樹が熟し、実を結ぶ迄

ふじのきぃ

第二話 麗しき狩人(脚本)

樹が熟し、実を結ぶ迄

ふじのきぃ

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〇黒
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  冒険を再開します。

〇電脳空間
電脳神「しがらみ──其れは、 人間の業によって生み出された、悪意」

〇荒廃した街
電脳神「戦争、核兵器、環境破壊、詐欺、凌辱、 恐喝、人権侵害、反社会的行為・・・」
電脳神「他人を傷付け、騙し、陥れ、絶望させ、 死に至らしめる"狂気"」
電脳神「私は其れらを完全に削除(デリート)したい」

〇神社の石段
電脳神「そこで君達に協力してもらいたいのだ」

〇海底都市
電脳神「各世界に聳(そび)える"樹"を育て、 熟させ、華を咲かせよ」

〇荒廃したショッピングモールの中
電脳神「其の華はやがて実となり、 君達の世界が結束されるだろう」

〇睡蓮の花園
電脳神「君達の行手を阻む魔物── 凶鬼(キョウキ)を断罪し、 樹の成長を促すのだ!」
電脳神「断罪によって得た経験値は、 君達の糧であり、樹の糧でもある!」

〇赤いバラ
電脳神「この世界── コーネリアズ・コネクト・ワールドは」
電脳神「真の平和の象徴であり、 我々は今、第一歩を踏みしめている」
電脳神「そう── 君達は選ばれた」
電脳神「サービス停止したにも関わらず、 アプリケーションを大切に保管していた 数少ないユーザー達」
電脳神「現実世界の誰もが成し得なかった平和を、 共に築き上げよう!」

〇電脳空間
  新着メールが1件 届きました。

〇森の中
ユカリナ(このメール・・・)
ユカリナ(さっきの映像が再生されるみたい)
ユカリナ(メールは全プレイヤーに行き届いているはず)
ユカリナ(イツキは──どう思うのかな)
???「悩んでる顔してるコネ?」

〇木の上
???「とう!」

〇森の中
ネコ「にゃくち!(着地)」
ユカリナ「あ! コネコネッコだ!」
コネコネッコ「いかにも。 コネは"樹"から生まれ出でし猫であり、 プレイヤーを導くガイド猫」
コネコネッコ「"コネコネッコ"だコネ!」
ユカリナ「丁度よかった!」
ユカリナ「ねえ、コネコネッコ。 イツキを私の家に連れてってほしいの」
コネコネッコ「もちろんだコネ! 君のベッドに寝かせておくよ」
ユカリナ「お願いね!」
コネコネッコ「こねこねこね〜・・・」
コネコネッコ「転送完了コネ〜♪」
ユカリナ「ありがと〜!」
コネコネッコ「君たちのガイド猫だもん。 お安い御用コネ!」
コネコネッコ「それじゃあ、ひと足先に行ってるよ」
コネコネッコ「・・・いよいよ、旅立つ時だね」
コネコネッコ「彼に、ちゃんと話せる? この世界の仕組みの事を」
コネコネッコ「そして──君自身の事も」
「うん。分かってる」

