寵姫は正妃の庇護を求む

香久乃このみ

第三話 密やかな攻防戦(脚本)

寵姫は正妃の庇護を求む

香久乃このみ

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〇大広間
  ◆あらすじ◆
  ソウビはテンセイに連れられ
  新たな王ヒナツのための
  祝宴へと向かう。
ソウビ・アーヌルス(おぉう。豪華絢爛・・・。 液晶越しに見る画像とは、 やっぱり違うなぁ)
ソウビ・アーヌルス(攻略キャラ発見!)
ソウビ・アーヌルス(チヨミの義理の弟の ツンデレ騎士タイサイと・・・)
ソウビ・アーヌルス(いつも眠たげでマイペースだけど、 国内随一の魔力を誇る魔導士のユーヅツ)
ソウビ・アーヌルス(テンセイ含む攻略キャラ三人組は やっぱり作画が良い!!)
テンセイ・ユリスディ「ヒナツ王、ソウビ殿をお連れしました」
ソウビ・アーヌルス(おっと、そうだった)
ヒナツ・プロスペロ「おぉ、ソウビ殿! 今宵も見目麗しい!」
ヒナツ・プロスペロ「月すらもソウビ殿の前では その輝きが褪せてしまうなぁ!」
ソウビ・アーヌルス「あっ、はい」
テンセイ・ユリスディ「では、自分はこれで」
ソウビ・アーヌルス(えっ? テンセイ行っちゃうの!?)
ヒナツ・プロスペロ「ソウビ殿。 一番良い席を貴女のために用意した、 さぁ、こちらへ!」
ソウビ・アーヌルス(・・・良い席って、ヒナツの隣かい)
ソウビ・アーヌルス(テンセイと一緒にいたいなぁ・・・)
チヨミ・アルボル「ソウビ姫」
ソウビ・アーヌルス(あぁ、チヨミ来たぁあ! すでに友だち以上の親しみを感じる!)
ソウビ・アーヌルス(なにせ、 チヨミはプレイアブルキャラ。 元は私の分身だからね!)
チヨミ・アルボル「もしここがお気に召さなければ、 別に席を用意しますよ? ご希望はございますか?」
ソウビ・アーヌルス(この場面、 チヨミは前王の娘であるソウビに 気を使うんだよね)
ソウビ・アーヌルス(──ヒナツと違って)
ソウビ・アーヌルス(で、ソウビはこう返す、と)
ソウビ・アーヌルス「姫はおやめください。 私はもう王の娘ではありません」
ソウビ・アーヌルス「王の妃チヨミ様、 どうぞ私のことはソウビと」
チヨミ・アルボル「なら、お互いに敬語はよさない? 私のことはチヨミと呼んで、ソウビ」
ソウビ・アーヌルス「えぇ、チヨミ」
ヒナツ・プロスペロ「おお、 お前たち二人の仲が良くて何よりだ! 今後も上手くやっていけそうだな!」
ソウビ・アーヌルス(うわー、うーわー! ヒナツのこの顔!)
ソウビ・アーヌルス(こっちはクリア済みのプレイヤーぞ? お前が今考えてることなんて、 お見通しだからな!)
ソウビ・アーヌルス(すでに、ソウビを愛妾にする気満々で、 正妃のチヨミと仲良くやっていけそう だと、ご満悦なんだよね)
ソウビ・アーヌルス(まぁ、現時点でヒナツはソウビのこと 『前王とのつながりをアピールする存在』 としか思ってないわけだけど)
ソウビ・アーヌルス(チヨミとは仲良くするけど、 お前と仲良くすると破滅するから嫌だ、 このどすけべ王!)
ヒナツ・プロスペロ「妹君はもうお休みか?」
ソウビ・アーヌルス「えぇ」
ヒナツ・プロスペロ「何か不便はないか?」
ソウビ・アーヌルス(テンセイと過ごす時間が欲しいです)
ソウビ・アーヌルス「・・・別に」
チヨミ・アルボル「・・・・・・」
ソウビ・アーヌルス(あ、チヨミどっか行っちゃう!? やだ、こいつと二人にしないで!!)
ソウビ・アーヌルス「チヨミ! この城のバラ園は私のお気に入りなの。 今から一緒に見に行かない?」
チヨミ・アルボル「え・・・」
ヒナツ・プロスペロ「バラ園か、それはいい! きっとソウビ殿を一層美しく 彩ってくれるだろう!」
