第三話 誤魔化せ(脚本)
〇駅のホーム
ススキノのヤクザ「赤い髪、茶色の髪、黒い髪の男3人組。 『鍵』のトー裏キッズだべか?」
樹(いつき)「よくお気づきで!」
(出た! 樹の社交性攻撃!)
樹(いつき)「ボスから電車で札幌に向かえと言われていまして」
樹(いつき)「まさかお迎えの方が来てくれているなんて思ってなくて、ビックリして声も出ませんでした!」
ススキノのヤクザ「驚かせて悪かったべさ。 ススキノの事務所まで車で送るからよー、付いてこい」
樹(いつき)(車・・・! 逃げられないそうにないか)
〇渋滞した高速道路
〇ネオン街
ススキノ──その地名は地図には載っていない。
日本三大歓楽街のひとつに数えられる
こともある、有名な『界隈』である
樹(いつき)「これがススキノか」
蒼斗(あおと)「歌舞伎町を小さくしたような雰囲気だな」
優心(ゆうしん)「ボクは初めて来たのに、安心するな」
〇中華料理店
ススキノのヤクザ「中華料理店兼事務所だ。 ここで待っていろ」
樹(いつき)「優心、 指示ノートには、札幌のボスから金のプレートを貰えと書いてあるんだよな?」
優心(ゆうしん)「ああ」
優心(ゆうしん)「本当は、スマホに登録されている番号に連絡してからここに来るハズだったが、もう迎えが来ていたな」
蒼斗(あおと)「それにしても、プレートを渡して終わりならともかく、預かる旅だとは・・・」
蒼斗(あおと)「そうとう厄介な旅になりそうだな!」
札幌のボス「もう、ここに来る前から厄介事に巻き込まれちまったんだろ?」
札幌のボス「なあ? にいちゃんたちよ」
ススキノのヤクザ「ボスに挨拶!」
札幌のボス「ウルセーな、あっち行ってろ」
札幌のボス「乗った飛行機がハイジャックされたって聞いたぜ」
札幌のボス「しかも、そのハイジャックをとっ捕まえるたあ、大したもんだぜ。 ただのチンピラにはできねーわな!」
札幌のボス「トー裏キッズ、見直したぜ」
樹(いつき)「なぜ、それを?」
札幌のボス「実は、そのハイジャック犯が持ち逃げしようとしていた大金が、俺たちのプロジェクトの一部の資金だったのよ!」
札幌のボス「だから、オメェたちには借りがあるってことだ。 困りごとがあれば、いつでも助けてやるぜ」
樹(いつき)(困ってるけど、まさかニセモノですなんて、言えない)
札幌のボス「そういや、事件の後、直ぐにマッポが来てな」
札幌のボス「ハイジャック犯を捕まえたのが、トー裏キッズだってことは調べたらしいぜ」
札幌のボス「まあ、家出捜索の件から探しているみたいだから、俺たちのプロジェクトには支障は無いが、」
札幌のボス「マッポが絡むと面倒だ。 気をつけな」
札幌のボス「──これで2つ目か。 あと3つ回収してくれや」
樹(いつき)(あと3人のヤクザに会わなきゃならないのか!?)
〇ネオン街
充(あたる)「1日張っていた甲斐があったな! 3人のうちの1人は、家出捜索願が出ていた少女と一致した」
沢田(さわだ)「あれ、女だったんですか? で、どうします?」
沢田(さわだ)「ススキノのボスに関わりある家出のガキなんて、放っておいたほうが良くないですか?」
充(あたる)「俺の刑事勘が調べろって言ってんの!」
沢田(さわだ)「ハイ?」
充(あたる)「奴ら3人には、何かヤバイ秘密がある。 俺は、追い詰めて追い詰めて、それを解き明かしてやる!」
沢田(さわだ)(さすがスッポンの充! 一度噛み付いたら、しつこいな!)
