第三話 コイにドラゴンを呼ばないで(脚本)
〇草原の道
デレニス・ツンヴェイル「はぁ・・・・・・はぁ・・・・・・っ あいつってば・・・・・・っ」
デレニス・ツンヴェイル「今どこにいるの・・・・・・っ?」
大事な忘れ物をしたクラウスを追いかけ、
今私が走っているこの道は、
かつて故郷を飛び出し、
神樹の街ユグドルートを目指した
私とクラウスが通った道である。
そんな道を通っているからだろうか、
それとも疲労を和らげるための
苦肉の策なのだろうか────
ふと、街へ入ってからの記憶を
次々と思い出してしまった。
〇村に続くトンネル
────まだ14歳だった私達二人が
冒険者を目指し、初めての遠出に
悪戦苦闘しながらも、
ついに辿り着いた神樹の街ユグドルート。
〇巨大な城門
≪ソーサラー≫や≪パラディン≫のような
“ジョブ”という力を人類に与えるため、
世界各地に伸びた神の力が宿る
神樹の根────
〇木の上
────そして、その大元となる
ユグドルの樹を中心として栄えた
神樹の街ユグドルート。
〇ヨーロッパの街並み
全てのジョブが集まるこの街では、
誰もがなりたいジョブに────
マモノの討伐や世界の謎を解き明かす
依頼を受ける“冒険者”という
枠組みの範囲で、
職業として就くことができる。
街へ着いた後、私はちいさな頃から
憧れだった魔法職≪ソーサラー≫の
ギルドへ入り────
クラウスは、盾職の≪パラディン≫
ギルドへ行ってしまった。
────どうしてあの
暴力が嫌いなクラウスが、
勇気も強さも必要になる
ジョブを選んでしまったのか。
それが気にならないと言えば嘘だった。
〇古書店
────でも、なりたい職への
憧れなんて所詮そんなもの。
デレニス・ツンヴェイル(ま、まぁ私も カッコいいからで選んだわけだし!)
職なんて、なってみてからの方が
考えることは多い。
シルエット知人「────であるからして、 ゴブリンの脅威とはその種の優劣を超え マモノという一つの軍として、」
シルエット知人「即時他のマモノと連携する特異性にあり、 我々≪ソーサラー≫に求められる行動は、 【初級魔法群】内の魔法の────」
私は≪ソーサラー≫としての勉強や
訓練を積んでいくうちに、
そう納得することが出来た。
〇大広間
そして≪ソーサラー≫訓練生だった
ある時にリミカルドと出会い────
リミカルド・ヒヨク「デレニス・・・・・・」
リミカルド・ヒヨク「・・・・・・出会って数ヶ月程度とはいえ 君の事は誰よりも知っているつもりだ」
リミカルド・ヒヨク「僕が作るパーティーには きっと君が必要だ」
リミカルド・ヒヨク「・・・・・・」
リミカルド・ヒヨク「まだ名前も決まっていないが、 将来僕の作ったパーティーに」
リミカルド・ヒヨク「ぜひ君をまにぇき入れたい!」
見物人おねえさん(か、噛んでる・・・・・・)
見物人おにいさん(あのリミカルドが・・・まさか・・・!?)
(多分、“そういう”相手だ!?)
デレニス・ツンヴェイル(なんだろうあの二人)
リミカルド・ヒヨク「・・・・・・へ、返事を聞かせてほしい」
リミカルド・ヒヨク「い、言いにくいなら・・・・・・ 僕から引き下がるよ・・・・・・」
デレニス・ツンヴェイル(・・・・・・)
デレニス・ツンヴェイル「いいわ、一緒に頑張りましょう」
デレニス・ツンヴェイル「よろしくね、リミカルド」
私は彼の立ち上げた『空白の継ぎ手』へ
入ることになった。
〇ホテルのエントランス
その頃にはもうクラウスとは
別々の場所で過ごし、
別々のギルドへ行き、
別々の訓練を受けていて────
私はすっかり、
別々の道を歩いていくものだと思っていた
〇教会の中
────ある日私は
少人数でも受けられる依頼を探しに、
ユグドルート総合ギルドへやってきた。
どうにも私たちは
ウマが合いそうな人が見つからず、
パーティー結成後も
たった二人で活動しなければ
ならなくなったのだ。
デレニス・ツンヴェイル(ここが冒険者の集まる 総合ギルド・・・・・・)
今まで外から見ることしか
出来なかったけど、
ついに私も冒険者の仲間入り────
デレニス・ツンヴェイル(とは言っても、 今回は依頼探しに来ただけ なんだけどね)
デレニス・ツンヴェイル「さて・・・・・・」
デレニス・ツンヴェイル「・・・・・・ん?」
さぁ依頼掲示板の前へ
行こうとした矢先、
私の目に入って来たのは、
依頼内容が記載された用紙などではなく────
────その依頼掲示板の真下で
泣きながらぶっ倒れていた
クラウスだった。
デレニス・ツンヴェイル「クラウス!? なんでここに!?」
クラウス・ネファリウス「・・・デレ・・・ニス・・・」
クラウス・ネファリウス「実は・・・・・・」
────そう言って、
クラウスはこの数週間の出来事を
私へ語り出したのだった。
〇教会の中
クラウス・ネファリウス「ここが冒険者の集まる 総合ギルド・・・・・・」
今まで外から見ることしか
出来なかったけど、
ついに僕も冒険者の仲間入りか────
クラウス・ネファリウス(いつも守られるだけの僕だったけど、)
クラウス・ネファリウス(ついに≪パラディン≫として、 誰かを守る立場になれるんだ!)
