エピソード7(脚本)
〇玄関の外
夏川乙女「突然、なんのつもり?」
星桐彦「いや、だから」
夏川乙女「仲間なんかいらないって、私、言ったわよね?」
星桐彦「だ、だから、仲間じゃなくて友だちに」
夏川乙女「どっちもお断りよ」
星桐彦「なんで!」
扉を閉めようとする乙女。
桐彦、足を挟み込んで止める。
星桐彦「ちょちょちょ、待って!」
星桐彦「だって、委員長だけなんだよ!」
夏川乙女「大きな声出さないでよ。近所迷惑」
星桐彦「委員長のほかに、誰もいないんだ!」
夏川乙女「だから何よ。関係ないでしょ」
星桐彦「俺、平穏を取り戻したいんだよ! 元に戻したいんだ!」
夏川乙女「どうやって? たった二人じゃ何もできないわ」
星桐彦「そんなの、わかんないだろ! 二人なら・・・」
「乙女ちゃん?」
夏川乙女「お母さん」
星桐彦「あ、夜にすみません」
「明日、引越屋さんも早いんだし、名残惜しいのはわかるけど、そろそろね」
夏川乙女「もう、帰ってもらうところよ」
星桐彦「引っ越し?」
星桐彦「委員長、引っ越すの? どこに?」
夏川乙女「・・・イギリス」
「まあ、言ってなかったの? もう明日なのに」
星桐彦「明日?」
夏川乙女「・・・そう、明日」
夏川乙女「そういうことだから、〝さようなら〟」
扉を閉める乙女。
星桐彦「引っ越しか・・・」
〇一軒家
〇学生の一人部屋
星桐彦「5、4、3、2・・・」
〇学校の屋上
うわぁ!
5日目
姫路伊織「いたた・・・」
星桐彦「くそー、わかってるのになー」
バタンッ
扉に向かう桐彦。
姫路伊織「桐彦?」
星桐彦「え? あ、そうだ。大丈夫か? 怪我はないよな」
姫路伊織「うん、大丈夫だけど・・・」
星桐彦「繰り返してると、雑になってくるな」
姫路伊織「桐彦こそ、大丈夫?」
星桐彦「ああ、俺は・・・って、ゆっくりしてる暇ないんだった!」
星桐彦「また逃げられる!」
姫路伊織「桐彦! 待って!」
〇階段の踊り場
星桐彦「おわ!」
夏川乙女「わ!」
ぶつかる二人。
夏川乙女「・・・・・・」
階段を駆け下りる乙女。
星桐彦「あ、また逃げる! 待てってば!」
夏川乙女「待つわけないでしょ!」
星桐彦「俺と友だちになろう!」
夏川乙女「嫌よ!」
乙女の腕をつかむ桐彦。
星桐彦「いいから!」
夏川乙女「なにがよ!」
星桐彦「遠足行こう!」
夏川乙女「はあ?」
星桐彦「遠足だよ! ほら!」
乙女の腕を引っ張る桐彦。
夏川乙女「ちょっと! なんなのよ!」
姫路伊織「・・・・・・」
〇山道
リュックにコンビニ弁当を詰める桐彦。
星桐彦「弁当も買っちゃったしさ」
夏川乙女「・・・・・・」
星桐彦「遠足の定番っていったら山だろ」
夏川乙女「どうしてあなたと遠足なんか・・・」
星桐彦「友だちづくりの定番といえば、遠足だろ?」
夏川乙女「はあ? 意味がわからないんだけど」
星桐彦「日々の平穏は友だちからなる!」
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