ひずむ回転木馬

香久乃このみ

第四話 選ばなかった道(脚本)

ひずむ回転木馬

香久乃このみ

今すぐ読む

ひずむ回転木馬
この作品をTapNovel形式で読もう!
この作品をTapNovel形式で読もう!

今すぐ読む

〇黒
  前回の文は子育てに振り回されて、
  夢に挑戦する暇がなかった
直之(なら、子どもを作らなきゃいい。 簡単なことだ)

〇ダイニング(食事なし)
「ねぇ、文さん。 いつになったら孫を抱かせてくれるの?」
文「すみません・・・」
「昔なら二年も出来なければ 実家に帰されていたのよ? 私は待っててあげてるけど」
文「でも、あの、 直之さんがまだいいって・・・」
「いいわけないでしょ。 いつまでも若くはいられないんだから」
文「・・・・・・」
「嫁としての役目 サボらないでちょうだいね!」
文「・・・・・・」
直之「電話、母さんから?」
文「うん・・・」
直之「ほんとうるさいよなー。 あんなの無視でいいから」
文「無視なんて・・・。 ナオ君から言ってくれない? 作る気がないのは自分だって・・・」
直之「いや、一応言ってるよ、俺も。 俺に言っても仕方ないから 文に言ってるんだろうな」
文「・・・・・・。 子ども、私もそろそろほしいな」
直之「は?」
文「・・・!」
直之「子どもなんていたら、 自由な時間が無くなるだろう? 文が物語を書く時間も消えるぞ?」
文「だけど・・・。 お義母さんが毎日毎日・・・」
直之「母親の言いなりで作った子どもに 文は愛情注げる? 俺らには俺らのペースがあるだろ?」
直之「さ、部屋に戻って執筆の続きしな。 文はミリオンセラー作家にならなきゃ ならないんだから」
文「あの、でも・・・。 私もたまには買い物に出かけたり、 体を動かしたりしたい・・・」
直之「家事なら俺がやっておくから、 お前は書けよ。 ほら、専用の部屋まで用意してやったろ?」
直之「コンテストで章を取るまで 部屋から出て来なくていいぞ。 俺が世話してやるからなー」
直之「お前は書くことだけに集中しろ」
文「・・・・・・」
直之(やー、俺って 尽くす夫として最高じゃない?)

〇黒
  だが、
  またも文はいつまで経っても
  『悠城あこや』として開花しない。
  それどころかうつ病と診断され、
  寝込むようになってしまった。
直之(なんでだよ!? 好きなだけ執筆できる場所も 時間も用意してやったってのに!)
直之(なんで俺と結婚すると、 あいつは努力しようとしないんだ!?)
直之(くそっ、何がうつ病だ! やってられるか!)

〇ダイニング(食事なし)
  そんなある日、
  同窓会の案内はがきが届いた。
直之(茉莉と夫婦だった時に 届いたものと同じはがきだ)
直之(そうか・・・、 このルートを選んでから もう15年も経ってしまったんだな・・・)
直之「あの時、 同窓会で会った『悠城あこや』は なんだったんだ・・・」
直之「おい、文。 同窓会の案内来てるけど どうする?」
「・・・・・・」
直之「わかったよ。 俺一人で行ってくるからな」

〇セルリアンタワー東急ホテル

〇ホテルのレストラン
  ──市内ホテル──
直之(『雛丘中学同窓会』ここか)
直之(このルートでも結構 人来てるな)
一也「もしかして、直之か? 久しぶりだな!」
直之「おぅ、一也! 継雄も! 元気そうだな」
継雄「まぁな」
一也「嫁さんどうした? 雪屋だろ? 今日連れてこなかったのか?」
直之「あぁ、なんかうつ病? ってやつになったらしくて。 ずっと布団から出て来ねぇんだわ」
継雄「そりゃ大変だなー」
直之「ん? なんかあの辺、人だかりできてんな?」
直之(元のルートじゃ、 あそこに立っていたのは 『悠城あこや』だったんだけどな)
一也「それがさ、来てんだよ! あのMATSURIが!」
直之「MATSURI?」

このエピソードを読むには
会員登録/ログインが必要です!
会員登録する(無料)

すでに登録済みの方はログイン

次のエピソード:第五話 新たな選択

コメント

  • 直之のどうしようもなさが際立つ第四話ですね。本人がダメ男を発揮するのはいいのですが、パートナーまでダメにしてしまうとは。。。なるべくしてなった逮捕劇、最終話が楽しみになります。

  • 直之はもはや、歩く厄災みたいになってますね((( ;゚Д゚)))怖い💦

  • 主人公はどうでもいいけど、被害者が可哀想すぎるのでタイムリープして欲しい……!😱
    次回結末なんですね。楽しみにしています。

コメントをもっと見る(4件)

ページTOPへ