夫の愚痴(脚本)
〇おしゃれなリビングダイニング
──俺は健太。29歳。
同い年の千波と結婚して1年半になる。
千波との結婚生活は順調・・・だと思っている。少なくとも俺は。
千波はちょっと世話焼きで、時には過干渉すぎるところがちょっと欠点かも。
でもそれって、俺のことを考えてのことだよな。煩わしいって思うこともあるけど、ちょっと嬉しいんだ。
俺の誕生日や結婚記念日になると、自慢の料理の腕を振るって、大ご馳走を用意しようといつも張り切っている。
本人は平静を装っているが、そのみなぎる気合は隠しきれないでいる。
そんな千波と俺は共働き。
家事も分担している。料理は当然彼女にお任せだ。
元々好き嫌いの多い俺だったが、千波の料理は何でも美味しく食べられた。食わず嫌いも克服しつつある。
そんな彼女はどんなに忙しくても料理の手抜きはしない。本当に頭が下がる。
そんな俺は、料理以外の家事で彼女へのお返しをしたいと思って頑張ることにしている。
洗濯も最初の頃「ブラの干し方が違う!」って怒られもした。それまでブラジャーなんか干したことなかったから仕方ないだろ。
料理も手伝えるようになればいいんだけど、千波の腕前が立派すぎて甘えてしまっている。
その分、皿洗いは俺の担当だ。
他にも、千波の負担を軽くできることがないか考えているところだ。
仕事にも家事にも全力な千波は、”ほどほど”を知らない性格だから、倒れてしまうんじゃないかと心配になることもあるんだよ。
それで、この前の話なんだけど、千波が残業続きで帰宅時にはボロボロになっていたんだ。
その有様で、帰ってすぐに夕飯の仕度をしようとするもんだから、近所の居酒屋に連れ出したんだよ。
歩いてすぐのところにあるチェーン店の居酒屋、たまに2人で行ったりするお店だ。
俺は料理に関しては何もしてやれないから、その日はせめて作る労力だけでも無くしてやりたかった。
〇黒背景
・・・そのお店で、ケンカしちゃったんだよな。
愚痴になるけど、ちょっと聞いてもらってもいいか?
〇大衆居酒屋
お店では、千波がメニュー表を独占して、2人分の料理を次から次へと注文し始めたんだよ。俺の意見も聞かずに。
よりにもよって、俺があんまり好きではないものばかり・・・
彼女の注文に、慌てて唐揚げと串カツを追加して、食べられるものをどうにか確保できたんだが・・・
苦手な料理が出揃うテーブル、唐揚げと串カツで乗り切ろうとするも、千波はそれにも箸を伸ばしてくる。
唐揚げが見る見るうちに減っていくので、もう1皿追加しようとすると「食べすぎ」って言われてしまった。
しかも千波は、取り分け用の皿にどんどん俺の苦手なものを載せてくる。
せっかくの外食だから、美味しく食べたいじゃないか。苦手なものを我慢して食べるって何か嫌だろ。
そんな気持ちが態度に出てしまったのかもしれない。
そして、目の前の串カツに手を伸ばしたとき、千波に強く文句を言われてしまった。
〇大衆居酒屋
そうして俺の野菜嫌いについて千波に相当非難された。
でも、俺の言い分だってあるんだよ!その時は言えなかったけど・・・
俺は、千波が作るサラダは大好物だ。
カリカリジャコと海苔が乗ってる和風ドレッシングのヤツ、あれはいくらでも食べられる!
そんな旨いサラダが普段から食べられるのに、どうして高い金を出してマズいサラダを食べなきゃならないんだよ。
千波の作るサラダだったら、何十人前だって食えるって感じだ!
それと、酸っぱいのも確かに苦手だけど、千波の作る酢の物は食べられるんだよ。
出汁とかで酸味を調整しているんだっけ?
あの酸味なら、美味しく食べられるんだ。お店で出されるのは酸っぱすぎて無理だ。
どうせ食べるのなら、千波の酢の物がいいんだよ!
あと、揚げ物ばかり食べていた理由なんだけど、好物ってこともあるけど・・・
千波、揚げ物の後の台所の油臭さが苦手って言ってたんだよ。揚げ油の処理も面倒くさいって。
だから、家で揚げ物をリクエストしなくてもいいように、揚げ物は外食オンリーにしてるんだ!
それがかえって怒らせることになったことは反省している。
千波は、怒ると人の話を聞けなくなるんだけど、どうやって伝えたらいいだろうか?
〇黒背景
それと、ちょっと関係ないかもしれないけど・・・
〇綺麗な部屋
千波、寝ている姿がちょっと怖いんだよ。
白目むいたまま、寝言でお経を唱えてるの、あれマジで恐怖だから!
こっちは目をつぶって布団かぶって震えてるんだぞ!
千波が疲れている日は”お誘い”しづらいんだけど、それでも我慢ができなくなる日もあるんだよ。
でも、ちょっとその姿を見たら萎えてしまうんだ・・・
普段の可愛い顔を思い浮かべながら、せめて夢の中だけでもイチャラブできれば・・・
ゴメン、これはちょっと関係ない話だったな・・・
妻に対する不満や愚痴がよく分かりました。家では妻の手料理に幾分満足はしている様ですが、居酒屋ではせめて旦那の好きな物を食べさせて下さい。お願いします。
旦那様の言い分の聞いて、とても納得できました。私も含めて、女性って一度かッとなったら人の話が耳に入らなくなる傾向がありますね。男性側にその確かな言い訳を言わせてあげる隙を作ることが大事だなと反省しました。・・・でも、実生活では又すぐに同じ失敗しそうです!
それぞれの家庭で色々な悩みや愚痴があるのは当たり前ですよね!私も無いとは言えませんし、どちらかというとめちゃくちゃあります笑
けど面と向かって言えることは…いつか言ってやりたい笑