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肝臓終わってる人

始まり-4(脚本)

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〇古いアパートの居間
紗季「舞美さん聞いてないわ。 男性の入居者だなんて」
舞美「基本的に部屋が空いていたら、拒まない主義なのは紗季ちゃんも知っているでしょう?」
紗季「苦手なのよ。男性は」
舞美「そう言われてもねえ・・・」
紗季「ただの害虫よ」
真「まだ初日なんでこんなんなら俺は出て行きますよ」
紗季「それがいいわ」
舞美「いやいや待ってよぉ。 困るわぁ」
紗季「もし害虫をこのまま家に放置するのであれば、食事はここで行うというルールを破らせていただくわ」
舞美「それも困っちゃうわぁ」
真「なんすかそのルール」
舞美「ああ、ごめんなさい。 食費と光熱費をいただかない代わりに、 なるべく食事は家族みんなで取りましょうっていうルールなの」
紗季「私は誰かと食事なんて元々嫌いだし、好都合かもしれないわね」
  もっと早く言ってほしいルールだな。
  俺もみんなで食事なんて得意じゃない。
舞美「ね? 紗季ちゃんに事前連絡がなかったのは申し訳ないけど ルールは守ってほしいな・・・」
紗季「とにかく私は男はいらない。 とっとと出て行くか、ルールを変えるかしてください」
舞美「そう言われてもねえ」
  何なんだこの女は。
  さっきから人のこと害虫だのなんだのと。
  物凄く気分が悪い。
  心無しか俺もイライラしてきているのがわかった。
紗季「そう。男はそうやって不機嫌を態度に出すから嫌いなのよ」
真「おめえに言われたくねえ!」
紗季「すぐおめえ、と凄むのも 本当器が小さい男ね」
舞美「もう二人とも辞めなさい! ルールはルール。家主は私です!」
  そりゃそうだ。
舞美「紗季ちゃんだって出ていけない理由があるから、ルールを受け入れてここに住んでいるのでしょう? なら受け入れてください!」
紗季「ふん」
真「本当に彼女が嫌がるなら、俺出て行きますよ。凛のことに関しては、俺の分と合わせてとりあえず二ヶ月分ってことで」
紗季「女とここにきたのね。 この家はホテルじゃないのよ」
真「そんなんじゃねぇよ!」
舞美「いい加減にしなさい!」
  先程とは違う音量で叱られる。
  母親に叱られるというのはこういうことなのだろうか。
紗季「いいわ。一ヶ月は我慢する。 けれどもし私に害があるようなことをするのなら その時は命はないわよ」
  命って
舞美「ごめんね、真くん」
真「いや自分もすみません。 来たばっかで、住まわせてもらってるのにこんな態度で」
紗季「そのような性格なんでしょうよ」
真「もうわかったから、もう黙ってくれよ」
紗季「お前が黙れよ」
  さっそく初日に気が合わない女性が出来てしまった。
紗季「ご飯の時間になったらまた来るわ」
舞美「本当に申し訳ないわ。 もうちょっと交友的だと助かるんだけど・・・」
真「ああいう奴は、人生ああいう風に生きてるもんすから 俺もあんまり売り言葉に買い言葉にならないようにします」

〇古いアパートの居間
  そうこうしているうちに、晩御飯の時間になった。
  凛にはルールのことを伝え、了承してもらった。
  確かにみんなでご飯を、食べるなんて面倒だと思ったが
  よくよく考えれば、食費が浮く。
  今の俺たちには本当に好都合だった。
愛莉「ご飯、運びますよー!」
  キッチンから愛莉が全員分のご飯を運んでくる。
紗季「・・・・・・」
  女は俺を一瞥すると、自分の定位置に座る。
  会話する気はまったくなさそうだった。
愛莉「そういえば、紗季さんと真お兄ちゃんはもう顔合わせされてるんですか?」
真「ああ。最悪の顔合わせだけどな」
紗季「こっちのセリフよ」
  一々ムカつくやつだな。
凛「今日からこちらでお世話になる、凛です。 えっと、紗季(さき)さんでいいんですかね?」
紗季「ふん」
真「おい、人が挨拶してんだろ。 返事ぐらいしろよ」
紗季「私が誰と話そうか決めるのは私の自由。 あなたに関係ないことだわ」
真「礼儀の問題だろ」
愛莉「ま、まぁまぁ。 紗季さんも、凛お姉ちゃんに挨拶したほうが・・・」
紗季「嫌いよ。馴れ合いなんて」
凛「か、家族っていう話じゃなかったのかなぁ・・・・・・」
舞美「さあ、今日は新しい家族も増えて 楽しい食事になりそうね! いただきます!」
愛莉「いただきまーす!」
凛「い、いただきます・・・」
紗季「ふん」
  こいつはいただきますも言わず食べていた。
真「いただきます」

〇木造の一人部屋
  食事と風呂を終えて、部屋で今日の出来事を振り返っていた。
  正直、凛と出会ってから色々ありすぎた。
  俺一人だったなら、こんなことは起きてないわけで。
  凛と一緒にいたから追い出され、変なルールのある家で住むこととなった。
  思い返すと、追い出された家も女性禁止っていう少し特殊なルールだったし
  変わらないといえば変わらないが・・・
  俺、何やってんだろ・・・
  明日は仕事だ。
  考えるのはもうやめにしよう。

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