〇空

〇森の中の小屋

〇森の中の小屋

〇貴族の部屋
コネコネッコ「ほっぺをこねこね・・・」
イツキ「むにゃ・・・あかん、あかんて・・・」
コネコネッコ「そろそろ起きるコネ〜」
イツキ「これが、むにゃ・・・ 俗に言う、世界の・・・」
コネコネッコ「世界のこねこね〜」
イツキ「世界の、こねこね・・・」
イツキ「こねこね──」
イツキ「こねこねダブリュー!?」
コネコネッコ「やっと起きたコネ!」
コネコネッコ「もう、にくきゅーが疲れちゃったコネよ」
イツキ「ここは・・・どこなんやろ?」
イツキ「それに、お前──コネコネッコか?」
コネコネッコ「いかにも。 コネは樹から生まれ──以下こねこね」
コネコネッコ「ここは、ユカリナのお家だよ」
イツキ「ユカリナの、部屋っちゅう事か?」
イツキ「ほんなら、俺が寝ているベッドって──」
コネコネッコ「鼻の下が伸びてるコネ〜」
イツキ「なっ!? ち、違うわい!」
イツキ「ただ、気ぃ失ってもうてたとはいえ、 ここまで運んでもろうて、 申し訳ないというか・・・」
コネコネッコ「・・・運んだの、コネだよ?」
イツキ「お前かい!」
コネコネッコ「『申し訳ない』って思ってくれてるコネ?」
イツキ「ぐぬぬ、 ぐうの音も出ぇへん・・・」

〇暖炉のある小屋
イツキ「そういえば、ユカリナはどこに?」
コネコネッコ「あの子なら、早朝に森へ出かけたコネ」
イツキ「森へ? どないしたん?」
コネコネッコ「君にごちそうを振る舞いたいんだってさ」
イツキ「それは楽しみやなあ・・・!」
コネコネッコ「行ってみるかい?」
イツキ「もちろんや!」

〇森の中の小屋
イツキ「なあ、俺ってどのくらい寝てたん?」
コネコネッコ「丸一日ってとコネ」
イツキ「うへぇ、どうりで腹ペコなワケやな」
イツキ(ん? ゲームの世界なのに腹減るのか)
イツキ(なんや、不思議やな)
コネコネッコ「それじゃ、探索モードに移行するコネ!」
コネコネッコ「こねこね〜」

〇山中の川
イツキ「綺麗な川やなぁ!」
コネコネッコ「ここは水浴びもできるし、 水はそのままでも飲めるコネ」
イツキ「ホンマか! 丁度ノド渇いてたんや!」
イツキ「ぷは! 生き返るわー!」
コネコネッコ「いい浴びっぷりだコネ!」
コネコネッコ「ひと息ついたら、探索再開コネ!」

〇森の中
イツキ(思い出すなあ)
イツキ(クエストや水イベント探索で 画面を指でコネコネしてたっけな)
イツキ(水イベ・・・ スタミナ回復にどんだけ水使ったやろ? 懐かしいわ──)
コネコネッコ「着いたコネ!」
イツキ「ここって、たしか──」
コネコネッコ「君のギルド、ユーカリツリーの場だよ」
イツキ「なるほどな」
イツキ「てか、なんや寒うないか?」
コネコネッコ「しっ・・・静かに」
コネコネッコ「彼女、狩りをしているコネ」

〇白
  どうか──安らかに
  いただきます

〇森の中
イツキ(あれは冬の季節の──)
  スキルの発動を視認。一時取得しました。
  【ウィンター・アロー】
  水属性/威力:特大/回数:残1/凍結付与
イツキ(覚えてしもうたわ・・・一回きりやけど)
イツキ(ユカリナ・・・ こっちの姿も、めっちゃ綺麗やなあ)
イツキ(それに、優しい子やな)
コネコネッコ「お見事コネ!」
ユカリナ「イツキ! コネコネッコ! 来てたんだ!」
ユカリナ「えへへ、 ヘンなところ見せちゃったね」
ユカリナ「そ、そういえばイツキ、この世界に来てから この姿見せたのって初めてだよね!」
ユカリナ「似合ってる・・・かな?」
  →似合ってる
  →似合ってる
  →似合ってる
イツキ「ごっつう、似合うてるで!」
ユカリナ「今、顔ヘンかも」
コネコネッコ「はーい! のろけ話は捏ねくり回すコネ!」
コネコネッコ「コネ達もう、お腹ぺこぺこだコネ〜」
ユカリナ「そうだったね! ごめんごめん!」
ユカリナ「山菜も果物も採ったし、」
ユカリナ「お家でごちそうを作るとしますか!」
「さんせーーい!」

