明日の道は誰も知らない

ゆきんこ

第五話 欺け(脚本)

明日の道は誰も知らない

ゆきんこ

今すぐ読む

明日の道は誰も知らない
この作品をTapNovel形式で読もう!
この作品をTapNovel形式で読もう!

今すぐ読む

〇駅のホーム

〇西洋風の駅前広場
  旭川──
  札幌に次ぐ第二位の人口を有する中核市。
  雄大な大雪山型の山々に抱かれた、
  四季の変化に富んだ美しい街。
  時代を先どる行動展示で全国的に注目を集めた旭山動物園には、多くの観光客が訪れる。
樹(いつき)「旭川は、札幌をギュッと凝縮したような街だね!」
蒼斗(あおと)「思ったより、繁華街は小さい街のようだな」
蒼斗(あおと)「3人で行動すると、逆に目立つかもしれない」
蒼斗(あおと)「旭川のボスとの約束が夜だから、それまでは個人行動にしよう」
「個人行動・・・?」
蒼斗(あおと)「それから、服も買い替えた方が良いかもしれない」
蒼斗(あおと)「何かあったら、すぐに携帯に電話してくれ」
樹(いつき)「了解」
樹(いつき)「と言っても、1人で服を選んだことなんて、ないんだよな・・・」
優心(ゆうしん)「一緒に行動する?」
樹(いつき)「うん!」

〇大きいデパート

〇アパレルショップ
樹(いつき)「・・・」
優心(ゆうしん)「考える必要ないよ、樹。 今の服以外を選べばいいんだ」
樹(いつき)「黒い服以外・・・」
優心(ゆうしん)「困るよね。基本、黒い服だし」
樹(いつき)「優心、テキトーに選んでくれない?」

〇アパレルショップ
樹(いつき)「コレでいい?」
優心(ゆうしん)「僕は好きだよ」
樹(いつき)「ありがとう・・・」
  優心が褒めてくれると、何故かココロが踊った。
  その度に背中の傷が疼くような、
  もどかしさも同時に感じていた。

〇エレベーターの前
樹(いつき)「メイクコーナーと地下の食品コーナーも行こうよ」
充(あたる)「旭川のボスは全ラーメン店を牛耳ってるんだ。 恐らく奴らは、その何処かに顔を出すはずだ」
充(あたる)「今、エレベーターに入れ代わりで乗った2人・・・」
充(あたる)「どこかで見たような・・・」
三郎(さぶろう)「俺は茶色の髪の方が好みだ」
「ん?」

〇デパ地下
樹(いつき)「何でここに、警察と歌舞伎町のヤクザが居るんだよ!」
優心(ゆうしん)「蒼斗に連絡──!」
樹(いつき)「話し中だ! こんな時に、何やってるんだよ!」
優心(ゆうしん)「僕らに気づいたかな?」
優心(ゆうしん)「階段で上に地上に上がるか、エスカレーターで様子見ながら行く?」
樹(いつき)「あの2人なら、目が合った瞬間に●されそうだぜ!」
優心(ゆうしん)「あっ、そうだ!」
優心(ゆうしん)「一旦、衣料品の階に、戻ろう!」
樹(いつき)「戻る?何でだよ!? 脱出が先だろ」
優心(ゆうしん)「僕に考えがある!」

〇アパレルショップ
充(あたる)「各階に仲間を配備した。フクロのネズミとはこのことだ。 もう逃げられないぞ!」
三郎(さぶろう)「フン、俺は自分の足で捜すぞ」
三郎(さぶろう)(チッ。 お互いの目的遂行の利益が被ったから、一緒に行動するが)
三郎(さぶろう)(もともと俺は警察が嫌いなんだ)
三郎(さぶろう)「あれ?まさか・・・」
三郎(さぶろう)「間違いねえ!見つけた!!」

〇アパレルショップ
樹(いつき)「う〜恥ずかしくて、顔上げられない・・・」
優心(ゆうしん)「大丈夫だから、堂々としなよ」
三郎(さぶろう)「見つけたぜ!」
樹(いつき)(家系ヤクザ! もう見つかっちまった)
樹(いつき)(やっぱり俺の女装、不自然だったのかよ!)
三郎(さぶろう)「札幌のホテルで見かけた時から、惚れました!!」
樹(いつき)「は?」
三郎(さぶろう)「茶髪のねーちゃんのことだよ!」
樹(いつき)「ハアアア!?」

〇黒
  取引しないか?
  最終的に俺たちは、お前らの役に立つさ。
  ただし、命だけは保証してくれ。
  その代わりに──仲間を裏切る形には、なるけどな。

〇アパレルショップ
優心(ゆうしん)「私・・・好きな人がいるんです」
樹(いつき)(俺は告白していないのに、フラれた気分・・・)
三郎(さぶろう)「わ、分かったよ。 ソイツのために風俗は辞めて、幸せになってくれよな!」
樹(いつき)(なんとか、切り抜けた・・・)

〇大きいデパート
充(あたる)「クソ!ガキ2人なのに、どうやって包囲網を抜けたんだ」
三郎(さぶろう)「久しぶりにキュンってしたのに〜 ウウ〜!」
充(あたる)(急にハイテンションで居なくなったと思ったら、ナンパでフラれて帰ってきやがって!)
充(あたる)(コイツをバディにしたのは間違いだったな)

〇西洋風の駅前広場
蒼斗(あおと)「警察と家系ヤクザが手を組んでいた!?」
蒼斗(あおと)「てゆうか、あのヤクザ、不死身か!?」
優心(ゆうしん)「旭川のボスとはラーメン店で待ち合わせだけど、変更しようよ」
樹(いつき)「それなら・・・」