クラウス・ネファリウス「・・・・・・よしっ」
今日のために準備は色々してきた。
装備も万全、スキルだって
覚えられるだけ覚えてきた。
クラウス・ネファリウス「────僕に足りないのは、勇気だけだ」
クラウス・ネファリウス「あの、すいません!」
クラウス・ネファリウス「パーティーを組んでいない方だと お見受けして、ご相談が────」
魔法おっさん「・・・・・・むう、 一人でいるだけで若いのに絡まれるとはな」
魔法おっさん「悪いがね、私は親切なおじさんではない 他を当たりたまえ」
────うっ、
初手からつらい当たりだ・・・・・・
でも諦めない事こそが
冒険者に最も必要・・・・・・!
訓練で一番、学んできたことだ!!
クラウス・ネファリウス「あの! 少しだけでもお話を────」
魔法おっさん「なんだね! 私は別にパーティー集めに ここに来たわけではない!!」
魔法おっさん「ちゃんとギルドには募集用に 人が集まってる場所があるだろう!」
クラウス・ネファリウス「す、すいません! まだ勝手がわからなくて!」
魔法おっさん「大体なんだその鎧は! それが盾職を志す者が着る鎧かね!? けしからんだろう!!」
クラウス・ネファリウス「えっ・・・・・・でもこれ・・・・・・ 今一番流行ってるスタイルだって・・・」
魔法おっさん「ちゃんとした理由があったのか・・・!」
魔法おっさん「えらいけど、 おじさん的にはないなぁ・・・・・・」
シルエット勇者「見ろよあのパラディン・・・・・・ 多分やるぞアイツ・・・・・・」
シルエット知人「前に訓練所で見たことがある、 【ファランクス】を使えるぞ」
シルエット勇者「なっ!? ≪パラディン≫の代名詞とも言える、 最強の防御スキルじゃねぇか!!」
クラウス・ネファリウス(どうしよう、 そんなのまだ覚えてないよ・・・・・・!)
あ、あの・・・・・・!
クラウス・ネファリウス「ぼ、僕・・・・・・! 盾職の≪パラディン≫なんです! 一緒にパーティーを────」
シルエットふとし「・・・・・・・・・・・・」
シルエットふとし「・・・・・・あのね、」
シルエットふとし「・・・・・・俺も、盾職」
シルエット麿「麿もじゃ・・・・・・」
シルエットダンディ「なんなら俺もだぜ」
クラウス・ネファリウス「す、すいませんでした・・・・・・」
シルエットふとし「盾職ってパーティーの要な割に、 一人いれば事足りっからなー」
シルエット麿「そのくせ盾を担当するジョブの種類は 多岐に渡るものでな・・・・・・」
シルエットダンディ「こうやってただ待ってるだけ、 老け込んでいくだけの奴らが 出てくる訳よ・・・・・・」
シルエットふとし「・・・・・・わかったなら、 さっさと次行きな」
シルエットふとし「待ってたら、 肥えていくだけだぜここは」
シルエット麿「・・・・・・退屈と劣等感に脳をやられて 口調もおかしくなってくるぞよ」
シルエットダンディ「渋さと痛さを履き違えた おっさんにもなる・・・・・・」
シルエットふとし「・・・・・・もうここに来んじゃねぇぞ」
クラウス・ネファリウス「・・・・・・はい!」
〇教会の中
〇教会の中
〇教会の中
クラウス・ネファリウス「それからも何度も何度も ギルドに足を運んで、」
クラウス・ネファリウス「来る人来る人、 頼み込んではみたけれども・・・・・・」
クラウス・ネファリウス「それがこの有様・・・・・・」
クラウス・ネファリウス「誰も僕を 必要としてくれなかった・・・・・・」
クラウス・ネファリウス「まただ・・・・・・ また何も変われなかった・・・・・・」
クラウス・ネファリウス「くっ・・・・・・!」
デレニス・ツンヴェイル(・・・・・・そっか、 クラウスもクラウスで)
