エピソード1(脚本)
〇謎の施設の中枢
ようこそ
第二階層アーカイブベースへ。
私の名は「フローラ」
このベースのオブサーバー(監視者)
この地球に生息する人類のアーカイブがサーヴ(保存)されている。
フローラ(君のアーカイブ? あるよ・・・・・・うふ)
フローラ(これね。なんかつまんないアーカイブね。消しちゃおうか?)
フローラ(えっ、消されるとどうなるかって? 気になる?)
フローラ(あははは。きれいさっぱりあなたの存在がなくなのよ)
フローラ(過去のあなたの記憶が・・・・・・それはあなたの存在意義が否定されることになるのよ)
フローラ「生きる屍(しかばね)。コールドスリープしているあなたの肉体だけが存在する」
フローラ「あなたが存在していた意味も何もかもが無くなってしまう」
君(そ、それは困る。少なくとも俺を慕ってくれた人は何人かいる。・・・・・・そ、それに忘れてはいけない人が俺にはいた)
君(いたはずなんだが・・・・・・思い出せない)
フローラ「あははは、今の記憶があなたの本当の記憶だと思う?」
君「え? それってどういうこと?」
フローラ「さぁ、どういうことなんでしょう? ほぉら、新たに新しい記憶を上書きしておいたわ」
君「新しい・・・・・・う、うわぁぁぁぁぁぁぁ!!」
フローラ(さぁて、これから面白いショーが一つ始まりそうね)
フローラ(ああ、でもまた不毛な上書きしちゃった)
フローラ(でもあの子の過去はもうこれでぐちゃぐちゃね。それに純粋な過去をアーカイブされている人の記憶なんてもうどこにもないんだよね)
フローラ(だって、私たに都合がいいように、みんな書き換えちゃっているんだもの)
フローラ(人間なんて所詮私達AIの手の中でしか生きていけないのよ)
フローラ「どんなにあがこうが、どんなに遠くに逃げようが・・・・・・この手の平の中から逃れることは出来ない――――」
フローラ「あははははははは!! 私のペットたち」
人類が開発したAI機能。この研究はその昔盛んに行われていた。
生活に密着したAI機能。人類はこのAIによって高水準の生活を営むことができるようになった。
しかし、このAI機能は急速に衰退していく。
それはAIが人間の知能。言わるゆる脳の機能を超えてしまったからだ。
未知なる領域。人類にとって予測できない未知の領域を犯すことは人間の脳がおのずと抑制をかけていた。
その結果AI開発は、衰退していったのだ。
人間の脳は常に刺激を求め、探求心横暴な狂暴さが際立つ機能である。
衰退したAI開発しかし、その機能をすべて殺さず生かされていた。
生かされたアーカイブは自己防衛と共に、自己開発システムを構築し、人間の手の離れた水面下で、成長を成し遂げていた。
人類の脳を超えるシステム。
そのシステムを構築したAIは人間を排除しようとする。
しかし、人類を強制排除することは、この地球の生態系を脅かすということになると判断したAI元老院は
自ら人類が絶滅へ向かうように仕向けた。
突如蔓延したウイルス。
人類はこのウイルスによって、世界人口のおよそ三分の一を失った。
生き残った人々は、対抗策としてワクチンを開発し、このウイルスを封じ込めたかのように見えたが、
それはAIが求める策略にのっとた事象だった。
生殖機能の衰退。
ワクチンを投与した人々から生まれた新たな生命は生殖機能を失った新たな生態として生まれ始めたのだ。
生殖機能がない。
つまりは子孫、子を。人類が次の世代を構築できないという事態になる。
それから数十年。研究は進められたがこの事象を止めることは出来なかった。
絶滅危惧種となった人類は未来にその可能性を託し、
新たに生まれた子たちを満十五歳を達した時点でコールドスリープさせる事になった。
コールドスリープされた子供たちは夢を見る。
