〇東京全景
　　2011年──東京

〇商店街
？？？「俺は！」

〇寂れた雑居ビル
？？？「この不条理を・・・!!」

〇古書店
絢斗「否定する!!!」
絢斗「ゴホッゴホッ!!」
？？？「ああ〜ん!? 等々力（とどろき）!!」
大山 さち「あんた、また依頼品ぶっ壊したの!?」
絢斗「直せるか、こんな物!!」
絢斗「だから俺は科学者であって修理屋ではないと・・・」
大山 さち「文句言ってる暇があったら手ェ動かしな！」
大山 さち「このままだと今月は弁償代でお給料ナシだよ!!」
絢斗「くっ・・・!! 不条理だ・・・」
大山 さち「ワケあり親子二人をタダ同然の家賃で住まわせてやってるんだ、我慢しな！」
？？？「ただいま〜!!」
大山 さち「あら、ヨウちゃんおかえり」
絢斗「お、おう」
遥太(ようた)「ただいま！ さっちゃん、あっくん！」
遥太(ようた)「・・・って、あっくん、またやっちゃったんだね」
遥太(ようた)「ごめんね、さっちゃん すぐ片付けるからね！」
大山 さち「いいのよ、ヨウちゃん 不甲斐ないパパ持って大変ね〜」
大山 さち「まったく誰に似たんだか ホントいい子よね〜」
絢斗「・・・」

〇黒
　　俺と遥太が出会ってから半年が経っていた
　　30年後の未来から来た俺は、本来存在するはずのない人間・・・
　　それに、この時代に干渉することは可能な限り避けるべきだった
　　そして、俺たちはワケありの流れ者でも住まわせてくれるというこの強欲女・・・
　　もとい・・・親切な大家殿のもとにたどり着いた
　　俺は行方不明だった遥太の父、『等々力』絢斗と名乗り・・・
　　大家の経営する怪しい修理屋で日銭を稼いでいた

〇寂れた雑居ビル

〇古いアパートの部屋
絢斗「すまんな・・・こんなので」
遥太(ようた)「・・・っ!?」
遥太(ようた)「い、いいんだよ！ こういうの好きだから！」
遥太(ようた)「今度からお夕飯も僕が作ろうかな！ お料理好きだし！」
絢斗「す、すまん・・・」
絢斗（幼いのに出来た子どもだな・・・）
絢斗（こうしてると、やはりこいつがイオ姉ちゃんを殺すとは到底思えん・・・）
絢斗（やはり他に真犯人が・・・？）
遥太(ようた)「あっくん・・・？ なんか怖い顔してるよ？」
絢斗「あ、ああ ちょっと仕事のことで考え事だ」
遥太(ようた)「そっか、大変だよね」
遥太(ようた)「いつもありがとう！」
絢斗「・・・」

〇寂れた雑居ビル

〇古いアパートの一室
遥太(ようた)「スー・・・スー」
絢斗「・・・」
　　等々力遥太殺害による鳴海イオ放火殺人阻止計画
絢斗（情にほだされて目的を見失うなよ、 時任絢斗・・・）
絢斗（こいつが犯人であることが濃厚になった時点で速やかに殺す・・・）
絢斗（もう二度と、イオ姉ちゃんを死なせる訳にはいかないんだ・・・！）
絢斗（さて・・・ 明日も早いしそろそろ休むか）
遥太(ようた)「・・・」
遥太(ようた)（あっくん、 また怖い顔してあの紙読んでたな）
遥太(ようた)（何が書いてあるのかな？ あれが『考え事』？）
遥太(ようた)（あっくんって・・・）
遥太(ようた)（なんで見ず知らずの僕を助けて、 しかもこうして面倒見てくれるんだろう？）
遥太(ようた)（あっくん・・・）
　　いったい、誰なの──？

〇寂れた雑居ビル
　　翌日──

〇古書店
大山 さち「等々力〜 今日の依頼品は太客のだからな？な？な!?」
絢斗「わかってるさ 優秀な科学者は１回の失敗を糧にし、 決して無駄にしない」
絢斗「同じ失敗を繰り返すのは科学者ではない ただのアホってやつさ」
大山 さち「そんだけ自信があるなら大丈夫そうだな」
大山 さち「お、店に電話だ じゃあ頼んだぞ！」
絢斗「ふっ、余裕だな まずは・・・」
大山 さち「ちょっと、等々力！ ヨウちゃんの学校の先生から電話！」
絢斗「なんだ、忙しいときに」
絢斗「等々力遥太の保護者だ 給食費なら今月は・・・」
絢斗「・・・は!!?」
大山 さち「等々力・・・ どうやらテメーはアホの方だったみてぇだな!?」
絢斗「・・・それは本当なんだろうな!? 本当に遥太が・・・」
大山 さち「・・・!? ヨウちゃんに何かあったのか!?」
絢斗「あいつ・・・遥太が」
絢斗「クラスメイトに暴力を振るったと・・・」
大山 さち「・・・!! あのヨウちゃんが!?」
絢斗「・・・」

〇血しぶき
　　表面上は賢くて穏やかな性格に見えるが・・・
　　その内面には利己的かつ暴力的な衝動を秘めている・・・
　　サイコパス犯罪者の典型的な例・・・か

〇古いアパートの一室
絢斗（こいつが犯人であることが濃厚になった時点で速やかに殺す・・・）

〇街中の公園

〇古書店
絢斗（速やかに・・・）
　　殺す・・・