デレニス・ツンヴェイル(憧れの≪パラディン≫になろうと、 すごい頑張ってたんだね)
────それなのに、
こんなに顔をぐちゃぐちゃにしていても、
誰にも必要にされなかった、
クラウスの姿を見ていたら・・・・・・
────なんだか、
ほっとけなくなってしまって
デレニス・ツンヴェイル「・・・・・・」
デレニス・ツンヴェイル「ねぇクラウス、 私たちのパーティーに来ない?」
デレニス・ツンヴェイル「実は≪勇者≫のパーティーだというのに、 まだ全然人が足りなくてさ」
デレニス・ツンヴェイル「・・・・・・ほら! 顔見知りの私がいるなら多分居心地も 悪くはならないだろうし!」
クラウス・ネファリウス「・・・で、でも僕って他の人みたいな まともなスキルってまだなにも」
デレニス・ツンヴェイル「そんなのいいから! ジョブなんてなってからの方が 大事なんだし!」
デレニス・ツンヴェイル「わ、私も・・・・・・ ただ、カッコいいって理由で ≪ソーサラー≫やってるんだし?」
デレニス・ツンヴェイル「・・・・・・うん、改めて言うね」
デレニス・ツンヴェイル「一緒に冒険者になろう、クラウス」
クラウス・ネファリウス「ひっく・・・・・・ ありがとう・・・・・・」
魔法おっさん「ゆ、由々しき事なってるな・・・・・・」
パラ子「・・・・・・虐! ・・・・・・涙!」
デレニス・ツンヴェイル「と、とりあえずここを出て リミカルドに挨拶しに行きましょう!」
デレニス・ツンヴェイル「それとね・・・・・・」
デレニス・ツンヴェイル「鎧は黒い方が前衛として威厳がつくから、 今選びにいきましょ」
デレニス・ツンヴェイル「あんたはただでさえ 淡白な見た目してんだから、 鎧くらいはいかつくしなきゃ」
デレニス・ツンヴェイル「じゃ、一緒に見にいこっかクラウス」
クラウス・ネファリウス「・・・・・・っ!」
クラウス・ネファリウス「・・・・・・うん、行こう!」
〇荒野
連れてきた最初は
アレコレ説明しなきゃないのもあって、
私の方が先輩風を
吹かしていたのだけれども。
〇洞窟の入口(看板無し)
後衛職を守る≪パラディン≫は、
しっかりと敵前で
立ち塞がらなきゃならない。
パーティーのランクが上がるたびに、
あいつは否応なしに強くならなきゃ
いけなくなった。
〇黒背景
いつしかあの少しすくんだ背中に
守られる度に、
あいつ自身が
どんどん大きく見えてきて。
私から少しずつ離れていくクラウスに、
ほんの少しの寂しさを感じていた。
だけどそれ以上に、嬉しさがあった。
いつになってもどこか頼りないあいつが、
ほんの少しでもたくましくなれるため。
────そんな願いも込めて、
私はあの日ちいさく震えていた
クラウスを誘ったんだから。
〇草原の道
────だというのに。
デレニス・ツンヴェイル「・・・・・・・・・・・・!」
デレニス・ツンヴェイル「・・・・・・」
デレニス・ツンヴェイル「・・・・・・いつから、 こうなっちゃったんだろう」
本当にどうして、
私があいつを追放することに
なってしまったのだろう。
────そんな戸惑いと、
いつの間にか口から出た言葉が
私の足から走る力を奪っていく。
そして、現実逃避がしたかった
という事なのだろうか、
────ふと、空を見上げてしまった。
・・・・・・
私の心なんておかまいなしに、
街の外の夜空はいつでも綺麗なまま
なんだろうな────
そう思った瞬間────
〇黒背景
────ゴォウ────
〇草原の道
デレニス・ツンヴェイル「・・・・・・」
デレニス・ツンヴェイル「えっ・・・・・・今の、何?」
デレニス・ツンヴェイル(く、黒い何かが・・・・・・ 空を横切った・・・・・・よね?)