〇動物園の入口
樹(いつき)「ヤッタ! 一度、夜の動物園に来てみたかったんだ」
蒼斗(あおと)「流石に警察も動物園までは張らないだろうしな」
旭川のヤクザ「・・・トー裏キッズかな?」
旭川のヤクザ「ボスがお待ちだ。案内する」

〇ゴリラの飼育エリア
樹(いつき)「これが旭川の・・・」
旭川のヤクザ「なわけねーだろ!ぶっ飛ばすぞ。 ボスは中の部屋でお待ちだ!」

〇殺風景な部屋
旭川のボス「ココは安全だぜ。 さて、『鍵』を貰おうか」
樹(いつき)「え? あの、鍵は渡すのではなく、俺らが預かるのでは・・・?」
旭川のボス「悪いがお前達をココから出すわけにはいかないんだ」
樹(いつき)「どういうことだ!?」
旭川のボス「お前達が飛行機でハイジャック犯を捕まえたらしいな?」
旭川のボス「あいつらはな、うちの組のモンだったんだよ」
旭川のボス「グループのプロジェクトの活動資金の一部を、強盗に見せかけてくすねようとしたんだが、」
旭川のボス「勇気あるトー裏キッズのおかげで、計画が台無しだよ」
蒼斗(あおと)「待てよ・・・俺たちが『鍵』を集めないと、プロジェクトが破綻するんじゃないのか?」
旭川のボス「お前達の代わりのガキなんて、ゴロゴロ居るよ。それより、計画を潰されたショックの方がデカくてな」
旭川のボス「実はここは、」

〇拷問部屋
旭川のボス「拷問部屋になっている」
旭川のボス「CAの役をやっていたオンナ、あれは俺の妾でな。 イイオンナだったのに、よくもあんなズタボロにしてくれたよな」
旭川のボス「覚悟しろよ」
  因果応報。
  って、この場合は合っているかな?
  絶体絶命。
  ただ、それだけだった。

〇動物園の入口
充(あたる)「ココも旭川のボスの傘下なのは、調査済みだぜ」
沢田(さわだ)「充さん・・・」
沢田(さわだ)「その男は、何でずっと泣いているんですか?」
充(あたる)「聞くな!」

〇拷問部屋
旭川のヤクザ「久しぶりに腕がなるわ。 どうやって嬲り●すかな〜」
旭川のヤクザ「ボッコボコにしてやんよ! それからウヒヒ・・・」
旭川のボス「お前達、やり過ぎていきなり●すなよ。 ゆっくり、時間をかけて後悔させるんだ・・・」
旭川のボス「俺はモニタールームにいるから、後は頼んだ」
樹(いつき)「蒼斗、何か作戦あるか!?」
蒼斗(あおと)「護身用にサバイバルナイフは買って、俺のポケットに入っている」
蒼斗(あおと)「とりあえずここは俺と樹に任せて、優心はこの場から逃げて、スマホで札幌のボスに連絡してみてくれ!」
優心(ゆうしん)「札幌のボスに?」
蒼斗(あおと)「今回の旭川のボスの行為は、明らかに条約違反だ」
蒼斗(あおと)「札幌のボスはハイジャックの件で面子潰されているから、余計に旭川のボスは許せないだろう」
樹(いつき)「じゃあ優心、頼む!」
優心(ゆうしん)「僕も戦うよ!」
蒼斗(あおと)「悪いが合気道は護身用だから、不意打ちならともかく、実戦では使えないだろう」
蒼斗(あおと)「ここは俺と樹に任せろ」
優心(ゆうしん)「分かったよ。 札幌のボスに連絡したら、すぐに戻る!」
旭川のヤクザ「あらら、ナイフなんか構えちゃって! 強くなったつもりか? 使い方は分かるのか?坊っちゃん!?」
蒼斗(あおと)「実は、これはフェイクなんだ! 優心を安心させるためにな」
「は?」
旭川のヤクザ「怖すぎて、頭ワイタ?」
蒼斗(あおと)「俺と樹はサングラスをしよう・・・」
旭川のヤクザ「手榴弾?」
旭川のヤクザ「ハッ、 どうせ、玩具だろ!投げてみろよ!!」

〇黒
「ウワアアアア!!!!ホンモノか!」
蒼斗(あおと)「ただの目くらまし用のフラッシュライトと綿火薬(大量vo.)だよ」
蒼斗(あおと)「しばらくは、目が見えないだろうな」
樹(いつき)「蒼斗、スゲー!」

〇ゴリラの飼育エリア
旭川のボス「逃さん!」
優心(ゆうしん)「ヤベーの持ってる!」
優心(ゆうしん)「こんなのでも、無いよりマシか!?」
旭川のボス「オラァ!」
旭川のボス「何っ!?」
ススキノのヤクザ「そんななまくら刀じゃ、俺の腕は切れないんだな・・・」
  その時はまだ、想像も出来なかった。
  動物園に、ホンモノの猛獣たちが集合していたなんて

次のエピソード:第六話 斑(ブチ)呑めせ

コメント

  • 三郎はもはや中心キャラですね。衣料品店で風俗嬢(と勝手に思い込んでいる優心)をナンパする神経、、、キャラの濃さはナンバーワンですね。次回は動物園で大立ち回りでしょうか。3人にはゆっくり旭川ラーメン(焦がしラード多め)食べさせてあげたいですね!

  • なんだかまた新たな強キャラが出てきましたね!
    どんどん巻き込まれていくトー裏キッズ…
    そして、蒼斗よ…

    続きが気になります!

  • 旭川編もハラハラの展開ですね。最初の旭川の紹介もすごくよかったです。個人行動のときの気になるシーンもありましたね。様々な利害関係者が集まって来てカオスな展開になってきましたが…このピンチをどう脱するのか…

コメントをもっと見る(4件)

成分キーワード

ページTOPへ