エピソード11(脚本)
〇家の廊下
リビングに向かってゆっくりと歩きながら、拳銃を取り出す赤地。
赤地正男「突然包丁で襲われて仕方なく・・・いや、犯人が人質をとっていたことにすれば・・・でも人質はどう調達するか」
〇L字キッチン
戸村龍也「まいったなー。 いや、まいった、ハハ」
久保田光「殺される、殺される、殺される・・・」
戸村龍也「久保ちゃん」
久保田光「だめだ、殺される、殺される」
戸村龍也「久保ちゃん!」
久保田光「戸村・・・」
戸村龍也「死ぬことより、生きること考えて」
久保田光「・・・・・・」
戸村龍也「今、俺、良いこと言ったね」
久保田光「どう、かな・・・」
戸村龍也「なんか使えるもん、手分けして探そう」
久保田光「う、うん!」
二人は周囲を探し回る。
龍也が台所の棚の上を探すと、マッチの箱を見つける。
戸村龍也「・・・使えそうだな」
久保田光「これ」
戸村龍也「何それ」
久保田光「父さんが趣味で買ったスパイグッズ。 使えるかなって、一つ持ってきた」
久保田光「これは強力な煙玉みたいな・・・火をつけると煙が出る」
戸村龍也「煙玉、マッチ、後は・・・冷蔵庫!」
久保田光「冷蔵庫・・・?」
〇家の廊下
赤地正男「・・・そうだな、面倒なことは殺してから考えよう」
赤地正男「行こう」
〇L字キッチン
コンロの上に置かれている煙玉。
煙玉には、火のついたマッチが米つぶで貼り付けられている。
——次の瞬間。
煙玉に火がつき、大量の煙が吹き出す。
〇おしゃれなリビングダイニング
赤地が拳銃を構えつつ歩く。
すると、キッチンの方向から大量の煙が吹き出してくる。
赤地正男「煙・・・」
〇おしゃれなリビングダイニング
一方、光と龍也は物陰から赤地を見ている。
戸村龍也「もう少しアイツがキッチンの方へ寄ったら、一気に駆け出すよ」
久保田光「うん」
頷いて、鞄の中を探る光。
久保田光「ビリビリペン。外の警官は、これで・・・」
パァン
「!」
久保田光「え」
〇おしゃれなリビングダイニング
煙に向かって銃を構えている赤地。
赤地正男「クソ、クソ、クソが!」
〇教会の控室
赤地正男「ちくしょう、ちくしょう!」
〇おしゃれなリビングダイニング
赤地正男「・・・ハァ、ハァッ」
村木駿「赤地さん、今の」
赤地正男「ぁぁぁ!」
煙に向かって、もう一度発泡する赤地。
村木駿「何やってんすか!」
赤地正男「火事だよ、ちくしょう、殺してやる」
村木駿「赤地さん!」
〇おしゃれなリビングダイニング
久保田光「なんで、あんなに暴れて・・・」
戸村龍也「久保ちゃん、今!」
久保田光「あ、うん!」
もみ合う赤地と村木の脇を駆け抜けて、光と龍也が廊下へと逃げ出す。
〇通学路
戸村龍也「うおー、こえー、死ぬかと思ったー。 超こえー、超きもちー!」
久保田光「こ、こえー」
戸村龍也「え、何か言った?」
久保田光「い、いや、何も」
〇公園のベンチ
ベンチに座ってアイスを食べるふたり。
戸村龍也「後はバレないように祈るしかないよなー」
久保田光「・・・うん」
戸村龍也「大丈夫だって、何かあったらまた、ほら、あれだよ、頑張ればいいんだって」
久保田光「うん、そうだね」
戸村龍也「あ、そろそろ帰るわ。 秀才テレビくん観たいし」
久保田光「うん」
戸村龍也「じゃ、お疲れちゃんちゃん焼きー、シャリシャリ君サンキューな」
久保田光「あ、あのさ」
戸村龍也「ん?」
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