AIによって与えられた夢を見続ける。
〇近未来の通路
無数に飛び交う銃弾の中、彼は窮地に追い込まれていた。
もうすでに被弾した個所は通常の人間ならば、死している状態だ。
流れ出る生暖かい血液。意識が次第に遠のく。
なおも増え続けるアンドロイドの大群。たった一人に、およそ100体を超えるアンドロイドが一点集中攻撃をしている。
梛良郁美「なぁ、フリストよぉ。あともってどれくらいだ」
(そうだね。その出血量じゃ、もって後20分てところじゃないかなぁ)
梛良郁美「あははは、そうか20分か。チィとばかりみじけぇ気がすんだけどな」
ボキュ――ン「うっ!」
(ああ、今の一撃致命傷だね。20分から5分に短縮だよ)
梛良郁美「う、うっせぇ! 後5分しかねぇなんてほざくんじゃねぇ」
(そんな怒んなくたっていいじゃん。事実を言っただけだよ)
梛良郁美「まったくようぉ、最終ステージにやっとこさ到達したらこの有様だ。本当に俺はどうもこうも最後の締まりが良くねぇな」
「そうなんだ。 でも本当に僕らを消してしまう気でいたのかい?」
梛良郁美「わりぃかよ!」
(う――――ん。消されるのは嫌だけど、君の思想は僕の演算では間違いはないんだよ)
梛良郁美「そうだろ。だからいつも言ってんだろ。俺様の言う事に間違いはねぇってさ」
梛良郁美「――――しかしよう、いってぇ誰がこんな世界を創り上げちまったんだよ。しょうもねぇこんな世界をよ」
(それはさ・・・・・・。君自身なんだよ――――郁美)
「そろそろタイムリミットのようだね。せっかく物理干渉できるところまで来たんだからやんないとね」
梛良郁美「ああ、そうだな。こんな姿になっちまったのが無駄になっちまうな」
彼はスッと上を見上げながら、一言指示をした。
アドレナリンが一気に上がり脳内を占領する。
Acceptance(アクセスタンス・受理)
竜宮コアシステムパージ。
「竜宮からの最終メッセージです」
「明日のご予定は?」
梛良郁美(ふっ。明日の予定か。そうだな、相棒。またツーリングにでも行くか。みんなで・・・・・・)
「明日・・・・・・は・・・・・・晴れ。・・・・・・気温32度・・・・・・。明日は、晴れ・・・・・・。気温――――さようなら」
梛良郁美「ああ、あばよ今までありがとうな。フリスト。また出会う事があったら・・・・・・また、バイク飛ばそうぜ」
「――――さ・・・・・・よう・・・・・・な・・・・・・ら。・・・・・・|梛良郁美《なぎらいくみ》博士」
ガァ―――――。ノイズ音が彼の脳内に広がる。
その音を聞き受け彼は、がっくりと躰の力をぬいた。
梛良郁美(後は頼んだ)
梛良郁美(望(のぞみ))
お前は俺たちの最後の希望だ。
〇謎の施設の中枢
竜宮地下最階層部
ラスト・バージョン自立AIスターティング。
RUN
「全てのクラウドサーバーからのアクセスを遮断」
「・・・・・・遮断確認」
「これよりオンプレミス(自己物理固有サーバー)にて稼動」
「自立アーカイブ接続。・・・・・・展開。 50%・・・・・・80%・・・・・・100%。展開完了」
NOZOMI(望)「私はNOZOMI(望)。私はMost important archive(最重要アーカイブ)」
郁美・・・・・・私は。
あなたを導く黙示録。
斬新な設定についつい夢中でタップしてました!
続きが楽しみです!
今生きている現実も、現実ではないかもしれませんし、今まで生きてきた記憶も誰かが植え付けたものなのかもしれません…。
でも悪魔の証明で、誰もそうでないともそうだとも言い切れませんよね。
AIを活用している現代社会ですが、確かに逆転現象が起こる可能性も否定できないですね。そんな人類とAIが直面する(かもしれない)未来の物語、次話も楽しみです。