月代 - SAKAYAKI -

咲良綾

エピソード1.遭遇(そうぐう)(脚本)

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〇通学路
  ──入学式の朝。
  ぶつかって転んだ私に差しのべられた手。
  見上げた先にいた人は、一目で
  私の心を奪った──
原沖 麗(はらおき れい)「・・・・・・」
謎の美少年「大丈夫ですか?」
  あなたこそ大丈夫ですか?
  なにこれどういうこと、どういう状況?
  異世界転生じゃないよね、現代人だよね?
謎の美少年「・・・どうしたの?」
原沖 麗(はらおき れい)「あ、あの・・・・・・何かの撮影? ネタ動画なら私は出演NGで」
謎の美少年「何のこと?」
原沖 麗(はらおき れい)「何って、その・・・・・・髪型が」
謎の美少年「ああ、これ? 地毛だよ」
原沖 麗(はらおき れい)「いや、そうじゃなくて」
原沖 麗(はらおき れい)「って、地毛なんだ!?」
謎の美少年「あ、ごめん。 僕、急いでるんだ」
謎の美少年「何かあったら、ここに連絡して」
原沖 麗(はらおき れい)「え・・・」
  このメモって、この人の連絡先?
謎の美少年「それじゃ!」
原沖 麗(はらおき れい)「あ、待っ・・・」
  ・・・行っちゃった
  このメモ、どうしよう
  とりあえず見てみよう
  ・・・・・・・・・・・・
  あの これは
  ツッコミ待ちなの? 天然なの?
  それとも救急隊員はお前の家臣なの?
  ああ・・・
  ハリセン振りかぶってツッコミたい
  けど、二度と会わない方が幸せかも・・・
原沖 麗(はらおき れい)「呆(ほう)けてる場合じゃなかった、学校!」

〇大きな木のある校舎
  いよいよ今日から、
  寒来(さむらい)高校の1年生。
  私がこの学校を選んだのは、今まで頑張ってきた剣道の強豪校だから。
  部活中心になりそうだけど、憧れの高校生活、他のことも楽しみたい。
  できれば、恋とか・・・
嶋名 香子(しまな かこ)「麗(れい)、おはよう。 いよいよ入学式だね!」
原沖 麗(はらおき れい)「おはよう、香子(かこ)」
  ああ、知ってる顔だ
  可愛いなぁ、見慣れた髪型だなぁ、
  現世(げんせ)に帰ってきた気分になるなぁ
嶋名 香子(しまな かこ)「クラス分けの掲示板、見た? 私たち、一緒のクラスだったよ」
原沖 麗(はらおき れい)「見た見た、1組だよね!」
原沖 麗(はらおき れい)「腐れ縁もここまでくると笑えるね。 でも、良かった~」
越智 虫哉(おち むしや)「ようこそ、寒来高校へ」
原沖 麗(はらおき れい)「越智(おち)先輩!」
越智 虫哉(おち むしや)「今日からまた後輩だな。 原沖(はらおき)は剣道、続けるんだろ?」
原沖 麗(はらおき れい)「そのつもりですよ。何のために強豪校受けたと思ってるんですか」
越智 虫哉(おち むしや)「ああ、待っていたぞ。 ビシバシしごいてやるからな!」
越智 虫哉(おち むしや)「俺は明日の部活紹介の準備で来てるんだが、あとで剣道場に案内しようか」
原沖 麗(はらおき れい)「よろしくお願いします!」
越智 虫哉(おち むしや)「相変わらず元気だな、いい返事だ。 俺は昼頃まで体育館にいるよ」
越智 虫哉(おち むしや)「じゃ、またあとでな!」
原沖 麗(はらおき れい)「はい!」
嶋名 香子(しまな かこ)「・・・ね、麗。 わざわざ声かけに来たんだよね、先輩」
原沖 麗(はらおき れい)「え? ああ、そうね。 越智先輩、面倒見がいいから」
嶋名 香子(しまな かこ)「それだけ? 私にはもっと何かあるように見えるけどな~」
原沖 麗(はらおき れい)「何かって?」
嶋名 香子(しまな かこ)「麗に気があるんじゃないかってこと! ねぇ、どうなのよ、実際のところ?」
  早速キター! 憧れの「恋バナ」キター!
  これよ、これぞ女子高生の青春!
原沖 麗(はらおき れい)「どうって・・・剣道以外何もないよ!」
原沖 麗(はらおき れい)「そりゃ、越智先輩は強いし頼れるし尊敬してるけど」
嶋名 香子(しまな かこ)「ほらほら~、麗だってまんざらでもないんじゃない。いいと思うよ、越智先輩」
原沖 麗(はらおき れい)「もう! 先輩はそんな目で見てないって! 私はただの後輩だよ」
嶋名 香子(しまな かこ)「うふふふ、そうかなぁ~?」
  やだ、めっちゃ楽しい
  この一年は受験に必死で、ときめく余裕もなかったもんね
地間 洋隆(ちま ようたか)「おい、お前ら。 何べちゃべちゃしゃべってんだよ!」
原沖 麗(はらおき れい)「わっ、地間(ちま)! 声大きいよ、びっくりした」
  地間洋隆(ちまようたか)は私の幼なじみだ
  昔は洋ちゃんと呼んで仲良くしていたが、成長と共に疎遠になっている
嶋名 香子(しまな かこ)「地間くん、おはよう」
地間 洋隆(ちま ようたか)「『おはよう』じゃねぇよ、さっさと移動しないと入学式はじまるぞ」
嶋名 香子(しまな かこ)「あ、ほんとだ。麗、急ごう!」
原沖 麗(はらおき れい)「う、うん」

〇体育館の舞台
  入学式が始まった。
  あ、あれは??
  まごうことなく 今 朝 の 人 !!!
  そ、そうか
  頭が強烈インパクトでスルーしてたけど
  あの人が着てるの、うちの制服だわ・・・!
  だめだ、入学式に集中できない
  前列であの頭じゃ、無視しようにも勝手に視界に入ってくるし・・・
  ほら、みんなも見てる
  めちゃめちゃ気にしてる
  誰も校長の話聞いてないよ・・・
  ていうか校長も見てるよ
  今この会場にいる全ての人間の意識を、彼が吸い寄せている
  恐るべき吸引力。見える。見えるわ。
  彼を中心に渦巻く
  巨大なちょんまげブラックホールが!

〇渡り廊下
原沖 麗(はらおき れい)「は~、なんだか疲れる入学式だったな」
原沖 麗(はらおき れい)「あのちょんまげ、精気を吸い取るアンテナなんじゃないかしら」
謎の美少年「あ、君・・・」
  出たーーーーーー!!!
  次回へ続く
  必然の再会、波乱の予感。
  彼は一体何者なのか?
  そして明かされる、髪型の意味──
  
  次回 エピソード2.邂逅(かいこう)

次のエピソード:エピソード2.邂逅(かいこう)

コメント

  • ゲームの時から好きでした!
    最初に手渡した番号が、あれだったのには「そう来たかー!」って思いましたよ😆

  • 相変わらず要所要所で笑わせてもらいましたw

  • 面白い!笑いながら読ませていただきました!寒来(さむらい)など、細かな設定も楽しいです。
    これからどんなラブコメになっていくのか?(ならないのか?)
    更新を楽しみにしています。

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