エピソード9(脚本)
〇海辺の街
出会いは不思議
例えばその人が生まれた場所
進学先や就職先
それが変わると・・・
そう・・・
全く違った絆が生まれる
エピソード9
──チ―ム典子誕生──
──日真島──
〇温泉旅館
〇ホテルの部屋
倉田典子(今日から始まり。旅館の部屋を提供してくれるなんて待遇が素晴らしいわ)
倉田典子(車も自由に使えるし頑張らないと)
(パソコンホ―ム画面)
日真島観光 公式サイト
ホ―ム ・・・
見どころ・・・
グルメ ・・・
倉田典子(まずはこの精度が低いホ―ムページね。 私のSNSでこの公式サイトを紹介したから閲覧数は伸びると思うけど)
倉田典子(これじゃ誰も興味を示さない。改善点をまとめて役場に行くか)
〇二階建てアパート
〇アパートの台所
大宮和英「信雄。長い間ありがとな。助かったよ」
木本信雄「これで全部荷物は運んだと思うけどまた何か必要な物があれば言ってくれ」
木本信雄「牛島君だっけ?コイツの事宜しくな!楽観主義だから扱いにくいとこもあるけど我慢してくれよ」
牛島良太「お任せください。私は食料の買い出しに行ってきます。木本さんゆっくりしていって下さいね」
木本信雄「典子のSNS見た?」
大宮和英「ああ毎日チェックしてるから」
木本信雄「日真島か!遠いところに行ったよな。会いに行かないのかよ?」
大宮和英「典子が新しいステージで頑張ってるのに今の俺が会いに行けるかよ!胸を張って会えるようになるまで我慢するよ」
大宮和英「お前こそ美里と会わないのかよ?長い間会ってないだろ」
木本信雄「そうだな。何か俺たち相当変わっちまったよな」
木本信雄「でもさ、前向きに考えることにしてるよ。今までの俺たちってマンネリ化してただろ。だから満里奈には感謝してる」
大宮和英「俺も満里奈の事が許せなかったけど、大の大人がこのまま小娘にやられっぱなしじゃ面目が立たないだろ。ギャフンと言わせてやるよ」
〇ビジネス街
芸能プロダクション「F」
〇小さい会議室
「F」会議室
氷室幸治(まるで島流しだな。音楽しか取り柄がないのに観光業かよ)
マリン「氷室さんお待たせ。今日はこれでスケジュール終わりだからお疲れ様」
マリン「何か楽しい事でも?」
氷室幸治「えっ?」
マリン「だってタブレット見ながらスゲ―笑顔じゃん」
氷室幸治「倉田典子のSNSを見てたらおかしくてね」
マリン「手応えなかったね。倉田典子は離島暮らしで大宮和英は自ら退職。もうこの2人は何もしなくていいよ。勝手に落ちて行くから」
氷室幸治「残りは前田美里と木本信雄か」
マリン「その2人も何もしなくていいよ」
氷室幸治「えっ!」
マリン「美里さんから木本さんを奪えばそれで目標達成」
氷室幸治「それだと当初の目標とは違うが?」
マリン「いいの。特に木本さんにはもう手を出さないで」
氷室幸治(どういう事?まさか?)
マリン「ご苦労様。この後美里さんを呼び出してあるからもう帰って」
前田美里「担当じゃないんだから気安く呼び出さないでくれる」
マリン「だって美里さんに近況報告したいじゃん!それに今の部署忙しくないでしょ。何だっけ?庶務課だ!」
前田美里「あなたが上に圧力かけて異動させたんでしょ!怖い女よね」
マリン「そんなに怒らないでよ。最近木本さんにも会えないから欲求不満なのかな?」
前田美里「それもあなたが信雄に圧力かけてるからでしょ!バレバレなのよ」
マリン「女友達の典子さんも遠方暮らしで会えないし、そういえば無職になった男友達?就職先紹介してあげたら」
前田美里「そんなに復讐を繰り返して春斗が喜ぶと思ってる?あの世で悲しんでるはずよ」
マリン「あなたに兄を語る資格はないわ。あなたこそ兄はガッカリしてるはずよ。恋人だったのに妹に手を差しのべなかった冷たい女とね」
マリン「あなた達「J」のメンバーが、これから起こる絆の崩壊にせいぜい苦しむといいわ」
〇海辺の街
〇役所のオフィス
倉田典子「あと気になる点はwebサイトのレイアウトですね。ユ―ザ―視線を重視してバランスを良くしていきましょう」
高橋修平「分かりました。倉田の意見を参考に改善してみます」
倉田典子「ありがとうございます。新しいサイトの試案が出来たら私に一度見せて下さい。私はこの後島めぐりをしてみます」
村下幸三「困ったお嬢ちゃんだな」
高橋修平「キャリアウ―マンと聞いてたから心配してましたが案の定でしたね」
村下幸三「3ヶ月の雇用だから適当にやればいいのに」
高橋修平「プライド高そうだから何もしないと機嫌を損ねそうですし」
村下幸三「予算の関係もあるから高橋君、お茶を濁す程度で改善してくれ」
高橋修平「本当に迷惑だな」
山路みゆき(ダメな男ども!)
(パソコンホ―ム画面)
日真島観光 公式サイト
山路みゆき(閲覧数が驚異的に上がってるのを知らないの?)
