第五話 婚約解消(脚本)
〇貴族の部屋
◆あらすじ◆
ソウビはチヨミに
自分を側に置いてほしいと頼む。
ヒナツを近づけさせないために。
ヒナツ・プロスペロ「ソウビ、入るぞ!」
ヒナツ・プロスペロ「・・・・・・」
ヒナツ・プロスペロ「また留守か。 一体、どこに行ったんだ?」
ヒナツ・プロスペロ「ん? 外から声が?」
〇華やかな裏庭
ソウビ・アーヌルス「それで、その時ね」
チヨミ・アルボル「本当に? あははは」
〇貴族の部屋
ヒナツ・プロスペロ「またチヨミと一緒か・・・。 まったく、いつの間に あんなに仲良くなったんだ」
ヒナツ・プロスペロ「仲が良いのはいいが、 俺の入り込むすきがない。 まぁ・・・」
ヒナツ・プロスペロ「俺のものにはなってもらうが、な。 この王位を確実なものにするために」
〇空
〇華やかな裏庭
ソウビ・アーヌルス「・・・今、なんて?」
テンセイ・ユリスディ「・・・・・・」
チヨミ・アルボル「ウソ、でしょ?」
テンセイ・ユリスディ「噓ではございません。 ヒナツ王より、ソウビ殿と自分との 婚約を解消するとの示達がなされました」
テンセイ・ユリスディ「ソウビ殿、貴女を ヒナツ王ご自身の寵姫とするために」
チヨミ・アルボル「・・・っ!」
テンセイ・ユリスディ「これは命令ではなく、 決定事項とのことです」
ソウビ・アーヌルス「っ!! ふざけんな、あの野郎!!」
チヨミ・アルボル「ソウビ・・・!」
テンセイ・ユリスディ「ソウビ殿!? どこへ行かれるのです、ソウビ殿!」
「あの脳みそ海綿体の クソ色ボケ俺様気取りモラハラ王を ぶん殴ってくる!!」
チヨミ・アルボル「ソウビ、待って!!」
テンセイ・ユリスディ「いけません、ソウビ殿!! お待ちください!!」
チヨミ・アルボル「・・・・・・」
チヨミ・アルボル「ヒナツ・・・」
〇謁見の間
ソウビ・アーヌルス「ヒナツ!!」
ヒナツ・プロスペロ「・・・・・・」
ヒナツ・プロスペロ「ソウビではないか。 お前が自ら俺の元へと足を運ぶとは 珍しいこともあるものだ」
ヒナツ・プロスペロ「だが、呼び捨ては感心せんな。 お前は元王女ではあるが、 今の王は俺だ」
ヒナツ・プロスペロ「そういうのは寝所で二人きりの時に、な」
ソウビ・アーヌルス「ふざけるな! ふざけるな!! ふざけるなぁああっ!!」
ソウビ・アーヌルス「私はあんたの寵姫になんて なりたくない!! 私が好きなのはテンセイなんだから!!」
ヒナツ・プロスペロ「・・・・・・」
ソウビ・アーヌルス「今すぐ婚約解消を撤回して!!」
ヒナツ・プロスペロ「断る」
ヒナツ・プロスペロ「一貴族アルボル家の使用人から ただ自らの策と武勇で王となった俺を 成り上がり者と謗る声も多くてな」
ヒナツ・プロスペロ「前王の娘であるお前が必要なのだ。 王家の正当な後継者として 皆に認めさせるためには」
ソウビ・アーヌルス(はっきり言った!!)
ヒナツ・プロスペロ「そう怒るな。 ひとまずは寵姫の身分とするが いずれチヨミを廃しお前を正妃に迎えよう」
ヒナツ・プロスペロ「そうなれば、皇女だったお前が 本来就くはずだった地位に舞い戻れる。 この国の女の頂点に君臨できるのだぞ?」
ソウビ・アーヌルス「そんなの、私、望んでない! だいたい・・・」
ソウビ・アーヌルス「なにが策と武勇で成り上がった、よ! その策はチヨミが考えたものでしょう!?」
ヒナツ・プロスペロ「!」
ヒナツ・プロスペロ「知っていたのか・・・」
ソウビ・アーヌルス(当り前よ! プレイヤーとして私がヒナツに 指示を出してたんだから!)