〇森の中の小屋

〇暖炉のある小屋
イツキ「はー、腹いっぱいやで〜」
イツキ「鹿肉って歯応えあるイメージやったけど、 柔らこうて食べやすかったなあ」
ユカリナ「フルーツと山菜で煮込んだからね。 酵素で肉質を柔らかくしたの」
イツキ「鹿肉シチュー、 めちゃめちゃ美味かったでえ!」
ユカリナ「やったー♪」
コネコネッコ「ユカリナは 料理スキルのレベルが最大だからコネ!」
ユカリナ「レベル5まで熟練度上げるの、 大変だったんだから」
イツキ「熟練度かあ。 やっぱりどのスキルにも付きものなん?」
ユカリナ「うん。経験値みたいなものね。 アクティブスキルもパッシブスキルも、 最大レベル5までなの」
コネコネッコ「補足だけど、 アクティブスキルは任意で発動。 パッシブスキルは常時発動するコネ!」
ユカリナ「それと、以前話した固有スキル── マイナースキルなんだけど」
ユカリナ「私のように、 複数の固有スキルを持つ者も居るの」
ユカリナ「あ、でも料理スキルは コモンのパッシブスキルね!」
コネコネッコ「個人のみの所持スキルを固有(マイナー)、 それ以外は共通(コモン)と呼んでいるコネ」
イツキ「なるほどなあ。 そんなら俺のスキルはどっちになるんやろ?」
ユカリナ「メニューを開いてみて。 スキルの詳細が見れるよ」
イツキ「おっと、そうやったな。 なかなか慣れへんわ」

〇電脳空間
イツキ「どれどれ・・・」
  【ラーンイット・ウィズバディ】
  分類:マイナーパッシブ(MP)スキル
  他者のアクティブスキル(マイナー含む)を
  視認または体感する事で、
  そのスキルを取得し、使用可能になる。
  但し、視認の場合は回数制限があり、
  使い切ると取得したスキルは消失する。
  使用回数は、他者スキルのレベルが高ければ高いほど少なくなる。
  一方、体感の場合は他者スキルを
  自ら受ける事で永久的に取得する。
  但し、取得するには
  ラーンイット・ウィズバディのレベルが
  他者スキルと同等か上回っている事が条件。

〇暖炉のある小屋
イツキ「なるほど・・・ 上級者向けのスキルっちゅうワケか」
イツキ(視認はローリスクで回数制限。 体感はハイリスクで永久取得──か)
イツキ(そんで、今俺が持ってるスキルは──)
  【ボス・インパクト】
  分類:マイナーアクティブ(MA)
  【ウィンター・アロー】
  分類:マイナーアクティブ(MA)
  回数:残1
ユカリナ「わー、私のアクティブスキル覚えてるんだ!」
イツキ「ああ。 狩りの時に"視て"取得したんやろな」
コネコネッコ「でも一回きりのようだから、 使いどころは慎重にコネ?」
イツキ「みたいやな・・・肝に銘じておくわ」
イツキ「あ、あとMPとかMAってなんやろ? スキルに付いてたんやけど」
ユカリナ「マイナーパッシブ(MP)と、 マイナーアクティブ(MA)ね! 頭文字で略す時に使われるの」
コネコネッコ「コモンパッシブは(CP)、 コモンアクティブは(CA)で略すコネ!」
イツキ「勉強になるわ〜!」
ユカリナ「さて、お腹いっぱいになったし、 明日に備えてもう寝ましょう」
イツキ「そやな。 俺も満腹なったから眠くなってきたで」
コネコネッコ「それじゃ、コネはデータの中に戻るよ」
コネコネッコ「用があったらいつでも呼ぶコネ!」

〇空

〇貴族の部屋
イツキ(・・・・・・)

