シュレーディンガーの方程式

Nazuna

第二話:量子間のテレポーテーション(脚本)

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〇廊下のT字路
葛城大河「『デルタ』の本当の姿・・・」
三条唯「そうです。さあ、こっちへ」
三条唯「この角を曲がって、突き当たりの部屋です」
葛城大河「そうか。こっちだな?」
三条唯「はい」
ノイマン「やあ、ユイ。それにクズも」
葛城大河「ノイマン教授!」
葛城大河「奇遇ですね、こんなところで」
ノイマン「そうだね。研究は順調かい?」
葛城大河「ええ、まあまあです」
ノイマン「そうか。ユイも、元気かい?」
三条唯「・・・・・・」
葛城大河「唯?」
葛城大河(唯のやつ、ノイマン教授に対しては特に冷たいんだよな・・・)
ノイマン「まあ、元気ならそれでいいさ」
ノイマン「ところで、こんなところに二人で、何をしてるんだい?」
葛城大河「ええと、それは・・・」
三条唯「・・・『デルタ』を見に行くんです」
ノイマン「・・・『デルタ』を?」
三条唯「はい、いけませんか」
ノイマン「・・・いや、特に問題はないだろう」
ノイマン「理由は聞かないよ。話したくないこともあるだろうしね」
三条唯「・・・ありがとうございます。では」
葛城大河「じゃあ、教授。また今度」
ノイマン「ああ、また」
ノイマン「ユイ」
ノイマン「・・・サイを追いかけるのは、やめなさい」
葛城大河「・・・?」

〇研究所の中枢
三条唯「ここです」
葛城大河「・・・暗くてよく見えないな」
三条唯「今、電気をつけます」

〇研究所の中枢
葛城大河「うお!?」
葛城大河「こ、これが例の・・・」
三条唯「そうです」
三条唯「これが『デルタ』の本体」
三条唯「猫先輩が一から作り上げた、その完成形です」
葛城大河「大学内に、こんな施設があったとは・・・」
三条唯「大学側も、猫先輩の頭脳を手放したくはなかったんでしょうね」
葛城大河「それにしても、これは凄いな・・・」
葛城大河「この大きな装置が『デルタ』か」
三条唯「そうです。その中には量子で作られた計算回路が存在しています」
三条唯「・・・先ほど、量子テレポーテーションの話をしましたね」
葛城大河「ああ」
三条唯「実は、『デルタ』が演算を行う時、」
三条唯「回路の中では常に量子テレポーテーションが発生しているんです」
葛城大河「そうなのか!?」
三条唯「量子ビットに計算処理を施したうえで」
三条唯「別の場所に量子テレポーテーションによって移動させる・・・」
三条唯「まあ詳しいことは省きますが、」
三条唯「量子をテレポーテーションさせること自体はすでに実用化の段階に入っているんです」
葛城大河「・・・・・・」
三条唯「これで少しは、私の話を信じられますか?」
葛城大河「・・・ああ、そうだな」
葛城大河「頭ごなしに否定して悪かった」
三条唯「気にしないでください」
三条唯「さて」
三条唯「私は今から、『デルタ』の回路を解析して手がかりを探すことにします」
葛城大河「何か俺に手伝えることはあるか?」
三条唯「正直、ないです。これは私の専門なので」
三条唯「後ろで見ていてもいいですが、もう夜も遅いですし、帰ってもらっても構わないですよ」
葛城大河「・・・・・・」
葛城大河「いや、ここにいさせてくれ」
三条唯「わかりました」
葛城大河「それで、もしよければなんだが・・・」
葛城大河「俺に、量子テレポーテーションについて詳しく教えてほしい」
葛城大河「・・・いつまでも俺だけ置いてけぼりになるのは嫌だからな」
三条唯「・・・わかりました」
三条唯「解析は話をしながらでも可能です」
葛城大河「・・・ありがとう!」
三条唯「では、作業に取り掛かりながら、量子世界の話をするとしましょう」

〇研究所の中枢
三条唯「よし、『デルタ』本体に特に支障はないようです」
三条唯「さてさて、葛城先輩」
葛城大河「なんだ、唯”先生”」
三条唯「それを言うなら”教授”でしょう」
三条唯「・・・先ほど研究室で、私は量子テレポーテーションを、瞬間移動と言い換えましたね」
葛城大河「ああ」
三条唯「ですがそれは、正しい表現ではありません」
葛城大河「ほう」
三条唯「量子テレポーテーションによって送られるのは、物質そのものではなく、”情報”なんです」
葛城大河「なるほど、つまり・・・」
葛城大河「・・・どういうことだ?」
三条唯「・・・・・・」
三条唯「・・・これは言おうか迷っていたんですが」
三条唯「量子テレポーテーションは、私たちが想像するような、」
三条唯「いわゆる”瞬間移動”とは大きく性質が異なります」
三条唯「・・・・・・」
三条唯「つまり・・・」
葛城大河「なんだ!?」
三条唯「これは・・・!!」
葛城大河「何かあったのか!?」
三条唯「『デルタ』内で、自己破壊プログラムが起動されています!!」
三条唯「このままだと、『デルタ』内の情報がすべて失われてしまう!」
葛城大河「何!?」
三条唯「急いでプログラムを停止します!」
葛城大河「唯、俺に何かできることはあるか?」
三条唯「少し黙っていてください!!」
三条唯(回路が破損している・・・)
三条唯(データを削除するだけでなく、『デルタ』本体を機能停止するつもりか!!)
三条唯(負けるものか)
三条唯(『デルタ』は、猫先輩が残した功績だ)
三条唯「それさえ失くしてしまったら、私は私を許せない・・・!!」

〇研究所の中枢
三条唯「はあ・・・」
葛城大河「唯・・・」
三条唯「・・・大丈夫です」
三条唯「自己破壊プログラムは停止しました」
三条唯「回路に多少の破損がありますが、修復可能です」
葛城大河「そうか・・・!!」
葛城大河「それは、よかった・・・!!」
三条唯「あの、ごめんなさい、強い言葉を使ってしまって」
葛城大河「気にするな」
葛城大河「あの時、俺にできることは何もなかった」
葛城大河「悔しいが、それが事実だ」
三条唯「・・・私は破損した回路を修復します」
三条唯「葛城先輩は、今日はもう帰ってください。独りで大丈夫ですから」
葛城大河「・・・ああ、そうさせてもらうよ」
葛城大河「悪いな、役に立てなくて」
葛城大河「何か俺にも出来ることがあれば、遠慮なく連絡してくれ」
三条唯「わかりました」
葛城大河「じゃあ、また」
三条唯「はい。さようなら」

〇廊下のT字路
葛城大河(『デルタ』の自己破壊プログラム・・・)
葛城大河(唯がいなければ、『デルタ』は破壊され、)
葛城大河(才を探す手がかりも失われてしまうところだった)
葛城大河(一体、誰が、何のために?)
葛城大河(・・・・・・)
葛城大河(唯は唯の、出来ることをやった)
葛城大河「今度は俺が、俺の出来ることをやる番だ」

〇散らかった研究室
  21:09
  ノイマン研究室
葛城大河「・・・・・・」
葛城大河「・・・『デルタ』に自己破壊プログラムを起動させたのは」
葛城大河「あなたですか、」
葛城大河「ノイマン教授・・・!」
ノイマン「・・・・・・」

次のエピソード:第三話:ウィグナーの友人

コメント

  • 今回も面白かったです!量子テレポが物語に今後どういうカタチで関わってくるのか、楽しみにしてます!

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