小鳥遊さん家に、ようこそ!

肝臓終わってる人

始まり-5(脚本)

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〇木造の一人部屋
  変な夢を見た。
  汗がすごい。
  久々に見たな。あんな夢。
  できれば見たくないものだ。
愛莉「おはようございます〜!!」
  愛莉が突然部屋にやってきた。
愛莉「真お兄ちゃん、既にお目覚めでしたか! 朝ご飯の時間ですよ〜!」
真「わざわざ起こしにきてくれたのか。 ありがとう」
愛莉「いえいえ! おはようございます!」
真「ああ。おはよう」
真「制服なんだな」
愛莉「もちろん! 学生ですから」
  えっへん、と胸を張る。
真「そっか。学生は大変だな」
愛莉「勉強苦手なので、ちょっと大変ですけど・・・」
真「俺も勉強はダメダメだ。 今度、凛に教えてもらえ」
愛莉「凛お姉ちゃんに勉強教えてもらえば、私も100点取れるかも!」
  まあ、凛がどれだけの学力を持っているのか俺は知らんが

〇古いアパートの居間
真「おはようございます」
舞美「真くんおはようございます」
凛「真、おはようございます!」
愛莉「皆さんおはようございます!」
  みんなで、朝食を食べる。
  だが、あいつの存在が食卓にはなかった。
真「そういえば、えっと紗季だっけ? あいつはいないのか?」
愛莉「紗季さんは食べる時と食べない時が曖昧なんです。 今日はいらっしゃらないので、寝てるんだと思います」
舞美「そろそろ、みんな学校行く時間じゃない?」
愛莉「あー! やばいです!」
舞美「はい、どうぞ」
愛莉「お母さんありがとうございます!」
愛莉「行ってきまーす!」
舞美「いってらっしゃい。 はい、これ凛ちゃんにも」
凛「え・・・・・・」
舞美「凛ちゃんも学校でしょ?」
凛「わ、私ですか・・・?」
舞美「そうよ。お弁当。お昼ご飯よ」
  凛はどうしたらいいのかわからず、目線をお弁当、舞美さん、俺の順番で見つめる。
舞美「あ、ごめんなさい。 苦手なものあったかしら。 聞いとくべきだったよね」
  凛はまだ暖かいお弁当箱を手に取る。
  凛の瞳には一粒の涙。
舞美「あらやだ、やっぱり何か苦手なもの入ってたかしら」
凛「ううん、大丈夫、好きなものいっぱい、です」
  何度も流れる涙を制服の裾で、拭いている。
  それでも止まらなくて。
凛「嬉しい・・・ お弁当だなんて初めてだったから」
舞美「よかった。 学校行けそう?」
凛「行きます。 せっかく”お母さん”がお弁当作ってくれたんですもの。 ちゃんと、行きます」
舞美「いってらっしゃい」
凛「行ってきます」
  俺は凛のことをよく知らない。
  どうして、家に帰らないのかなんて聞いていないし、聞く気もない。
  けど、お弁当と母親の暖かさが少しでも凛の気持ちを動かしていたのは確かだった。
舞美「真くんはお仕事かしら?」
真「自分は夕方ぐらいに仕事行きます。 それまでは寝てようかな」
舞美「そう。 昼食は?」
真「夜の仕事なんで、じっくり睡眠を優先します。 申し訳ない」
舞美「いいのよ。もしお腹空いたら、声かけてね」
  これが母親の暖かさなのだろうか。
  俺にはわからない。
  けど、何故か穏やかな気持ちになれたのは事実だった。

〇木造の一人部屋
  結構寝たな。
  そろそろ仕事行かなきゃいけない時間だ。
  慣れない場所だと思ってはいたが、意外とぐっすり眠れるものなんだと
  なんだか感心。
  よし、行くか

〇ジャズバー
  俺が働いているのは、女の子がお酒を作って飲んで接待するお店だ。
  所謂、ボーイってやつなんだが。
  役職をもらっていて少し偉い。
オーナー「あれ、まこっちゃん 機嫌良さそうだね」
真「別に普通っすよ」
オーナー「そー? 俺にはすごく機嫌良さそうに 見えるけどなあ」
真「いつも通りっす。 つか、仕事中っすよ」
  このオーナーはいつもサボる。
  まあ、オーナーだからいいのかもしれないが、たまに邪魔だ。
オーナー「いいじゃないか。俺と親睦深めようぜー!」
真「今日はお客さんぼちぼちなんで、あれっすけど 混んでる時マジやめてくださいね」
オーナー「もー。仕事なんてテキトーテキトー」
真「ならオーナーがやらなきゃいけない面倒くさいこと、全部テキトーでいいんすね」
オーナー「それはご堪忍を〜〜! その分給料あげてるじゃなぁい〜」
真「じゃあ、仕事するんで」
  オーナーにはお世話になっている。
  俺が高校を卒業してすぐ、働き口がなくて困ったところを雇ってくれた。
  あの人には一生頭が上がらない。
  恩は返さないとな。

〇木造の一人部屋
  帰ってくるのは夜中なので、なるべく音を立てないように部屋に戻る。
  このまま寝よう。
  明日も仕事だ。

〇黒
  ・・・・・・・・・
  ・・・・・・
  ・・・

〇木造の一人部屋
  Telllllllllll
  電話が鳴る。
  時刻は朝方。
  まだ陽も昇っていない時間帯だった。
  携帯画面に映し出される名前は、店のキャスト(女の子)だった。
  俺が新人時代に担当していた女の子。
  とりあえず店のこともあり、電話に出た
「『もしもしぃ。真ぉ。むかえきて〜』」
真「どうしたよ。アフターか?」
「『そぉ。もう無理ぃ。むかえきて』」
真「担当はどうしたよ?」
「『わかんなぁい。真ぉ。来てぇ』」

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