デレニス・ツンヴェイル「・・・・・・気のせい、よね」
デレニス・ツンヴェイル「夜だし、元から暗いもの・・・・・・」
日は完全に落ち、今は真夜中。
今日は二つある月のうちで珍しく、
月明かりが暗い方──通称 淀月──
が地上を照らす。
だからいつもよりは
月明かりが少なくて薄暗い。
それに私はただでさえ
走り慣れていない道を、
荷物を抱えて全力で走っていた。
────だからこそ疲労のピークと、
本当にこの先にいるのだろうかという、
ネガティブな思考が、
空の暗さを誤認したに違いない。
デレニス・ツンヴェイル(こんな些細なことを気にしたら、 きっと追いつけなくなる)
デレニス・ツンヴェイル(────今は、 何も考えず走ろう!)
自分の迷いに気づき、
何をするべきか洗い出してみると────
不思議と足に力が篭り、走れる気がした。
デレニス・ツンヴェイル(・・・・・・)
────でも何故だろう。
デレニス・ツンヴェイル(星がいつもより、 少ないような・・・・・・)
〇草原の道
私とクラウスが三年前に
故郷を飛び出し一緒に通った道。
あの時の道を少し遡ったところで────
クラウスの背中が見えた。
デレニス・ツンヴェイル「はぁ・・・・・・はぁ・・・・・・っ」
デレニス・ツンヴェイル「・・・・・・っ!」
その背中にあとわずかに迫ったところで、
私の体は再び動けなくなってしまった。
彼の後ろ姿を見つけた安心感で、
足は再び原動力を失ってしまったのだ
デレニス・ツンヴェイル「ク、クラウ・・・・・・ ぜぇ・・・・・・ぜぇ・・・・・・っ」
大声を上げて気づいてもらおうにも、
すっかり息の方が上がってしまっている。
デレニス・ツンヴェイル(大丈夫、クラウスは走ってる訳じゃない)
デレニス・ツンヴェイル(────ゆっくり、落ち着いて 深呼吸できる時間は十分にある)
デレニス・ツンヴェイル(・・・・・・・・・・・・)
デレニス・ツンヴェイル(・・・・・・よし)
クラウス! 忘れ物!!
クラウス・ネファリウス「・・・・・・・・・・・・?」
夜の暗闇に溶けつつある
クラウスに届くよう精一杯あげた声。
それに答えてなのか
────クラウスは振り向いてくれた
その目線はすぐに私の抱える大きな荷物に
移ってしまったけど────
なんだか久しぶりに、
まっすぐ私の顔を見てくれた気がする
こうやって私の言葉に
素直な反応を示したのも、
何日ぶりだろうか。
デレニス・ツンヴェイル(・・・・・・って、そんなこと 思ってる場合じゃない!)
デレニス・ツンヴェイル(なんのために走ってきたんだか!)
デレニス・ツンヴェイル「あんた、コレ忘れていっちゃダメじゃない」
クラウス・ネファリウス「これは・・・・・・ あの時の・・・・・・」
両腕で抱えたそれをしっかり握りなおし、
クラウスに手渡した。
デレニス・ツンヴェイル「────そうよ、予備の盾」
デレニス・ツンヴェイル「あんたは使ったことないだろうけど、 昔私があげたやつでしょ」
────≪パラディン≫というジョブは
他と比べ、装備の新調や維持費だけでも
出費がかさむ。
・・・・・・黒い鎧を買う時にも
少しお金は出したけれども、
やっぱりそれだけでは、
かけだし≪パラディン≫の懐は
寂しそうだったのである。
デレニス・ツンヴェイル「あんたはもう私達と 組みたくないだろうけど、」
デレニス・ツンヴェイル「次に行くパーティーが私達より 絶対に良いトコとは限らないんだから」
デレニス・ツンヴェイル「依頼の報酬をちゃんと 分けてくれない所だったら、 防具の新調も大変じゃない」
クラウス・ネファリウス「・・・・・・・・・・・・」
〇草原の道
〇草原の道
────えっ、
だから何その顔
さっき追放した時もそうだったけど、
どうして別れの際にだけそんな顔するの?
────やっぱり、もしかして
デレニス・ツンヴェイル(クラウスも・・・・・・)
デレニス・ツンヴェイル「・・・・・・」
デレニス・ツンヴェイル「・・・ねぇ、さっきはあんた 何も言わなかったけどさ」
デレニス・ツンヴェイル「次のパーティーに馴染めるかどうか、 不安だったりしないの?」
やっぱり、顔が少し歪んだ。
デレニス・ツンヴェイル「あ、あのさ・・・・・・ もしクラウスがよかったらなんだけど、」
デレニス・ツンヴェイル「わ、私も、 少しの間だけついていってもいいよ」
デレニス・ツンヴェイル「リミカルドや仲間には話つけてさ、 あんたが腰を落ち着かせるまで だけど・・・・・・」
デレニス・ツンヴェイル「・・・・・・じょ、冗談よ冗談!」
デレニス・ツンヴェイル「少しの間とはいえ一気に二人も パーティーからいなくなったら、 流石にあの四人でも先行きがねっ!」
──やっぱりこいつも、
本当はみんなと
一緒にいたいんじゃ・・・・・・
デレニス・ツンヴェイル(・・・・・・)
デレニス・ツンヴェイル「で、でも・・・・・・ クラウスが良いなら・・・・・・」
私・・・・・・!