ソウビ・アーヌルス「あんたがこの地位につけたのは、 半分はチヨミの手柄じゃない!」
ソウビ・アーヌルス「なのにチヨミを廃する!? 恩知らず! 最っ低!!」
ヒナツ・プロスペロ「・・・・・・」
ソウビ・アーヌルス「策がチヨミのものだったってことは 周囲に黙っててあげる。 だからテンセイとの婚約を・・・」
ヒナツ・プロスペロ「断ると言った」
ソウビ・アーヌルス「っ!!」
ヒナツ・プロスペロ「お前は俺のものだ。 この地位を盤石のものとするために。 そして何より・・・」
ヒナツ・プロスペロ「その麗しいかんばせに似合わぬ はねっかえりのお前のことを 俺はとても気に入っているのだ」
ソウビ・アーヌルス「この・・・っ」
ソウビ・アーヌルス「殴らせろっ!!」
テンセイ・ユリスディ「いけません、ソウビ殿!!」
ソウビ・アーヌルス「テンセイ!?」
ヒナツ・プロスペロ「・・・・・・」
テンセイ・ユリスディ「これ以上はいけません。 いくらお気に入りの貴女でも 処刑されてしまう!」
ソウビ・アーヌルス「っ! だけど・・・!」
テンセイ・ユリスディ「ヒナツ王、ソウビ殿は 突然のことに混乱しておられます。 どうか寛大な処置をお願いします」
ヒナツ・プロスペロ「ははは、問題ない」
ヒナツ・プロスペロ「愛らしい子猫が手の中で もがいて暴れて爪を立てるのを 楽しんでいただけだ」
ソウビ・アーヌルス(な・・・!)
テンセイ・ユリスディ「ありがたきお言葉。 では失礼いたします」
テンセイ・ユリスディ「ソウビ殿、こちらへ」
ソウビ・アーヌルス(楽しんでいた!? 私の必死の抗議を!?)
ヒナツ・プロスペロ「ふん・・・」
〇上官の部屋
テンセイ・ユリスディ「ソウビ殿、ひとまずはこちらへ」
ソウビ・アーヌルス「・・・・・・」
テンセイ・ユリスディ「今、お茶を淹れましょう。 固い椅子しかございませんが、 おかけになってください」
テンセイ・ユリスディ「・・・・・・」
テンセイ・ユリスディ「どうぞ」
ソウビ・アーヌルス「・・・・・・」
ソウビ・アーヌルス「うっ、うっ、うぅ~~っ」
テンセイ・ユリスディ「ソウビ殿・・・」
ソウビ・アーヌルス「なんでよ、 テンセイの隣で生きることを 望んじゃいけないの!?」
ソウビ・アーヌルス「ヒナツに気に入られないよう 頑張ったのに・・・」
ソウビ・アーヌルス「結局、悪夢じゃん・・・。 また、傾国になって民衆に憎まれて テンセイに殺されエンドなんだ・・・」
テンセイ・ユリスディ「自分が、ソウビ殿を!? 何をおっしゃるのですか!」
ソウビ・アーヌルス「なるんだよ! 私、知ってるんだ・・・」
ソウビ・アーヌルス「私はただ、テンセイと 幸せになりたいだけなのに・・・ こんな悪い夢、早く覚めて・・・!」
テンセイ・ユリスディ「・・・・・・」
テンセイ・ユリスディ「ソウビ殿。 お伺いしてよろしいでしょうか」
テンセイ・ユリスディ「ソウビ殿は自分のことを いつからそんな風に 思っておられたのですか」
ソウビ・アーヌルス「・・・・・・」
テンセイ・ユリスディ「自分はこれまでソウビ殿にとって、 形だけの婚約者だとばかり 思っておりました」
テンセイ・ユリスディ「ソウビ殿は自分といても、 楽しそうには見えませんでしたので」
テンセイ・ユリスディ「お聞かせ願えますでしょうか。 ソウビ殿はいつから、自分のことを・・・」
〇黒
第五話 婚約解消 ──終──
第六話へ続く
テンセイかっこいい!続きが気になるぅ。でも一話ずつ楽しみたい。転生ものにはまってるのですが、一味違いますね。
え、待って、そこで終わるの。
そこで終わるのーーー!!!?!?!
テンセイ男前すぎる!!✨