〇可愛らしいホテルの一室
樹(いつき)「久しぶりのベッドだ!」
蒼斗(あおと)「優心、ボスに一緒の部屋にされたけど、平気?」
優心(ゆうしん)「しょうがないよ。 別行動の方が不安だしね」
蒼斗(あおと)「まあな。 俺らがニセモノだってまだバレてないけど、いつバレてもおかしくないからな」
優心(ゆうしん)「家出捜索で警察が動いているってボスが言っていたね」
優心(ゆうしん)「まさか、母さん・・・」
優心(ゆうしん)「ゴメン、先にシャワー入るね」
樹(いつき)(優心、不安になってる。 またリスカするかもな)
樹(いつき)「そういえば、蒼斗はどうしてトー裏に来ていたの?」
蒼斗(あおと)「俺か・・・タバコ吸っていいか?」
〇可愛らしいホテルの一室
蒼斗(あおと)「ふう。 何から話せばいいかな」
〇可愛らしいホテルの一室
蒼斗(あおと)「うちは代々医者の家で、俺はそこの長男で、何の疑いもなくそのレールに乗って生きてきた」
蒼斗(あおと)「医大の受験に落ちた日、地雷メイクしている奴らを街中で見かけた」
蒼斗(あおと)「黒い服に、男でもカラコンや化粧してさ。 いつもなら、そういう奴らを見るのすら避けていたのに、」
蒼斗(あおと)「なぜかその日だけはキラキラしていたんだよな」
蒼斗(あおと)「気づいたら、俺も同じ格好してトー裏に立っていた。 後は、知っての通りだ」
蒼斗(あおと)「お前らみたいな、ディープな話しは俺にはないよ」
蒼斗(あおと)「つまんねー話して、悪いな」
樹(いつき)「つまらなくない・・・話ししてくれて、ありがと」
人生がツライ理由は人それぞれ。
その理由に軽いとか重いとか、面白いとかつまらないなんて無いんだ。
俺は、蒼斗が飛行機でCAの足に引っ掛けたPEラインを、何故いつも持ち歩いていたのかは聞けなかった。
〇清潔な浴室
優心(ゆうしん)「僕に関わるな、僕に関わるな、僕に関わるな、僕に関わるな、僕に関わるな、僕に・・・」
どんなに些細な理由でも
傷ついている人がいる。
〇洋館の廊下
ススキノのヤクザ「ム」
ススキノのヤクザ「何だ、オメェは?」
ススキノのヤクザ「グゥゥ・・・不覚だべさ!」
三郎(さぶろう)「俺は歌舞伎町の家系大好き三郎」
三郎(さぶろう)「ススキノまではまだ名が通ってないかもな」
三郎(さぶろう)「トー裏キッズが、ここに世話になってるって聞いたぜ。案内してくれやー」
〇可愛らしいホテルの一室
樹(いつき)「ネカフェの方がゆっくり寝られたな」
樹(いつき)「なんか、落ち着かないぜ」
樹(いつき)「何だ、今の音。 廊下で酔っ払いが騒いでる?」
〇洋館の廊下
〇可愛らしいホテルの一室
樹(いつき)「あの男!リュックのヤクザだ」
樹(いつき)「蒼斗!優心!起きろ!!」
〇部屋の扉
ススキノのヤクザ「確か、この部屋だ」
ヤクザ「うおっ!?」
???「デリバリーされて来たんだけど、中に誰も居なかったわ」
???「キャンセル料もらえるかしら?」
ススキノのヤクザ「ふざけんな! 誰が、知らねーガキのケツ拭くかよ!」
ススキノのヤクザ「チッ、一足遅かったみたいだな!」
三郎(さぶろう)(・・・今のオンナ、惚れた)
三郎(さぶろう)「おっと、イカン! 今は仕事が先だ」
三郎(さぶろう)(休みの日に、ススキノの風俗店を回ろう)
〇可愛らしいホテルの一室
優心(ゆうしん)「行ったけど、気づかれたら戻ってくるかもしれない。 早くここを出よう」
樹(いつき)「分かった、早く服を来てくれ」
蒼斗(あおと)「よく、そんな下着やカツラを持ち歩いていたな! おかげで助かったけど」
優心(ゆうしん)「僕だって、こんなの着けたくないけど・・・たまには役に立つときもあるから持っていただけ」
優心の『たまには役に立つ』の意味には触れず、俺たちはホテルを後にした。
〇路面電車
樹(いつき)「次の行き先は小樽か。 1時間くらいで着くなら、わりと近いな」
蒼斗(あおと)「歌舞伎町のヤクザが追って来ている。気を引き締めて行こう」
優心(ゆうしん)「次は小樽のオルゴール堂に行き、スマホの連絡先に電話しろだって」
優心(ゆうしん)「今回は、特に乗り物の指定がない」
樹(いつき)「金はあるけど、貧乏症だから手を付けたくないんだよな」
蒼斗(あおと)「交通機関を使うなら、 ①地下鉄→電車 ②地下鉄→バス ③バスのみ」
樹(いつき)「土地勘無いし、バスのみの方が安心かな?」
〇黒
バスを選択したのは間違いだった。
俺らはすぐに後悔することになる。
〇バスの中
樹(いつき)「間に合ったぜ!」
車掌「小樽行き高速バス発車しまーす」
若者らしい疾走感が物語全体に溢れていて、読む側も一気に読んでしまいますね。緻密な設定など見落としそうになります^^;
設定舞台が札幌ですと、組事務所はあのあたりで、ホテルはきっとあの辺だろなーとか、余計なことを考えてしまいますね(笑) 近未来の話だというのに……。近未来でも家系ラーメンはメジャーなのですね!
優心が外に出たとき、キャラの名前で誰かわかるので、同じ見た目で違う名前のキャラを作っておくと身バレを防げます。(そのつもりなかったらすみません)
場面がどんどん変わるので面白いです。
三郎…お前強かったのか(驚愕)。関係ないですけど、三郎の立絵使いやすくていいですよね。(元は何の公式作品のなんだろ?)
ストーリーはそれぞれのキャラが自分の身につけた特技、多分好きで身につけた物じゃないかもしれないけど、それで危機を乗り越えて行くのが面白くて次回が楽しみです👍