〇森の中
ゴブリンボス「ゴブワアァァッ!!」

〇貴族の部屋
イツキ(あのゴロツキ・・・ なんでこっちの世界に居たんやろ?)
イツキ(しかもゴブリンの親玉になってたし──)
  コン、コン・・・
ユカリナ「イツキ、起きてる?」
イツキ「ユカリナか? 入ってええで」
ユカリナ「ありがと。 お邪魔しまー・・・す」
ユカリナ「夜分遅くに、ごめんね?」
イツキ「ええで。 てか、姿戻ってもうたな」
ユカリナ「うん。"グロウアップ"と固有パッシブの 効果で一時的に成長してたから」
  【グロウアップ】
  分類:コモンアクティブ
  範囲:自身/効果:攻撃,守備,素早上昇(小)
イツキ「"グロウアップ・メタモルフォーゼ"・・・ ユカリナの固有パッシブの一つやな」
イツキ「グロウアップと同時に 発動出来る特殊なスキルやったような・・・」
ユカリナ「そうなの。特定のスキルを取得してないと 発動しない難しいスキルなんだ」
ユカリナ「でもでも、さっきの時間まで 長く変身してたのは初めてかも!」
ユカリナ「イツキが居たから、 身体が張り切っちゃったのかな?」
イツキ「俺のおかげ? なんや照れてまうやろ〜」
イツキ「そや、なんか用があって来たんやったな」
ユカリナ「そうだった!」
ユカリナ「あのね? ちょっと言いにくいことなんだけど」
ユカリナ「メニューを開いたら、 メールのアイコンをタップしてみて?」

〇黒背景

〇貴族の部屋
イツキ「俺が気絶してる間に、こんな事が・・・!」
イツキ「コイツが、 現実世界をブッ壊してもうたんか・・・!」
ユカリナ「うん・・・」
イツキ「それじゃあ、電子化って? つまりデータの状態っちゅう事か?」
イツキ「他の人達は? 俺の家族は? イトコは? 知り合いは!?」
ユカリナ「イツキ、怖いよ・・・!」
イツキ「はっ! すまん・・・我忘れてしもうてた」
ユカリナ「ううん、私こそ・・・」
イツキ(電脳神、コーネリア・・・)

〇赤いバラ
イツキ(確か設定では、こねこねWの創造神やったな)
イツキ(バラの花言葉を象徴した存在で、 結局サ終しても正体が解らんままだったんや)

〇赤いバラ
電脳神「私は其れを可能にする」

〇貴族の部屋
イツキ(ヤツの背景──青いバラのように見えたな)
イツキ(花言葉は確か『夢』とか、 『不可能を可能にする』やったな)
イツキ(つまり、『現実世界を電子化し、ソシャゲの世界を創成した』と言うんやな)
イツキ(一体、どうやって・・・?)
ユカリナ「イツキ、大丈夫?」
イツキ「・・・決めたで」
イツキ「俺、電脳神んトコに行くわ」
イツキ「ゴブリンみたいな魔物を倒して 経験値積んだら樹(ギルド)も育つんやろ?」
イツキ「ほんなら、 この樹界に留まってもしゃあないしな」
イツキ「行って、 ヤツの真意を確かめたろうやないか!」

〇空

〇児童養護施設
  【ドライアド族の村】
  ここは、植物を愛する種族・ドライアド達が
  暮らす長閑(のどか)な村。
  この樹界『ブレスオブグリーン』が
  青々と生い茂っているのも、彼らの恩恵が
  あってこそだと云われている。

〇霧の立ち込める森

〇児童養護施設
村人「ゴブリンが出たぞーーっ!!」
村人「きゃああっ!!」

〇黒
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  To be continued...

次のエピソード:第三話 凶鬼

コメント

  • ゲームの世界が現実になる設定すごく好き💕
    本当にゲームのイベントを見ているようで楽しい。
    電脳神や色々なキャラクターが出てきてこの先が楽しみです。
    コネコネッコの肉球でコネコネされたい🐱

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