ソウビ・アーヌルス「ごめんなさい。 私、今、チヨミと話してるので」
ヒナツ・プロスペロ「・・・・・・」
チヨミ・アルボル「ソウビ、あの・・・」
ソウビ・アーヌルス「あ、このフルーツ美味しい! チヨミ、あなたも食べてみて」
チヨミ・アルボル「あ、ありがとう。 でも、今はお腹いっぱいで・・・」
ヒナツ・プロスペロ「ははは、ならば俺がいただこう! さぁ、ソウビ殿! あ~ん・・・」
ソウビ・アーヌルス「召し上がりたいなら そちらにフォークがありますよ?」
ヒナツ・プロスペロ「・・・・・・」
ソウビ・アーヌルス(あ、やっべ)
  ヒナツを邪険にし続けたため、
  祝宴の場の空気が凍り付いている。
ソウビ・アーヌルス(さすがに、今日の宴の主役を 粗末に扱い過ぎたか・・・)
ソウビ・アーヌルス「あー、えぇと・・・」
ヒナツ・プロスペロ「ふっ・・・クク・・・」
ヒナツ・プロスペロ「ふぁーっはっはっは!!」
ソウビ・アーヌルス(大笑い!?)
ヒナツ・プロスペロ「さすがは前王の娘! その気位の高さがたまらんなぁ!!」
ソウビ・アーヌルス「!?」
ヒナツ・プロスペロ「いいぞいいぞ! ここのところ、俺の周囲には 媚びを売る女ばかりで飽きあきしていた」
ヒナツ・プロスペロ「その蔑むような眼差し、実に心地よい! 氷のごとき口調にはそそられる! さすがは生まれながらの姫君よ!!」
ソウビ・アーヌルス(ドMか!?)
ヒナツ・プロスペロ「成り上がり者に向ける笑みなど 持ち合わせておらんというわけか。 ククク」
ヒナツ・プロスペロ「だがな・・・」
  ヒナツがぐいと顔を近づけ
  私の耳元で囁いた
ヒナツ・プロスペロ「そんなお前を組み敷く日が いずれ来ると思うと、 今から楽しみでならん」
ヒナツ・プロスペロ「俺の下で目を潤ませ頬を染め、 許しを請うお前の顔が早く見たい」
ソウビ・アーヌルス「~~~~っっ!!」
ソウビ・アーヌルス「こんのっ、どすけべ王っ!」
ヒナツ・プロスペロ「はぁーっはっはっは!!!」
ソウビ・アーヌルス(しまった、声に出た)
  とはいえ、
  先ほどまで凍り付いていた場の空気は
  確実に和らいでいた。
ソウビ・アーヌルス(くっ、あのセクハラ野郎、 なんてセリフを! 原作ゲームにはなかったぞ!)
ソウビ・アーヌルス(しかも 担当声優さんと同じ声帯してるから、 無駄にいい声でタチが悪い!)
チヨミ・アルボル「・・・・・・」
ソウビ・アーヌルス(あっ、またチヨミが こっそり姿を消そうとしてる!)
ソウビ・アーヌルス「チヨ・・・!」
  そこで私は思い出す。
  ヒナツがソウビに気を取られているうちに
  チヨミがあるイベントを起こすことを。
ソウビ・アーヌルス(地下牢にいる彼を解放しに行くんだよね。 今は囚われの身だけど 実は隣国の王子であるメルクを)
ソウビ・アーヌルス(だったら邪魔しちゃいけないな。 ・・・となると)
  ヒナツがチヨミの行動に気づかぬように
  私はここでヒナツを
  引き付けておかなきゃならない。
ソウビ・アーヌルス(あーっ! 相手したくないのに! ヒナツに気に入られるわけには いかないのに!!)
  第三話 密やかな攻防戦 ──終──
  
  第四話へ続く

次のエピソード:第四話 おもしれー女

コメント

  • CV付きでリメイク希望ですわ🤣
    (乙女ゲーってこんな感じなのか……)

  • Tapするのが楽しいです。設定の段階で勝利していると思わずにはいれない没入感を味わっています。ネタも効いていて「無駄にいい声」で吹き出しました。

  • 無駄にいい声!

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