山路みゆき(期待してるよ倉田典子さん)
〇田舎駅のロータリー
倉田典子(さてと・・・何処へ行くか?)
長峰春奈「典ちゃん発見!」
栗山貴理子「本当に来てる!」
倉田典子「えっ?」
長峰春奈「倉田典子さんですよね!私、長峰春奈といいます。典チャンネルいつも楽しみにしてます」
栗山貴理子「栗山貴理子です。典ちゃんのSNSでここに来てると知ったから、二人で探し回ってました」
倉田典子「ありがと。今までこんなに喜んでもらった事なんてないよ」
倉田典子「そうだ!あなた達少し時間ある?日真島は初めてだから道案内頼めないかな?」
長峰春奈「お安いご用です」
栗山貴理子「やった──!典ちゃんと会話も出来る」
倉田典子「良かった!じゃあ乗って」
〇停車した車内
長峰春奈「どこに案内しましょうか?」
倉田典子「そうね・・・どこかお薦めあるかな?」
栗山貴理子「それなら典ちゃんに是非紹介したいお店があります」
倉田典子「んっ?」
長峰春奈「貴理子の店ね。それがいいわ。あそこなら島のいろんな人が来るし」
倉田典子(んっ?)
栗山貴理子「今から行く店、私の母がお店のオ―ナ―なんです」
〇海岸線の道路
〇カウンター席
喫茶 クリヤマ
倉田典子「素敵なお店ね!海が一望出来るわ」
長峰春奈「でしょ!絶対典ちゃんが気に入ると思った」
栗山貴理子「典ちゃんがこの店で座ってるなんて夢みたい。後で一緒に写真撮ろうよ」
栗山美香子「お待たせしました倉田典子さん。貴理子の母、美香子です」
倉田典子「はじめまして倉田です」
栗山美香子「この子達あなたをリスペクトしてから音楽に興味を持ったのよ。それからますます仲良くなってね。あなたには感謝してるわ」
倉田典子「そんな事言われたことないですよ。光栄です」
栗山美香子「日真島役場が募集した観光応援プロジェクトに採用されたのね。音楽とは全く畑違いなのによく決心したね」
倉田典子「はい」
倉田典子(手違いの話は出来ないな)
栗山美香子「だけど前途多難よその仕事」
倉田典子「えっ?」
栗山貴理子「前任者も期待されて来たけど。何の成果もなく帰って行ったの」
倉田典子「そうなんですか?」
長峰春奈「だから島の人たちは誰も期待してないの」
栗山貴理子「もともと数年前から観光客も激減してるし」
長峰春奈「役場のプロジェクトぐらいで観光客が増えるなんてあり得ないと思ってるから・・・残念だけど」
倉田典子「その話を聞いても私は全く動じないけどね」
栗山美香子「えっ!」
倉田典子「だってまだ何も始めてないのよ。ますます力が沸いてきたわ!」
長峰春奈「やっぱり凄いわ!典ちゃん」
栗山貴理子「私たちに手伝える事があったら何でも言ってね」
倉田典子「ありがと!じゃあ早速だけど日真島観光公式サイトを閲覧してみて感想を聞かせてよ。役場に頼んで改善点はお願いした」
倉田典子「まだ前のホ―ムページのままだけど、若い人たちの意見も参考にしたいから」
長峰春奈「了解!」
栗山貴理子「任せて!」
倉田典子「後は日真島で自慢出来る事。グルメ、スポット何でもいいから情報を集めて!」
倉田典子「ここで定期的に集まって情報を共有しようよ」
長峰春奈「今からチ―ム典子発足ですね!」
倉田典子(チ―ム典子?)
栗山貴理子「何かワクワクしてきた!他の友だちにも言っておくよ」
栗山美香子(凄い子が来たね)
〇渋谷のスクランブル交差点
〇ジャズバー
未来「お待たせ」
氷室幸治「遅かったな」
未来「もうマリンも辞めたし情報提供は必要ないでしょ?今日は久しぶりにお店休みだったのに」
氷室幸治「聞きたい事があってね」
未来「もう解放してよ!これ以上マリンを裏切りたくないの!あなたのスパイは卒業したから」
氷室幸治「とりあえず1枚。情報次第で後4枚。どうする?」
未来「何話せばいい?」
〇渋谷のスクランブル交差点
〇ジャズバー
未来「最初マリンは木本さんに会っても愛想がなかったわ。でも途中から明らかに木本さんを見る目が変わったの」
未来「好きな人を見る目にね」
氷室幸治「そんなはずはない!長い間恨んでいた奴らだぞ?」
未来「氷室さんって木本さんの事何も分かってないね」
氷室幸治「はぁ!」
未来「女性ならすぐ好きになると思うよ。だって細かい気遣いが凄いし優しいからね」
氷室幸治「あんな男のどこがいいんだよ!」
未来「はい話は終わり!残りのお金ちょうだい」
氷室幸治「そんなつまらない情報に金が出せるか!」
未来「ケチ!木本さんを何度もマリンに会わせるよう仕向けたのはあなたでしょ!それがそもそもの失敗よ。サヨナラ」
氷室幸治(これは裏切りだよ満里奈!)
満里奈に不信感を募らせた氷室
その心に憎しみが芽生え始めていた
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