〇黒背景
〇黒背景
〇黒背景
〇黒背景
〇草原の道
デレニス・ツンヴェイル「みんなに相談してまたパーティーに」
クラウス・ネファリウス「俺がコレをわざと置いていったとは、 考えなかったのか?」
デレニス・ツンヴェイル「・・・・・・は?」
〇草原の道
デレニス・ツンヴェイル「えっと・・・・・・」
デレニス・ツンヴェイル「コレが・・・・・・なに?」
クラウス・ネファリウス「お前なんかから貰った こんなくだらないもの、」
クラウス・ネファリウス「持っていく必要がない」
・・・・・・えっ?
・・・・・・待って、どういうこと!?
今までの流れってなんだったの!?
クラウスが寂しそうな顔をするから、
私から歩み寄ろうと思ってたのに、
またさっきと同じ感じじゃん!
私だけが勝手に盛り上がってたって事!?
いやでも、
さっきまでのコイツの顔は、
全然そんな・・・・・・
・・・・・・
・・・・・・?
クラウス・ネファリウス「ははっ」
デレニス・ツンヴェイル(こ、こいつ・・・・・・ 人の好意をいいことに・・・・・・!)
デレニス・ツンヴェイル「あ、あんたねぇ・・・・・・っ! 本当にいい加減に」
私が怒りを露わにして、
────殴るはないにしろ、
何かしらの行為に
及ぼうとしたのかもしれない、
────その瞬間に
〇黒背景
────ゴォアァァァァアアアッ────
〇草原の道
突然、空が割れんばかりの
轟音が鳴り響いた。
デレニス・ツンヴェイル「なっ、この雄叫びみたいな音・・・・・・ マモノがこんな街の近くに!?」
デレニス・ツンヴェイル「クラウス! 今は力を貸して、一緒に戦っ・・・・・・」
デレニス・ツンヴェイル「・・・・・・えっ?」
────そこに現れた何かに対し、
私は困惑するしかなかった。
── ゴォアァァァァアアアッ──
デレニス・ツンヴェイル「で、でかすぎない・・・・・・? なにこのマモノ・・・・・・?」
デレニス・ツンヴェイル「なんでこんな場所に・・・・・・ 伝説上の・・・・・・ドラゴン?」
まごうことなき、ドラゴンだ。
およそ600年前には存在し、
その生態はもう書物でしかわからない
とされている────
伝説上のマモノ。
その特徴的な外見と、圧倒的な大きさで
誰にでもわかってしまう程度には
伝説の────
デレニス・ツンヴェイル(な、何アレ・・・・・・ ドラゴンって、絶滅したはずじゃ)
デレニス・ツンヴェイル(あ、あんなものが・・・・・・)
デレニス・ツンヴェイル(────空を覆ってたっていうの?)
デレニス・ツンヴェイル「ク、クラウス!!」
デレニス・ツンヴェイル「クラウス、前衛お願い! 流石に今回はやる事やらなきゃ!」
デレニス・ツンヴェイル「じゃないと私たち、 逃げることすら」
クラウス・ネファリウス「勘違いしてもらっては困るが」
デレニス・ツンヴェイル「・・・・・・えっ?」
〇黒
このドラゴンは俺が呼んだんだぞ?
〇草原の道
デレニス・ツンヴェイル「・・・・・・えっ、ちょっと」
デレニス・ツンヴェイル「い、今、そんな冗談言ってる場合じゃ ないでしょ・・・・・・」
デレニス・ツンヴェイル「ね、ねぇ・・・・・・クラウス?」
クラウス・ネファリウス「・・・・・・」
クラウス・ネファリウス「ハァーーーーーーーーーーー・・・・・・」
デレニス・ツンヴェイル「だから・・・・・・ そのため息・・・・・・」
デレニス・ツンヴェイル「・・・・・・なに?」
第三話 コイにドラゴンを呼ばないで
クラウス・ネファリウス「その身を持って証明してやるか」
クラウス・ネファリウス「ハイネ、その女を刻み殺せ」
デレニス・ツンヴェイル「・・・・・・えっ?」