第二話 ループ(脚本)
〇洋館の階段
直之「!?」
直之「あれは・・・!」
〇ホテルのエントランス
文「おまたせ、ゆっきゅん。 迎えに来てくれてありがとう!」
実幸「僕は文の夫だからね。 可愛い妻に 夜歩きさせるわけにはいかないよ」
直之(夫!? 妻!?)
文「ふふ、優しい。 ゆっきゅん大好き」
実幸「ぼくも。 同窓会は楽しめた?」
文「うん、懐かしい顔に会えたよ」
実幸「良かったね」
直之(何だあの男。 頭のてっぺんから足の先まで 高級品でかためてやがる)
直之(雪屋の稼ぎで買ったのか!? 有名人の妻と、贅沢な品が あんな冴えない男の手に!?)
直之(ふざけんなよ! 雪屋は元々、俺のことが好きだった!)
直之(雪屋もその金も、俺のものだ!)
直之(くそっ、なんで俺はあの時 茉莉を選んじまったんだ!)
直之(あの時に戻って、やり直せたら!!)
ギリギリと歯噛みしながら、
一歩踏み出した時だった。
足の下から床の感覚が消えた。
直之(え・・・?)
〇黒背景
俺はそのまま重力に従い
階段を転げ落ちて行った。
〇黒
〇教室
一也「なぁ雪屋、 お前直之のこと好きって本当かよ!?」
直之(えっ? ここは・・・)
文「!? どうして、それを・・・」
直之「・・・!!」
直之(俺が、 みんなの前で雪屋をふった日!?)
継雄「おい、マジだぜ! どうする、直之?」
直之(まさか・・・時が戻った!? 俺がやり直したいって願ったから?)
直之(そんなことってあるのか!?)
茉莉「直之ぃ、 あの子、あぁ言ってるけど、どうする? 嬉しい?」
直之「・・・!」
直之(正しい選択をしろ! ここは『運命の分岐点』だ!)
直之「すっげぇ、嬉しい!」
一也「は?」
継雄「え?」
文「・・・!」
直之「俺も、 ずっと雪屋のこと好きだったから。 雪屋の気持ち、嬉しいよ」
文「・・・・・・」
直之「雪屋、俺の彼女になってくれる?」
継雄「・・・・・・」
一也「・・・・・・」
茉莉「ねぇ、直之、やりすぎだよ? そんな冗談言って、 オタクちゃんが本気にしちゃったら どうすんのよ」
直之「は? 俺は本気で言ってるが?」
茉莉「はぁ!?」
一也「直之、その辺にしとけって。 お前、こんなかわいい彼女がいんだぞ? なぁ、茉莉ちゃん」
茉莉「・・・・・・」
直之「じゃあ、一也 茉莉はお前の彼女にしていいぞ。 俺は、雪屋を選ぶ」
一也「お、おい、 直之・・・」
茉莉「なによ・・・、」
茉莉「なによそれぇええ!!」
茉莉「雪屋! あんた直之をどうやって騙したのよ! このビッチ! 私の彼氏を!!」
文「わ、私は何も・・・」
直之「よせ、茉莉。 雪屋は何も悪くない!」
直之「俺が、俺の意思で お前でなく雪屋を選ぶんだ!」
茉莉「酷いよ、こんなの、いきなり! うわぁあああああん!!」
直之(当然だろ)
直之(子育てでヨレヨレになるだけの女より、 有名人になる女の方がいいに決まってる)
直之(これで悠城あこやの夫の地位も こいつが稼ぐ金も俺のものだ!)
〇黒
俺は雪屋文と同じ高校に進学した。
文は俺のプロデュースで
あか抜け美しくなり、
文才も開花させていく。
俺は勝利を確信していた。
──だが
〇大学の広場
直之「文、誰だよそいつ・・・」
実幸「あ、どうも、初めまして」
文「同じ学部の本庄実幸くん。 すごく読みやすくて きれいな文章を書く人なの」
文「いつも勉強させてもらってるんだ」
実幸「何をおっしゃる。 こちらこそ雪屋さんの文章には 本当にいい刺激をもらってるよ」
文「ふふ、本庄君に褒められると ちょっと恥ずかしいな。 でもすっごく嬉しい」
直之「・・・・・・」
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いやー、直之は考えられる最上級のクズですね。お見事と言ってしまいたくなるくらいw ループして最低なことをしても思い通りにならなかった彼、これからどんな目に遭うのか楽しみ(?)です!
この先主人公にどんな事が起こっても、後味の悪さを感じずに読める気がしてきましたw
なんか、舌切り雀とか花咲かじいさんとかこぶとりじいさんで出てくる欲深キャラを思い出しました。
ここまでクズだといっそ爽快、みたいな変な感覚ありますね!