索してみるわ。 この世界の科学技術は..」
ハウス「...。」
ハウス「...。」
ハウス「そうそう。 2400年代に大きな自然災害、隕石の直撃というのがあったわ。」
ハウス「でも、これこそ科学の力じゃないかしら。」
ハウス「大きな事にはならなかったわよ。 隕石の直撃は避けられたようね。」
ハウス「その他にも、気温上昇、オゾン層の問題、人間の生命に関わる問題は、次々に解決して、今に至る。」
ハウス「だから、ネフテちゃんの造られた時より、科学の進歩が遅れている、ということはないと思うわ。」
ハウス「私も聞きたいことがあるのだけど...」
ハウス「そのブレスレット、電力供給ユニットはどうしたのかしら?」
ネフテ「あぁ、これ?」
ハウス「...。」
ネフテ「こんなの恥ずかしくて、言いたくなかったけど...」
ネフテ「私の中にあるデータはね、補助プログラムだけなの。」
ハウス「補助プログラムって、言葉の意味を映像で記録してあるデータ...よね?」
ネフテ「そうよ。」
ネフテ「それしかないから、自分の体の機能も分からない...」
ネフテ「何の為に造られたのかも分からない。」
ネフテ「なにも、分からないのよ...」
ハウス「...。」
ハウス「そのユニットは...」
ハウス「たぶん、レドイちゃんがつけたのだと思うわ。」
ハウス「そんな自由なことができるのは、人間のレドイちゃんだけよ。」
ネフテ「どうして...」
ハウス「それはレドイちゃんに聞いてみないと分からないけれど...」
ハウス「少なくともレドイちゃんは、あなたのこと、ハイバンなんて思っていないと思うわ。」
ハウス「ネフテちゃんがこのお家に来てから、レドイちゃんは本当に良い表情をするようになった。」
ハウス「私はそれが、とても嬉しい。」
ハウス「これからもよろしくね、ネフテちゃん。」
ネフテ「...。」
ネフテ「うん。」
ハウス「さぁ、そろそろレドイちゃんが降りてくる時間だわ。」
ハウス「お茶を淹れましょう!」
ネフテ「仕方ないわね。 付き合ってあげるわ。」

次のエピソード:10眠:その12年の間に...

コメント

  • 作り込まれたSFの世界観が魅力的で、ネフテがメインで登場してから、物語もどんどん面白くなってきました! 日常のさりげない会話にも、不思議な世界の設定が出てきて、それを読むのも楽しいです。話が進むにつれて、少しずつ世界の謎も明らかになってきて、さらに続きが気になってきました。個人的にもイチオシの作品ですので、毎話、楽しみに読ませて頂いてます!

成分キーワード

ページTOPへ